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第9話
iceman
投稿日: 2006/04/12 21:50:00
『黄色い風は不幸を運ぶ』その1
「ちょっと、チューゴ君。」
「あなたの家の方から来る黄色い風、どうにかならないのぉ!」
春休み明け早々、5年地球組の教室内で一悶着が起こりそうな気配である。
「ニホン、季節風が吹くのは自然なことアル。」
「そうじゃなくて、風に混じって運ばれてくる細かい砂が問題なのよ。」
「最近は汚染された土壌の砂が飛んでくるって、・・・チューゴ君聞いている?」
「・・・勿論、聞いているアルヨ。無問題。」
顔を横に向けたまま生返事のチューゴ君に、ニホンちゃんの苛立ちが募る。
「だから、チューゴ君の家の汚染された有害物質がすっごく迷惑なのぉ!」
「洗濯物も干せないし、お肌にも悪いし、家の窓とか車とか掃除が大変なのよ。」
「カンコ君も被害者なんだから、何かチューゴ君に言ったら。」
おずおずと、申し訳なさそうにカンコ君が言い出した。
「・・・何と申しせば良いニダか、・・・アポジは目鼻やのどが痛いって言うニダ。」
「・・・チョゴリは、体が丈夫でないニダ。呼吸するのがつらいって言う二ダ。」
「それに、チョッパリの家とは違ってウリの家は隙間が多く、黄色い風が来ると
家の中がホコリだらけになり、掃除機を使うと壊れるニダ。だから、濡れ雑巾で
天井・壁・床・家具一切を掃除するニダが、毎回ホント大変ニダよ。」
「重金属も混ざっているからテレビとかパソコンとか電気製品が故障するニダ!」
「キムチご飯を食べると砂を噛むので不味いニダ!今までは1週間着れた物を、
毎日洗濯しるってアガシがウリを怒るニダよ!!お風呂も週一でなく、毎日入ら
ないと怒られるニダ!!アイゴォォ〜!!!」
「もう分かったアル、カンコ。(怒)」
ようやく、チューゴ君は2人の正面に顔を向けた。
「問題は、朕の家が所有する土地の砂漠化アルネ。」
「ちょっと、公害で汚染された河や土壌はどうぉ・・・」
「砂漠に木を植えるプロジェクトを発令し、緑の万里長城を構築する計画アル。」
ニホンちゃんの言葉をさえぎり、チューゴ君は大風呂敷を広げた。
『黄色い風は不幸を運ぶ』その2
「ついては、朕はカンコ家に協力を要請するアル。」
「任せておいてほしいニダ。」
「ウリの家の世界一豊かな造林経験と高度な専門知識を活用して、きっと宗家の
砂漠を森と野原に変えてみせるニダ。ウリの家の花木でいっぱいにするニダ!」
「・・・やはり、ニホンも協力する良いアル。最近途絶えがちの朕の家への援助金も
沢山使う宜しいアルヨ。」
カンコ君の何処から来るのか判らない自信に頭を抱えつつ、チューゴ君は能面の
ような笑い顔を作り、ニホンちゃんに尊大な態度でお金の無心をし始めた。
「どうしようかしらぁ。チューゴ君の敷地の中に建ててある日之本家の事務所が、
この間の嫌がらせで汚れたり壊れたりしたままで、弁償されてないしぃ。」
「せっかくの援助金も、チューゴ君のラジコン兵器に使われるだけだしぃ。」
チューゴ君やカンコ君に、はっきりと物を言うようになってきたニホンちゃんは、
信用度ガタ落ちの相手を焦らし始めた。
「そんなこと無いアル。(鬼子め!)」
「チョッパリ、宗家の指示に従うニダ。お金も沢山出す義務があるニダ。ついでに
主導的役割を果たすウリの家にもお金を献上しるニダよ。ホルホル♪マンセー!」
ゴツンと拳骨がカンコ君の頭に見舞われる。
「カンコ君への献上は絶対あり得ないけど、一緒に未来を考えられるような姿勢を
見せてくれるなら、緑化計画への援助金を検討しないこともないわよ。」
「・・・。(強情な娘娘アル。天の罰があたると宜しいアルネ。)」
そのとき、まさに神風であろうか、開けた窓から急に突風が吹き、ニホンちゃんの
スカートを巻き上げた。
しかーし、不幸なのか幸いなのか、風に混じった砂がチューゴ君とカンコ君の目を
襲い、痛めた眼ではニホンちゃんの黄色い色柄のパンツは見えず終いであった。
残念無念の様相の男児2人。
目の痛みなのか悔しさなのか、自然と溢れ出た涙が頬を濡らす。
「宗主!」
「カンコ!」
二人は手を取り合って、例え日之本家からの援助金が出なくとも、それぞれの家の
金銀財産を惜しむことなく使って、チューゴ家の砂漠緑化プロジェクトを推進して
いくことを、この時心から誓ったのである。
ニホンちゃんは、そんな莫迦なお二人さんを教室に残し、縦笛を持って午後の授業
がある音楽室へ向かった。<続くか?>
ちょんちょん。
解説
iceman
投稿日: 2006/04/12 22:07:00
『黄色い風は不幸を運ぶ』
≪引用ソース元≫
いつまでも中国の黄砂を浴びるわけにはいかない
http://
japane
se.cho
sun.co
m/site
/data/
html_d
ir/200
6/04/1
1/2006
041100
0001.h
tml
黄河流域から季節風に乗り韓国や北朝鮮を経て日本に来る「黄砂」は、今や、有害な汚染物質と言えるが、日本国内での危険性の認知度は甚だ低い。
このことについては、韓国を見習うべきである。
当地への旅行の際は、防塵でなく、防毒マスクが必需品である。
アスベストどころの被害ではないから。
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