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第5話 DD-151 投稿日: 2006/03/08 22:25:00
『化石学者の肖像』

「化石にはね、地球の歴史が詰まっているんだよ。それを研究すれば昔の地球で何があったかがわかってしまうんだ、どうだい凄いだろうニホンチャン」

 人懐こい目が、分厚い眼鏡の向こうからこっちを見ていました。
ぱっとしない風采、所々毛羽立っている旅行カバン、皺だらけのワイシャツにくたびれたロングコート…。その人は大人なのに、他の大人とは違ってとっても子供っぽい人だなと、当の子供のニホンちゃんはしみじみ思いました。
 糸川隼人と自己紹介したその人から色々と話を聞いたのは、道に迷っていた糸川さんをニホンちゃんが駅まで案内しているときでした。
 頼んでもいないのに熱く化石の素晴らしさを語られて少々引きましたが、糸川さんがあまりに熱心に話すせいもあって、いつの間に話にどんどん釣り込まれていました。その上勢いづいてしまったからか、駅でお別れする頃には、すっかり化石の虜になって携帯のアドレス交換までしちゃうニホンちゃんでした。

 とはいえ糸川さんと改札で別れたあとは、ニホンちゃんはいつも通りの生活に戻りました。遠くの遺跡の発掘現場から時々メールで送られてくる写真と、子供相手にしているとは思われないような専門用語オンパレードの文章が、いつもの生活の中で変わった事といえばそうかもしれません。
 暫く糸川さんから連絡が途絶え、化石の写真最近見てないなと考えていたそんなある日、届いたメールでニホンちゃん唖然としてしまいました。

To:ニホンチャン
件名:お久しぶり
本文:ひさしぶりだねニホンチャン。僕はちょっと大変でした。面白い遺跡だったので長居していたらお金がなくなっていました(^^)
 実家に電話して今現金書留が来るのを待っています。頑張って生きて帰るよ!

 帰り道の土手道でそんなメールを受け取ったニホンチャン、正直大人のすることかと眉をしかめてしまいましたが、糸川さんならこういう大人気ない事をするかもしれないと妙に納得。
 溜息一つついて慣れた手つきで携帯のキーを叩き、メール送信してポケットに携帯を仕舞うと、晩御飯はなんだろうかと想像しつつ夕暮れの道をおうちに向かいました。

To:いとかわさん
件名:大変そうですね・。+”・(ノД`)。*;゚,
本文:生きて帰ってくださいね、おみやげまっています。

おしまひ

解説 DD-151 投稿日: 2006/03/08 22:29:00
◇かいせつ
 人工衛生はやぶさ、小惑星イトカワに突撃後、ふられたかなんかしたらしくぐだぐだに。
 往還衛星というのは、技術的に難しく、その小型化は尚のこと大変なんだそーです。
 小惑星に着陸し、サンプルを地球に持ち帰る。そんな単純そうに思えてしまう事も、実際にやるとなると凄く大変。長い時間を地味な作業で淡々とこなし、いざ上がる桧舞台もちょっとしたハプニングで瓦解してしまい、あまつ修正は極端に困難な遠隔地。国際電話でイギリス人にぶっつけ本番の歌舞伎の演技指導しているようなものかもしれませんw

 何が言いたいかといえば、頑張れはやぶさ、ちゃんと帰って来い!
 JAXAの中の人も頑張れ!失敗取り上げて喜ぶマスコミなんぞに負けんな!

◇ソース
はやぶさ
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hayabusa/index.shtml
 「はやぶさ」探査機の状況について
 http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2006/0307.shtml
観測衛星等、学術関連衛生のホームグラウンド内之浦
http://www.jaxa.jp/about/centers/usc/index_j.html
画像引用【(C)JAXA】
※画像は糸川隼人さんとOne Way Trainの急行列車「M-V(みゅーふぁいぶ)」

おわび:ごめんなさい。どうしても登校文章の気に入らない部分や修正漏れがひどかったため、あげなおしました。ここにお詫び申し上げまする…onz

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