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第9走者 北極星 投稿日: 2004/07/24(土) 21:27
次、いただきます。
またもう少し時間をください。
「ヒュー、なんだか判らないけど立派だね。感心したよ」
メヒコさんが口笛を吹きました。
「でも、どうやってユーロ街に行くんだい? 大西湖の定期便は北米からしか出てない
んだよ?」
「ニダ?」
カンコ君は水を差され、きょとんとしました。
「もう一度メキシコ砂漠を縦断するかい? でも俺はつきあえないな。べつにユーロ
に用はないし」
「ニ、ニダ……」
はやくも決心がくじけそうになったその時、
「私に考えがあるわ」
ポンチョ服の少女が、会話に割ってはいりました。

その少女は黒髪を三つ編みにしていました。肌は南米町の浅黒いものですが、顔つきは
不思議にアジア町の人間と共通するものがありました。
「ペルー! お前も助けてくれたニダか?」
「まあ、ね。あなたをリャマに乗せて運んであげたのは私よ」
ペルーちゃんは老賢人のようにゆっくり話しました。
地球町でも有数の高地に住む彼女は、どうも浮世離れしたところがあります。
「いい? ペルーからボートを貸してあげるから、ポリネシアを経由して、いったん
オーストラリアまで行きなさい。そこから東南アジア町に上陸すれば、あとは歩いてい
けるわ」
「ニダ?」
「ここから、直接ユーロ街に行くのは無理よ。大西湖はけっこう波が荒いのよ? かと
いって定期船にも乗れないし……」
「ニダ?」
「ね、そうしなさい。その線なら私も協力してあげるわ」
「ニダ……」
カンコ君は腕組みして考えこみました。
どうやら今日の自分は、地球町を一周する巡りあわせのようです。
一度来た道を引きかえすのは気がすすみません。それならペルーちゃんの話しに乗って
みるのも悪くないかも……。
「よし、そうするニダ! ペルー! ウリにボートまで案内してほしいハセヨ!!」
カンコ君は外につないであるペルーちゃんのリャマに飛び乗ったのです。

(つぎの走者に続く)

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