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第20話
iceman
投稿日: 2006/06/13 18:45:00
『カンコ君ブロードウェイへ行く?』
「うんばばぁ、んばっんばっ、うんばっばぁ♪」
ポックリ出てきた小腹をむき出して、鼓のように両の手で軽快に打ちながら、可笑しな歌と共にカンコ君が5年地球組の教室に入ってきた。
昨夜ケーブルTVで観た、お笑い漫才番組の話をタイワンちゃんとしていたニホンちゃんの顔が心なしか強張ったように見える。
「ウリナリマンセー!」
「まあ、ウリの話を聞くニダよ!、チョッパリ小娘。」
またかというニホンちゃんや級友の想いを意に介する事無く、鼻息荒く言い放つ。
「アポジが、とうとうアジア初の動物歌劇場を建てたニダ。」
新たに一つの伝説を作り上げたかのように、得意満面のカンコ君は胸を大きく反らす。
「カンコ君のお父さん、最近自分の家の中でも評判ガタ落ちだったから、良かったねぇ。」
「でもぉ、アジア初ってのはどうなのぉ。」
「日之本家はもちろんだけどぉ、確かチューゴ君家でさえ、チキン歌劇場や上海豚歌劇場って所が以前からあったと思うけど。」
隣家の誼でお愛想するニホンちゃんであったが、一応突っ込まざるを得ない。
「宗主には申し訳ないニダが、ニワトリやブタじゃ所詮まがいものニダ。」
「ウリの家は、ちゃんと犬と猿を主体とする、アジア初の正統派な動物歌劇場ニダよ。」
「そなのぉ?」
「ハイハイ、ニホンちゃんはちょっと退いといて。」
きょとんとするニホンちゃんを他所に、タイワンちゃんはカンコ君の前に出る。
「バカンコ、それでこけら落しでは何を上演するつもりなの?」
「もちろんオリジナル作で、『ジャングル烈士・テコンキング』という題名ニダ。」
「・・・・・・」
「うん、少し早いけど、そろそろ1時間目のパソコン実習室に行こうか、ニホンちゃん。」
「そだねぇ。」
二人は教科書をトントンと揃えて、席を後にしようとする。
「って、ちゃんと最後まで聞くニダ!」
「だって、あからさまにパクリじゃん。」
「パクリって語彙は、ハングルでは表記できず、ウリの辞書にも無いニダよ。」
「代わりに、インスパイヤとかオマージュって言葉ならあるニダ。」
「あのね。」
たいわんちゃんが、カンコ君に詰め寄る。
「と、ともかく、今回はアメリー家やチョッパリのところで評判になってる『ジャングルキング』の未完成な部分を直して、正統な台本を書き上げたニダ。」
少し後ずさりしてカンコ君は言った。
「あのぉ、その『ジャングルキング』自体、アメリー君家のミッキーが、日之本家の虫好きのおじさんが書いた児童漫画、『ライオン大帝』を盗作したものなんだけどぉ。」
おずおずと、ニホンちゃんがタイワンちゃんの後ろ横から発言する。
「チョッパリは、嘘つきニダ!」
「その虫好きのおじさんが創作したものなら、何で盗作したアメリー家に謝罪しると言わないニダか。」
「それはぁ、」
「・・・明らかな盗作なので、訴訟して勝つことは無論簡単なことだけど、それではアメリー家の少年少女を悲しませることになってしまう。」
「だから、訴えないことにしたって、生前、虫好きのおじさんがあたしに語ってくれたわ。」
その言葉で、しばし場が静まる。
が、カンコ君が静寂を破って叫んだ。
「アイゴー、亡くなっていたニダか。」
「それなら、回りくどい直しはせず、まんま台本を原作から写せば良かったニダよ。」
「チョッパリもウリを騙していた謝罪がわりに、演出を手伝うニダ。」
「バカンコ、あんた何を言ってる・・・」
「ビシッ!!」
瞬時、カンコ君の顔が横に捻じれて、身体ごと黒板まで吹っ飛んだ。
教室中がざわめく。
「アイヤー!何ごとアルか?」
自分の席で何事か悪事を画策していた、チューゴ君が奇声を発する。
「ガッテム!キッチョムの奴め、とうとうやりやがったか?」
肉の販売網回復に忙しいアメリー君も、驚いて机の上に飛び上がった。
タイワンちゃんは、かすかに足元で横影が揺らいだかに思えたが、ニホンちゃんを振り返ると、いつもと変わらぬにこやかな顔つきである。
いや、普段に増して笑顔のような気がした。
放課後、地球町小学校の校舎から校庭へとバラバラと子供達が飛び出して行った。
ニホンちゃんは、今日も親友のタイワンちゃんと一緒に帰路に着く。
「ところで、ニホンちゃん。」
「なあにぃ。」
「せっかく歌劇場を作っても、結局カンコ君家だけじゃ用を成しそうもないけど。」
「また、助けてあげるの?」
「うん、たぶん。」
「例え断り続けても、いちゃもんつけてくるに違いないもん。」
「ほんと、厄介な隣家だね。」
「もう、しばらくはこのままだと、諦めてるよぉ。」
そう言いながら、ニホンちゃんは携帯電話をいじっている。
「ニホンちゃん、誰にかけてるの?」
「ちょっと、アメリー君に相談というか、交渉したいことがあって。」
「・・・そう。」
(ぴろぴろぴ〜)
カンコ君は、キョロキョロと辺りを気にしながら、いつもの帰り道とは違う商店街大通りの真ん中を歩いて行く。
「うんばば、・・・んばうば、うんばば」
「こわくなんか、ないんだぞぉ・・・」
(了)
解説
iceman
投稿日: 2006/06/13 18:48:00
『カンコ君ブロードウェイへ行く?』
≪ソース引用元及び後記≫
http://
japane
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ir/200
6/06/0
8/2006
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劇団四季の浅利慶太代表、韓国初のミュージカル専用劇場で『ライオンキング』を上演する。
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