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第60話 青風: 投稿日: 2005/07/17(日) 16:39
 ここは地球町にほど近い海水浴場。
おなかも一杯になった地球町の女の子達。
当然次にやる事と云ったら・・・・

バシィ、ネットの向こうに打ち込まれるビーチボール。
砂に転がるエリザベスちゃん。
「おーっほっほっ、動きが鈍いですわねぇ。
 やっぱりピーマンが嫌いな方はこの程度でしょうか?」
「くっ、球威が重いですわ。
 やはり、無駄に2人前食べていらっしゃいませんわね」
「な、何ですってぇ!かくなる上は、ニホンさん!
 アナタのボンサイアタック、見せて差し上げて!」
「・・何で私に来るかなぁ?それにボンサイって?
 ま、いいか。じゃ行くわよ!」
バシィ、とまたも自分の正面に強烈なスパイクが
打ち込まれるのかと一瞬顔を保るエリザベス。突風の様に飛び込む影ひとつ。
真っ二つになるビーチボール。
臣下の礼を取りつつも、抜きはなったサーベルは離さない、
その人影の美しい横顔。
「エリザベスさま、お怪我はありませんか?」
「まぁ、マルタさん。私、来て頂けると信じておりましてよ」
感激の余り小さなマルタ君を正面から抱きすくめるエリザベスちゃんです。

「どういたしましょうか、この姉妹?」
「どうって、マルタ君って男の子だと思ったけど?」
「おほほほ、些細な事でしてよ」
もちろん、エリザベスちゃんにはこんな周囲の声も、
自分の胸の谷間で窒息し掛かるマルタ君の苦しそうな声も耳に入りません。
だって、彼女は今こんなにも幸せなんですから。
 ここは地球町にほど近い海水浴場。
ビーチボールのトーナメント戦も、やむなく中止になり、
結局地球組の女の子達は、元の通りめいめいに夏を楽しむ事
になりました。

「おい、さっさと運べよ新入り!
 次は浜辺のデッキチェアにフラッペ3っつだぞ」
「・・何故、君に先輩面されなければいけないのかな、
 ヒトモノくん?」
けっきょく、ウヨ君と一緒に海の家のアルバイトをする事に
成ってしまったマルタ君です。同学年の、しかも
私生活に於けるポジションすらも似通った男の子二人、
互いに相手を留め会い、牽制し合うのも無理からぬ事でした。
しかし剣を抜いて睨合うのは少し行き過ぎです。
「オマエ、やる気か?」
「君こそ、異教徒の分際で態度を間違えたと思わないか?」
じりっじりっと間合いを詰め合う抜刀した二人。
最早止めるものはないのか、そう思われた瞬間です。

びしっ びしっ びしっ びしっ びしっいい 
二人の周囲に大型の拳銃弾が何発も着弾しました。
「おわぁぁつ、あ、危ない!ま、まさか此は?」
ウヨ君がそおっと銃弾の飛んできた方向を振り返ると、
ガバメントを構えて怒りに震えたラスカちゃんが立っていました。
「また他の女の子とくっついて仲良くしてる!ラスカ、許さないんだからぁ!」
「ちょっ、待って、此はバイト、バイト仲間だって」
「まて、待ってください!落ち着きましょうラスカさん。第一僕は男で・・」
二人の云い訳も聞かずガバメントを撃ちまくるラスカちゃん。
逃げる二人を追って、砂浜を何処までも駆けて行きました。

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