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第32話
pecotan
投稿日: 2006/07/17 15:55:00
ショート・ショート『蝉が泣く夏の日』
「ニホンちゃん、あのうるさい蝉は何なのさ?」
楽しい会話をさえぎる音に、アメリー君が悲鳴を上げる。
「ああ、あれね。」
「あれは、チョン蝉というのぉ。」
「すごく、わずらわしい虫なんだけど、ニホンちゃんは気にしてないの?」
「いつも、あたしの行く先々で、鳴きまくって邪魔するのよぉ」
「だけど、相手が7年間地中で我慢して、ようやくひと夏だけ地上世界で生き物としての自由を楽しんでいる蝉さんだから、今までは許していたの」
「今までは?」
「そう、今まではなのぉ」
ニホンちゃんの身体からとげとげしいオーラが出始めているのを感じて、アメリー君はいつもと違う彼女をどう扱っていいのか不安になってきました。
「ところで、例のキッチョムの奴の件だけど、チューゴとロシアノビッチの野郎が強気で、妥協案になってしまったけど、いずれは、かたをつけるつもりさ。」
「それに、ニホンちゃんが自主的な防衛策を考えるのは、僕は賛成さ。なにせ、・・・」
その時です。
あのうるさい蝉が木の幹から離れたかと思うと、ニホンちゃんの足元におしっこと糞を落としました。
あやうく、避けたニホンちゃんは、キッと飛び去る蝉を見やりましたが、如何せん、蝉を打ち落とす手段を持っていません。
「やあ、大丈夫かい。」
アメリー君が心配して尋ねましたが、コクリと首を振っただけで、まだ、空をニホンちゃんは見上げてます。
「心配しないで、今度あの蝉が近くに来たら、僕が打ち落としてやるからね。」
「・・・うん、あたしもいつまでも引き下がっていられないから、頑張る。」
ニホンちゃんは、何か固い決意をしたようです。
アメリー君は、友好関係を強めるチャンスと思っていた矢先、
「おーい、チョッパリ謝罪しる〜!」
間の悪いところへ、カンコ君がいつものセリフを言いながら近づいてきます。
「ちぇ、カンコの奴か。」
せっかく、親密な話をニホンちゃんとしていたのに、雰囲気がぶち壊しです。
「おお、アメリーも居たニダか。」
「チョッパリ、キッチョム兄に難癖をつけるのはやめるニダ。」
「制裁も止めて、今すぐキッチョム兄とウリに謝罪と賠償しるニダ!!」
「アメリーは、家族ぐるみの友人付き合いをしている間なので、今回のことでは責めないニダが、チョッパリには厳しく反省してもらうニダよ!」
連射砲のように非難を浴びせかけるカンコ君であったが、ニホンちゃんはその横をスーと何事もないかのように通り過ぎて言った。
「おいおい、ニホンちゃん。カンコの奴にガツンと言ってやらないの?」
自らの言葉でファビョーン化が始まっているカンコ君を残して、あわててアメリー君がニホンちゃんの後を追っかけてきた。
「・・・カンコ、誰それぇ。」
「あたし、身に覚えのないことでうるさく付きまとう輩は、無視することに決めたのぉ。」
そう、冷たい目でアメリー君を見上げた。
ゾーと背筋が寒くなる想いで、その言葉を受け止めたアメリー君は知った。
(ああ、女の子が本当に怒るときって、こんな感じだったか。)
「カンコもいい加減にしとけば良かったのに、明日からクラスの女子に当分相手にされないなぁ。」
ぼそっと言うアメリー君に、
「ところで、アメリー君。」
「カンコ君ととっても親しい友達なんだってぇ?」
(ブルッ)
「いや、とんでもないよ。」
「あいつは下僕みたいな存在さ。」
冷や汗を一滴流しながら、言いのけるアメリー君。
「・・・そう、下僕ねぇ。」
「あたし、アメリー君ってそんな人だと思ってなかったわ。」
(じっとぉ)
「いや、その、あのぉ・・・」
なおも言い訳を続けるアメリー君を連れ、ニホンちゃんは暑くなってきた日差しを避けるかのようにモール街に入っていった。
「夏が暑いのも、みんなチョッパリが悪いニダ・・・」
ニホンちゃんが自己中な彼を見捨てたことを、カンコ君は自覚することがあるのだろうかと作者は疑問である。
解説
pecotan
投稿日: 2006/07/17 15:58:00
『蝉が泣く夏の日』
ソース元にゃ
盧大統領「日本とは対決しなければならない」
「米国は友邦なので厳しく責めることは出来ないが…」
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7/2006
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