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第3走者 北極星 投稿日: 2004/07/24(土) 19:10
「夏のニホンちゃん祭り『となりのニホンちゃん』第3走者」


「ウリナラアイゴウ、ケンチャナヨ……♪」

カンコ君は鼻歌混じりに走りました。真夏のアジア町は蒸し暑いものですが
今日だけは空気が乾き、過ごしやすいのです。
太陽が容赦なく照りつけました。しかし肌がじりじり焼かれる感覚も、男の子
にとっては心地よいものがあります。

やがて彼は、ニホンからアジア町に伸びる陸橋にさしかかりました。
旧式ですが頑丈な木製の橋を渡っている途中、一陣の風が吹きすぎました。
「アイゴ!?」
風にさらわれ、橋の上を転がる封筒。
「あわわわ……。危ないニダ」
大急ぎで後を追い、キャッチしかけたその時、さらに強い風が封筒を舞い上げ
ました。
「ダ、駄目ニダ。いきなり宿題を失くすわけにいかないニダ!」
カンコ君は力の限りジャンプし、空中で封筒をつかみました。
「ニダハハハ! ウリナラマンセー!!」
しかし、彼は大事なことを忘れていました。
踏みしめる大地が足元にないということを。
頭に血の上ったカンコ君は、欄干から飛び上がってしまったのです。

「ア・ア・ア……」
細い悲鳴ののち、
「ア・イ・ゴ〜〜〜〜〜〜〜!!」
絶叫とともに、カンコ君は太平池に転落したのでした。

(次の走者に続く)

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