戻る <<戻る | 進む>>
第32走者 北極星 投稿日: 2004/07/25(日) 20:29
「夏のニホンちゃん祭り『となりのニホンちゃん』第32走者」


「先生! せんせ〜〜い!! こっち向いてニダァッ!」
花火の爆音、辺りの喧騒にかき消され、必死の叫びはフラメンコ先生に届きません。
先生との距離は拡がる一方でした。

「えいシッパル! 先回りしてやるニダ……」
人垣に無理な追越しをかけ、ぐるりと回ろうとした瞬間、
「ニダ?」
彼は足を滑らせ、
「ニダ〜〜〜〜〜!?」
セーヌ河に転落してしまいました。
「だ、だれか助けるニダッ!!」

その時、対岸から聞きなれた声がしました。
「ん、あれはカンコか? えい、まったく手間のかかる――」
だれかがセーヌ河に飛び込む水音がしました。
その人はほんの数十秒で流れの速いセーヌ河を泳ぎきり、カンコ君の髪をつかんで
岸に引きあげました。

「あ、ありがたいニダ。感謝するハセヨ……」
「べつに感謝など要らん。当然のことをしたまでだからな」
押しかぶせて遮ったのは、金髪のショートカットの少女。
矢車草の色の瞳が、カンコ君を眺め回しました。
「どうした? ずいぶんみすぼらしい格好をしているが――。カンコ、おまえも花火
大会に来たのか?」
「アーリア!!」
カンコ君は叫びました。

「フラメンコ先生を探してるハセヨ!! 知らないニダか!?」
「うん? なあ兄者、フラメンコ先生を知らないか?」
アーリアちゃんは双子の兄を振り返りました。
「知らんな……。それほど急ぐのかね、カンコ君?」
ゲルマッハ君は重々しく答えました。
「急ぐニダ!! もう時間がないハセヨ!!」
「そうか。なら協力してあげよう。ちょうどフランソワーズやマカロニーノもいっしょに
いることだし」

(つぎの走者につづく)

この作品の評価を投票この作品の評価   結果   その他の結果 Petit Poll SE ダウンロード
  コメント: