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第19話
青風
投稿日: 2006/06/13 12:34:00
『誇りと友情』
フィールドに漂う空気は限りなく熱く、ギャラリーの視線は限りなく鋭く。
しかし、対峙する当事者にとっては全てが別世界の事でした。
デッキの準備は良し。
作戦も練り尽くした。
サブデッキはこの手の内に。
倒すべき敵は目の前に。
今日、ここゲルマッハ家において、
己の全ての尊厳をかけて、シューキューゲーム大会が始まったのでした。
たかがゲームなどと揶揄するものは、フィールドはおろか観客の中にも
一人も居ません。
「兄上、ニホンの奴、どこまで来るかな?」
双子の兄妹にしか判らないほどひそやかな声は、質問と言うより呟きです。
「……」
ゲルマッハ君の無言は極めて雄弁でした。
最近実力を上げたとは言え、まだまだ格下だったはずのニホンちゃんとの
練習マッチで、二人は引き分けをしてしまったのです。
既に一勝をあげた二人ですが、やはり穏やかではいられません。
妹の親友とは言え、勝負は別。
ぎりりと奥歯を食いしばらせたのは、覇者の矜持か再戦への決意か。
「ニホンは、我が家の空調になれていない。これは不利な条件だ」
「いや、チューゴ家での練習試合では、空調などものともしなかった」
「ニホンは、戦術に応用性が無い。最初のカードにこだわりすぎた」
「それは、育てたデッキを信頼している証だろう」
「アーリア、お前はニホンと戦いたいのか? 友人なのに」
「兄上。友人だから、戦いたいのだ」
ふっ、と笑ったきり、双子の兄は答えません。
「くそ。お前らが気にしなきゃいけないのは、この俺だろう。
マルタ程度に手こずるようなニホンに、こだわり過ぎじゃないのか?」
言葉を挟むのはブラジー君です。
彼はこの大会の優勝候補。
もちろん、ゲルマッハ兄妹とはライバルです。
「お前は偉大なライバルだ。軽視などできるはずがない。しかし、な」
アーリアちゃんも、ふっと笑って見せます。
「ああ、そうかよ。しかし、気に入らないな」
ブラジー君は、苦笑いで答えます。
見守るもの。対峙するもの。
それぞれの思いを乗せて、今、時計が運命の時刻を告げました。
ニホンちゃんのデッキは今まで通り、連携と戦術で乗り切る軽量型。
それに対するオージー君のデッキは…?
「うっ、アレは!」
アーリアちゃんの言葉を詰まらせたのは、デッキに並ぶ超重量級カード達。
全てのカードが体力と腕力を生かした近距離攻撃に特化した狂戦士です。
「これは…ニホン、駄目か?」
アーリアちゃんの心配をよそに、ニホンちゃんのカードはひらりひらりと
オージー君の重たい攻撃を快調に避け続け、ダメージを与え、
優勢なまま試合もほとんど終盤まで行き着きました。
「ニホン、これならいけるのか?」
アーリアちゃんは順調な試合運びを見てほっとしました。
ニホンちゃんもアーリアちゃんの視線に気が付き、笑顔を見せました。
次の瞬間、ニホンちゃんにとっての悪夢が始まりました。
もともと軽量級のデッキを使っていた彼女の事、一瞬の気のゆるみが敗北
につながる危険性は常にあったのです。
重量カードに細かく体力を削られていたのも堪えました。
それまでの有利な状況に気がゆるみ、
サブデッキの投入に手間取ってしまったのも原因かも知れません。
気が付けば、ゲームはニホンちゃんの完全な敗北で終わっていました。
「下手な慰めは無用だぞ、アーリア。我らは戦っているのだ」
「判っている、兄上」
もとよりアーリアちゃんには、
ニホンちゃんにかける言葉もありませんでした。
“そうだ、慰めは失礼だ。我らは戦っているのだ”
心の中で呟くと、兄と共に自分の戦いに赴くのでした。
解説
青風
投稿日: 2006/06/13 12:34:00
【解説、になるのか?】
あーあ、負けちゃった……
以下、ソースです。
しかし、単なるこじつけのようなソースばかりだw
◎一貫した自由と信頼=ジーコの下、自立と責任〔W杯〕
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=47040&media_id=4
日本が豪州と対戦 W杯ドイツ大会第4日
http://news.goo.ne.jp/topics/sports/soccer/fifaworldcup/index.html
◎暑さ吹き飛ばすか日本〔W杯〕
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=46682&media_id=4
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