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第11話 iceman 投稿日: 2006/04/17 17:55:00
『カンコ君の楽しい日常(百年桜の願いとニホンちゃん)』その1


週末のカンコ君は、荒天であっても朝から忙しい。
我が家の輝かしい伝統と文化を町内に広く伝える為、パソコンのキーボードを人差し
指で懸命に打ち続ける。
「やはり、両手の指を使うと打ち込みが断然早いニダ。ホルホルホル!マンセー!」
(ボツ、ボツ、ボツ・・・)
窓の外、屋根板から落ちる雨垂れの音が重なる。


日之本総領家には、屋敷へと続く並木の桜とは別に、庭園の真ん中辺に一本のソメイ
ヨシノの桜木がある。
ニホンちゃんが生まれたときに、記念としてニッテイさんが自ら植樹したものだ。
ソメイヨシノは、普通寿命60年ほどであることから、人命の長さになぞらえるが、
ニッテイさんは、孫が安息に育って欲しいという願いを込めて植えたそうだ。
実際、ソメイヨシノの最高年齢のもので、接木してから120年生きた樹木がある。
そこまでの気はなくとも、大事な孫の成長を案じる祖父の気持ちは充分に察する。
「桜(さくら)」とニホンちゃんの名前を名づけたのもニッテイさんであった。
今、ニホンちゃんはその桜木の前に立ち、弟の武士に日之本の伝統と文化を伝える為
にも語って聞かせる。
「『桜(サクラ)』の語は、古事記に登場する木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)に
由来し、『木花』とは桜の花で、続く『咲耶』がサクラの語源になっているの。」
「あそこのソメイヨシノは、江戸の昔、奈良吉野の桜を直接見ることが難しい町民の
ために、染井村の植木商が大島桜と江戸彼岸桜を交配して、『吉野桜』という新しい
品種を創ったのが始まりで、後に染井村の名を先につけ『ソメイヨシノ』と呼ぶよう
になったわけ。」
「実や種ができず自生はしない品種なので、接ぎ木や挿し木で植えられるのよ。」
「一時、小泉なにがしというキ印が、チョン兄弟家の一つ、カンコ君家東側の池島に
王桜が自生しているから、それがソメイヨシノの起源とする説を言う人がいたの。」
「でも、交配元である大島桜はチョン家敷地内に存在した痕跡がなく、学術的に否定
されたわ。同説否定は、国際的な広域遺伝子調査によっても裏付けられているし。」
「そもそも、カンコ家にある木は、お祖父さんが在住した時に植えられたものなの。
・・・まあ、これは余談ね。(笑)」
「ともかく、ニッテイお祖父さん等の手により、桜は友好の証として東亜地区だけで
なく、地球町のあちこちで植えられ、町内で日之本を代表する花木として認知される
ようになったのよ。」
「アメリー君のご先祖が、ポーツマスに植えられた桜木の枝を折って、正直に自分が
やったことを認めたのは遠い昔のことね。」
「だけど、子孫のアメリー君は間違いを仕出かしても、なかなか認めない性格になっ
ちゃっているけど。・・・ごめん、これも余談よね。(笑)」
「ちなみに、花言葉は『優れた美人』なのぉ。」
そう、終わりに少し頬を染めてニホンちゃんが言ったが、武士には姉の姿が誇らし気
に見えるのであった。
ニホンちゃんのソメイヨシノは立派に成長し、今年も、薄いピンク色をしたやや大き
目の花弁は、枝条にびっしりついて樹木一面、華麗に咲きこぼれている。
まさに、日之本総領家の姫児にふさわしい樹と成っていた。
『カンコ君の楽しい日常(百年桜の願いとニホンちゃん)』その2


