戻る
<<戻る
|
進む>>
第33走者
書き人知らず ◆PWTa2EFE
投稿日: 2004/07/25(日) 21:07
「夏のニホンちゃん祭り『となりのニホンちゃん』第32走者」
漆黒の夜空にあがる大輪の花。 セーヌ河のそこかしこには仕掛け花火。 ユーロ街の皆は、普段お目にかかれない
花火を楽しんでいましたが、なかにはそうでない人もいました。
「ワイン、ないわ。」
「はい!」
「そうねぇ、今度は白がいいかしら。 それとチーズとオイルサーディンね。」
「はい、大至急持って参ります。」
「よろしくねぇ〜、それからこの空き瓶、始末しておいて。 ゴミのポイ捨てはよくないわ。」
ダース単位で転がっているワインの空き瓶をつま先で蹴り飛ばし、フラメンコ先生は上機嫌です。 「花火はいいわねぇ。」
そのころ、ゲルマッハ&アーリア兄妹は必死に、フランソワーズちゃんはてきとーに、先生を探していました。 とはいえ、
これだけの人出です。 そう簡単に見つかるものでもないのでしたが・・・
「たぶんあれだ。」 ちょっとした高台にある一番いい席を広々とぶんどってご機嫌の女性を指差し、アーリアちゃんは
言いました。 「私は先生のところへ行く。 兄上は連絡を。」
「了解した。」 さすが兄妹。 抜群のコンビネーションで、さっと二手に分かれました。
「カンコ、聞こえるか。 先生を発見した。 いまそちらへ行く。」
「さすがゲルマッハニダ。 ウリの感謝は尽きることがないハセヨ。」
「そこを動くなよ。」 カンコ君の感謝をかるく受け流し、ゲルマッハ君はカンコ君のもとへ急ぎました。
「あらぁ 誰かと思えば。 あなたもこっちにくれば?」
「そのつもりです。 先生。」 と言うが早いか、アーリアちゃんは即座に電話を入れます。 「こちらアーリア。
先生を確保した。」
「あらまあ確保したなんて。 もう少し女らしい口調を覚えると、私みたいに楽しく生きられるわよ。」
アーリアちゃんはめまい寸前です。 従者よろしくそばにいる男どもには一瞥もくれず、はっきりと言いました。
「あなたはいい先生だ。 だがそのまねはできない。」
「あらそう。 損をするわよぉ。」 フラメンコ先生は、ご機嫌なまま新しい白ワインの栓を開け、そのまま飲み始め
ました。
そして・・・息も絶え絶え、服装ぼろぼろ、しかし封筒だけはしっかりと持ったカンコ君が、到着しました。
「あらぁめずらしくカンコ君もいるのね。 マラソンでもしてきたの?」 お気楽極楽のフラメンコ先生です。
「ウリは池におちて、サメに襲われて、トラに食われそうになって、ロケットで飛ばされて、ペンギンを見て、船の掃除を
して、ここまでやってきたニダ。 このために。」
カンコ君、宿題を提出しましたが、先生は全然見てくれません。 「ウリは気を利かせて・・・」
「今日は先生お休み。 これ明日が締め切りでしょ? また明日にしましょ。 それより花火きれいよぉ〜」
どーんと大きな花火があがり、観客の目が釘付けになったとき、ひとりの少年がど〜んと倒れふしていました。
いとふゆ
この作品の評価
結果
その他の結果
選択して下さい
(*^ー゜)b Good Job!!
(^_^) 並
( -_-) がんばりましょう
コメント: