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第10走者
書き人知らず ◆PWTa2EFE
投稿日: 2004/07/24(土) 23:03
「夏のニホンちゃん祭り『となりのニホンちゃん』第10走者」
ぽっくりぽっくり。 特有のリズムでラマはゆっくり歩きます。 がしかし、カンコ君がそのリズムに同調する
ことはなかったのでした。
「ペルー、これでは日が暮れてしまうニダ。 もっと早く走れないニカ?」
「走れないことはないよ。」 鷹揚にペルーちゃんは肯定しました。
「では急がせるニダ。 ウリ自慢のKTXなら、とっくについていてもいいころニダ。」
じゃあ、とペルーちゃんがラマのお尻をたたきました。 とたんに、ぱっかぱっかとラマはその歩みを変えました。
「この速さなら、ウリは満足ニダァ。」 ご満悦のカンコ君ですが、あることに気がつきました。 「ペルー、お尻が
痛いニダ。ウリはとってもとってもデリケートハセヨ!」
じゃあ、とペルーちゃんは、ラマの肩を叩き、そのリズムはぽっくりぽっくりに戻りました。
やがてラマは、船着場につきました。 ところが・・・
「ボートはどこハセヨ?」
「あれ。」 ペルーちゃんが指差したのはスワンボートでした。 「じゃあね。 あとは自力でがんばって。」
「スワンボートでいけるはずがないニダ! 謝罪とエンジン付ボートを要求する!」
「いいけど、高いわよ。」
「スワンボートでいいニダ。 ウリはとっても感謝しているニダ。」
「そ。」
ということで、スワンボートをこぎこぎするカンコ君、努力が報われたのか、とっても大きな橋が見えてきました。
パラ雄君ちのあの橋です。
「ホルホルホルゥ ウリの体力をなめてはいけないニダ!」
しかし、のどの渇きと体の疲れはすでに限界近くにまで来ていました。 ふっと見えたのは大きな椰子の木。 そして
大きく黒い、椰子の実。 カンコ君がこれを見逃すはずはありません。 するすると木にのぼり、カンコ君は椰子の実を
叩き落しました。
「誰だ! うちの家の勝手に入る奴は!」
銛を片手に、怒り心頭のパラ雄君登場です。 その姿におびえたのでしょうか、カンコ君は椰子の木から落ちて
しまいました。
「カンコ君かぁ。 ドロボーは!」
「ウウ、ウリはドロボーではないニダ。 ちょっと椰子の実をもらおうと思っただけニダ。 友人が困っているのだから、
ここは助けてあげるのがアジア町のいいところハセヨ?」
「誰が友人? ここにいるのはドロボーだろ? その実を置いて出てけぇ!」
銛を突きつけられたカンコ君、それでも椰子の実だけはしっかと抱いて、スワンボートへと逃げ出しました。
(次の走者に続く)
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