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第61話 青風 投稿日: 2005/07/24(日) 09:28
ここは地球町にほど近い海水浴場。
今日は地球組の女の子達(と、若干のおまけ達)は
朝から夏の海を満喫しに来ています。

チョゴリちゃんはいまちょっと気分が良いのです。
恋のライバルのラスカちゃんは”アメリーお兄さま”の
厳しいお達しにより、折角の水着に着替えられません。
もちろん、チョゴリちゃんはこの機会を逃すつもりは無いのです。
「うふふふ、今日でウリはウヨ君とステディな関係に
 成るニダ。状況は今、ウリに完全に有利ニダ」

誰も居ない砂浜に打ち寄せる白い波。
波に足を濡らせながら、戯れ追い掛け合う少年と少女。
高く抜ける様な青空にカモメの鳴き声。
振返って歩みを止め、悪戯っぽく囁く少女。
「ねぇ、ウリの事が欲しいニカ? なら、捕まえてみるニダ」
「よーし待ってろよー、チョゴリちゃん」
駆け出す少女と追う少年。
笑い声は少女が少年に追いつかれ、抱きしめられるまで続きました。

自分の想像に、ウットリしながら更衣室を出てきたチョゴリちゃん。
ですが、有り得ない光景を目の当たりにして凍り付きます。
「ウリは何も見ていないニダ。オッパに似た人がマッチョスーツを
 着込んでポーズを取っている光景なんて。そう、人間離れしたてかてか
 光るスーツを着て得意そうにしている姿なんて見えないニダ」

数秒後、背中のチャックを思いっきり下げられた何者かが、
全身スーツが半分脱げたかけたまま、
階段下の砂浜まで思いっきり蹴り落とされて行きました。
 ここは地球町にほど近い海水浴場。
今日は地球組の女の子達が朝から遊びに来ています。
彼女達にとってはまずまずの一日、でもおまけの少年達には・・

「ブラッディマリーとオードブル、お持ちしました」
ウヨ君はパラソルの下で退屈そうにしている少女、ルーマちゃんにに声を掛
けました。色素の存在をまったく感じない程肌の白い彼女は
飲みかけのパック入りトマトジュース(ウヨ君にはそう見えました)
を脇に置き、うっすらと血の色が透けて見える瞳を少年達、
ウヨ君とマルタ君へ向けました。

「ご苦労さまぁ、待っていたのよ。
 こんな日射しの中歩くの、肌に悪いでしょ?それでもジュースは
 新鮮なものに限るしね。さぁ、早く傍へ持ってきて下さいな」
彼女はウヨ君を濡れた瞳で見つめ、心なしか呼吸も荒い様です。
「ね、ねぇヒノモト君、気をつけて下さい。何だか様子が・・・」
マルタ君が制止するものの、ルーマちゃんの瞳に魅入られた様に
ふらふらと彼女に近づきグラスを恭しく差し出すウヨ君です。
「うふふ、ありがとう。でも私が飲みたいのはあなたの方なのよ」
いきなりウヨ君を抱き寄せると、彼の首筋に齧り付くルーマちゃん。
「あ、いきなり何を、あ、あぁ、うひゃひゃひゃひゃあ」
恍惚の声とも悲鳴とも付かない声を挙げるウヨ君。
後退るマルタ君。
「ああ、やっぱり新鮮なジュースは良いわぁ。
 ねぇ、あなたのお友達も注文して良いかしら?私のお願いよ」
満足そうに舌なめずりしながらウヨ君に囁くルーマちゃん。
「はい、かしこまりましたぁ」
惚けた様に返事をするウヨ君。
「ね、ねぇ気を確かに、ヒノモト君、ちょちょっとまってぇ!」
逃げるマルタ君を追って、ウヨ君は何処までも駆けて行きました。
 ここは地球町にほど近い海水浴場。
今日は地球組の女の子達が朝から遊びに来ています。
もちろん、来ているのは女の子達だけではないのですが・・

 たった今階段下へ蹴り落とした不思議な生物の事など
すっかり忘れ、チョゴリちゃんは期待に胸をふくらませながら
ウヨ君を捜しています。
「そう、ラスカが水着に着替えられないうちに、
 ウヨ君を捜して夏の恋人達になるニダ。
 そして、あそこに見えるカップルみたいに、
 海辺を楽しそうにおっかけっこするニダ」

突然、チョゴリちゃんは違和感に気が付きます。
楽しそうなカップル、その追いかけられている少女の方に
見覚えがあるのです。

た、確かあれはマルタ・・

そう、クラス一の美少女(と、誰もがまだ信じている)マルタ君です。
そしてそれを追いかけているのは、
「ウヨ君」
呆然と呟く声にチョゴリちゃんが振り向くと、
真っ青な顔のラスカちゃんが立ちつくしていました。
あはははは、と虚に笑いながら、ラスカちゃんはポシェットから
愛用のガバメントを取り、重量で残弾を確認すると、
普段の彼女からはとても信じられない程の憤怒の表情で
「ゆっるっさないんだからぁぁ」
と、叫び一気に砂浜へ駆け下りてゆきます。
「い、いろんな意味で負けたニダ」
呟くチョゴリちゃんでした。
 此処は地球町にほど近い海水浴場。
今日は地球組の女の子達が遊びに来ているのです。
まぁ、一日が過ぎる内には何かと小さな事件も有るのですが。

 エリザベスちゃんが海岸の散歩中、ふと見ると、
少年と少女の追いかけっこが目に留りました。
「まぁ、何でしょう、親の保護から抜けきらない癖に」
素直にちょっとうらやましい、と云えない彼女ですが、
其処で二人がマルタ君とウヨ君である事に気が付きます。
すかさず追いかけるウヨ君の前に立ちふさがります。
「ちょっと、ウヨさん!私の妹に何か御用ですの!?」
僕は男です、とこの状況でも主張するマルタ君。
でも、さすがにウヨ君の様子がおかしい事に気が付きます。
目は赤く充血し、表情はどこか夢でも見ている様。

其処へ突然別の悲鳴が聞こえてきました。
「きゃあ、近づいてこないでぇ!いや、イヤだよぅキモイ、
 気持ち悪い!こいつ、洗ってないイヌの臭いがするよぉ!」
見ると、ニホンちゃんが不気味な生物に追われて居るではありませんか。
一瞬で正気に返り、抜刀して化け物の前に立ちふさがるウヨ君。
「おまぇえ、姉さんに何をするっつ!!」
殺気を帯びて間合いを詰めるウヨ君。
と、其処へ突然、ちゅいーんと拳銃弾が飛んできて、
怪物の足下に着弾しました。
悲鳴の様なうめき声を上げて海中へ逃げ出す奇怪な生物。
銃声の方を振り向くと其処に居たのは,
愛用のガバメントを構えて肩で息をするラスカちゃんです。
「ラスカちゃん!助けてくれたんだね、ありがとう!」
感激するウヨ君に、さすがに
「実はウヨ君を狙ってたの、えへへ」
とは云えないラスカちゃんでした。

解説 青風 投稿日: 2005/07/24(日) 09:54
解説もどきなどちょっとだけ。
今回(411-414)の話に特にソースは有りません。
前回同様ヌルポスレに投下した、創作意欲発散用のつまらないものです、はい。
元にしたのはおえび及びあぷろだのkarekiさんとんぼさんおよびドクヤさんの
最近の水着祭り関連の絵であります。
さて、ルーマちゃんですが、これだと完全なヴァンパイア設定ですね。
ラスカちゃんはトリガーハッピー気味だし、
イメージ違い等有りましたらお知らせ下さい。
かしこ

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