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第10話
pecotan
投稿日: 2006/04/14 02:34:00
『何ものにも代え難いものの為に』その1
「ニホンちゃん、ウリのキム君人形をどこかで見なかったニダ?」
ニホンちゃん家にめずらしく遊びに来た女児が、ようやく重い口を開けて尋ねた。
「チョゴリちゃん、お人形失くしたの?キム君ってどんなの?」
「アメリー君家のお店で、カンコ兄に買って貰ったニダ。東洋系の美男子な人形で、
何とかっていう女子人形の男友達ニダ。」
「アメリー君家で売っている女の子のお人形って、もしかすると、バービードールの
ことかしら?」
ニホンちゃんが推測したものを伝えると、チョゴリちゃんは一旦記憶を巡らした後、
小さな声で答える。
「・・・そうだったような気がするニダ。」
「だったら、ボーイフレンドはケン君って名前じゃないの?」
「・・・ウリに贈ってくれた時、カンコ兄はキム君と言ったニダが?」
(ハァ〜、また、カンコ君の捏造か。・・・仕方が無いわねぇ。)
「あのね、チョゴリちゃん。」
「そのボーイフレンドドールの本当の名前はケン君なんだけど、彼のコードネームが
キム君って言うんじゃなかったかしら。(汗)」
「ごめんね、ハッキリと覚えてなくて。それより問題は、チョゴリちゃんのお人形が
何処へ行ってしまったかということよね。」
そこまで言って、ニホンちゃんはハッとしたように、余り遠くない過去を思い出そう
と、暫し努力する。
「そういえば、あたしのバービーちゃんも、舞妓J0982金札のタイプがここ一ヶ月の間
何故か見当たらないわね。あれ、気に入っていたのにぃ。」
どうやら、ニホンちゃんが所有するお人形の中にも、いつの間にか失くなるっている
ものがあるようだ。
『何ものにも代え難いものの為に』その2
「ヘイ!レディ達。どうかしたのかい?」
「あ、アメリー君、チョゴリちゃんとあたしのお人形が消えちゃったのぉ。」
ちょうど、ニホンちゃん家に納入品で問題があった食品の是正報告書を渡しに来た、
アメリー君に相談する。
「ふ〜ん。良かったら僕が調べてみるけど、ドールの服やアタッチメントか何かで、
残っているものは無いのかい?(ラッキー!ここは点数を稼ぐチャンスだ!)」
「あたしは、お人形が着けている西陣織の帯とお揃いで作られていた、プラチナ金糸
刺繍入りの巾着袋があるわ。」
「チョゴリちゃんは、どう?」
アメリー君が来てからは、ニホンちゃんの影に隠れているチョゴリちゃん。
「あのぉ、チョゴリちゃん。アメリー君はそんなに恐い人じゃないのよ。」
(ただ、マイ正義で、無鉄砲にゴーイングしちゃうだけ。)」
「ドンマイ、気にしないよ。」
(・・・これニダ。)
ニホンちゃんから人形の残存物を手渡してもらうチョゴリちゃん。
「どれどれ、・・・これは、ボロ布切れと糸だね?ん〜・・・???」
チョゴリちゃんがニホンちゃんに耳打ちする。
「アメリー君、これはお人形の着替えで民族衣装を作った時の材料の一部だって。」
「そうか!とても重要な手掛かり品だね。サンキュー、ミス・チョゴリ。」
ニホンちゃんの影で、チョゴリちゃんは顔を紅くした。
「直ぐに家のCSIに調べさせるから、数時間ほど待っていてくれないか。」
「宜しくね、アメリー君。」
ニホンちゃんには、こんな時のアメリー君はいつも頼もしく感じる。
ともかく、ニホンちゃん家で暖かいお茶でも飲みながら、二人は手掛かりが見つかる
のを待つことにした。
『何ものにも代え難いものの為に』その3
2杯目の緑茶のお代わりが出た頃、ようやくアメリー君が、ニホンちゃん家に戻って
きた。
「結果から言うと、二人の人形は共に、現在キッチョム家に拉致されている可能性が
高いということだ。」
「アメリー君、どういうことなのぉ?」
ニホンちゃんは、人形のような髪の毛を揺らして、説明を求めた。