雨は夕方近くになっても止む気配は無い。
カンコ君は、面倒臭くなって来たのか、いつしか片方の指だけでキーを打っている。
「昨日はチョッパリの家に忍び込んだおかげで、ホントに良い話を聞いたニダ。」
「ウリ家の者程ではないにしても、チョッパリにも珍しく傑物がいたらしいニダ。」
「犬が吠えたため、そこだけしかはっきりと聞こえなかったのは残念ニダが。」
「それにしても、チョッパリの桜は見事ニダ。今度行った時、手折ってチューゴ宗主
に献上するニダ。」
「(ホジホジホジ)・・・フゥ〜、これで良いニダ。」
カンコ君は、片手の指で鼻穴を掃除しながら、残り手の指でウリナラ掲示板への送信
ボタンを押し、一間置いて、ちゃんと記事が掲載されているか確認する。

 ≪ファン・ウソコク教授の愛弟子で、カンコ家の林業研究員あるチョ・ギョンチン
 女史は、先日、DNA分析を通じた研究の結果、イルボンの家花である王桜(イル
 ボン名:ソメイヨシノ)の原産地は、カンコ家東側の池中にある済州(チェジュ)島
 だということを突き止めた。1908年フランソワーズ家の神父によって、初めて
 発見された済州島の王桜は、島から一旦イルボンに渡り、再移入する形でカンコ家
 敷地に植栽されるようになったという。イルボンにはソメイヨシノの自生樹がない
 一方、済州には王桜の自生樹がある為、原産地がカンコ家であるという研究結果を
 後押ししている。カンコ家関係者は、「今回の糾明は、イルボン産として間違って
 知られていたものを、我々の元に取り戻したことに意義がある」とし、「カンコ家
 は、華麗な自生の王桜を大量増殖し、敷地中に植樹する計画だ」と明らかにした。
 (共同情報社 キム・チクサイ記者) ≫

(ムグ、チュパ、ムニ・・・)
カンコ君は、キーを打ち続けて疲れ固くなった人差し指を温かい口の中で解しながら
新聞広告紙の裏に記した来週のスケジュールに目を通し、修正や変更などを入れた。

 ※日曜日は、日之本家を無理やりでも訪れ、めぼしい物を拝借する日ニダ。
  (修正ニダ:例のスプレー事件以来、門内への侵入警戒が厳しい為、チョッパリ
   が商店街にお使いに出るのを待ち、油断した処をスカートめくりするニダ。)
 ※月曜日は、施設のチョゴリちゃんを訪ね、コピー製造品を受取る日ニダ。
 ※火曜日は、日之本家の門前で、謝罪汁賠償汁とファビョ〜ンする日ニダ。
  (訂正ニダ: ×「ファビョ〜ン」 → ○「アクティヴゥ」)
 ※水曜日は、溜まった糞尿を河に流し、産業廃棄物を海に投棄する日ニダ。
 ※木曜日は、独島で日之本家の旗を燃やしたり、王桜を挿し木する日ニダ。>
  (変更ニダ:天気予報が雨のため、予定を取止め、屋内で捏造作業するニダ。)
 ※金曜日は、アメリー君家のお札を印刷するキッチョム兄を手伝う日ニダ。>
 ※土曜日は、泥漬唾入りキムチを腐敗野菜で作り、日之本家に送る日ニダ。>

カンコ君の近況は、多忙で充実した毎日を、お気楽ハッピーに過ごしている。
(いや、筆者は本当にそう思うのだが・・・。)

とまれ、翌々日の三軒新聞の見出し。
【ソメイヨシノはカンコ家が起源?〜第二のDNA研究捏造事件発生!〜】


(今回の話はこれにて、ちょんちょん。)

解説 iceman 投稿日: 2006/04/17 18:00:00
『カンコ君の楽しい日常(百年桜の願いとニホンちゃん)』

≪引用ソース元≫
「ソメイヨシノの原産地は韓国」
http://members.at.infoseek.co.jp/koreawatcher/docs/someiyosino.htm

引用部分は丸転記気味になり、また、固い文章となったので、読み手は面白くないだろうなと思う。

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