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第13話 あさぎり ◆aKOSQONw 投稿日: 2004/08/12(木) 11:33
『さくら』

 記憶の底に沈んでいた思い出。

 満開の桜が雨に落とされ、止みかけの霧が世界を濁らせる。
 地面を覆う桜の花びらは、桃色に地面を染める雪。

 傘も無く佇む人影は、積年の憂いに沈む。

 霧景老影。

 誇り高く、儚い夢の欠片…

 同じ場所を蝉時雨が覆い、歩む足を木陰が先走る。
 零れる日差しが蜩の到来を告げ、音が季節を支配する。

 捧げた花束の残り香は、過ぎ去った歳月を連れてくる。

 虚空彷徨。

 懐かしき、帰らぬ日々の思い出…


 巡り来る季節の中で、何故にこの日に御霊は集うのか。
 声無き声に導かれ、今日も迎え火を門前に灯す。

 私の花を咲かせる木々は、今日も全てを見下ろしている。


 了

解説 あさぎり ◆aKOSQONw 投稿日: 2004/08/12(木) 11:41
解説・帰省・提灯行列
※ どもどもあさぎりでございます。
わかりにくいよねえ今回は、だってお話じゃなくて詩だもんねえ。
ややこしい言い回しは単に趣味なんです…

そ、それでは念のため読みでも書きます
霧景老影:むけいろうえい…造語です
虚空彷徨:こくうほうこう…同上

※ 終戦がらみで鎮魂の意を込めてと思いましたが、なんかこう
なっちゃいました。雑文失礼!

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