「まず、ニホンちゃんの舞妓ドールは、J0982金札のタイプでなく、極レア品のJ0999
白金札のタイプであることが判った。シルバー、ゴールドグレードより上の、最高級
プラチナグレードで、地球町で2つしか製造されていない物なのさ。」
「そのスペシャルな至高品に使われている染色剤は、日之本染料研究所への特注品で
特殊な放射線パターンを持っており、家の衛星から探査したところ、キッチョム家の
内にかの放射線パターンの痕跡を見付けることができた。」
「プラチナ舞妓バービーの内1つは、製作元であるわがアメリー家が自身で保管して
おり、同じ日之本染料研究所の特殊染料を使った別の物品がキッチョム家にあるとは
考えにくいことから、決定的だろう。」
アメリー君は、二人の顔を見ながら得意げに話を続ける。
「次に、チョゴリちゃんのケンドールは、」
「アメリー君、キムドールだってば!」
ニホンちゃんが、鋭く突っ込みを入れた。
「?・・・そのキムドールは、極ありふれた量産品だったので、手掛かりを見つけるのは
ベリー困難だったが、着替えさせたという民族衣装の余りの布切れに付いてたシミの
匂いを頼りに、特殊臭気探知機を使い町内を隈なく廻ったところ、同じくキッチョム
家の前にたどり着いた。」
(シミって、チョゴリちゃんたらそんな布でお人形の服を縫ったのかしら?)
「ということで、2つの人形の拉致犯人は今や明白なのだが、どうする?レディ達!」
アメリー君のこむずかしい調査報告の説明は終わった。
『何ものにも代え難いものの為に』その4
「あたしは、他にも置いてあったはずのお人形が幾つも無くなっているので、それら
も含めて人形達の返還要求を、正当な所有者として、キッチョム君に対し突きつけて
いくつもりよ。」
「無論、僕はそれに対して応援するぜ!ベイビー!」
「チョゴリちゃんも、いっしょにキッチョム君を糾弾するでしょ?」
行動を起こすとなれば、味方は多ければ多いほど良いのだが。
「ウリの家では、ニホンちゃん家とは違い、難しい内部問題となるニダよ。」
「今は家を分けているとはいえ、キッチョム兄は肉親ニダ。カンコ兄も態度を明確に
しないと思うニダ。」
煮え切らないチョゴリちゃんに対し、アメリー君が言う。
「確かに血縁関係にある者を訴えるのは辛いことかも知れないが、血縁関係にある者
だからこそ、一族のために正すべきことはすべきだと思うがね。」
「ちょっとキツイよ、アメリー君。」
アメリー君との間に体を入れ、チョゴリちゃんを庇うニホンちゃん。
「だが、正論だろ。」
「そうだけど、女の子に対してはもう少し優しい言葉遣いをしてね。」
「これは失礼、リトルレディ。」
ニホンちゃんは、チョゴリちゃんの方に向かい合い、
「とにかく、何とか世論を動かして頑張ってみようよ。ね、チョゴリちゃん。」
暫らく、心の中で考え抜いた末、チョゴリちゃんは切れ切れに言葉を繋いで答えた。
「・・・説得してみるニダよ。」
「カンコ兄がくれたキム君は、・・・極ありふれた人形だし、汚れた服を着てるニダ。」
「・・・でも、ウリにとっては、やっぱり大切な、大切な宝だから、・・・頑張るニダ。」
(願望幸福的結末)
ということで、今回のお話はここまで。
解説
pecotan
投稿日: 2006/04/14 02:39:00
『何ものにも代え難いものの為に』その4
<引用元ソース>
【北朝鮮拉致事件】韓国に積極的な対応求める日本
http://
japane
se.cho
sun.co
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ir/200
6/04/1
3/2006
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人の絆は何よりも強い、そう信じたい。
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