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第54話 おおつやすたか 投稿日: 2006/10/04 14:31:00
『その行為は禁止されている』

「う、ウリはもうガマンできないニダ! オシッコしちゃうニダ!」
 地球町小学校の校庭のどまん中に、キッチョムくんの声が響きます。
「い、いきなりなんてことを言うんだキッチョム!」
 キッチョムくんの声を聞きつけたアメリーくんが、血相を変えて校舎から飛び出してきました。
「そうよ、こんなところでオシッコだなんて、回りの迷惑というものを考えなさい!」
 アメリーくんの後ろから、フランソワーズちゃんも駆けてきました。
「アメリーがいけないニダ! こないだウリの財布を取り上げたので、ウリは靴が買えずに校舎に入れないニダ! だからここでオシッコしちゃうニダ! されたくなければ財布返すニダ!」
「あれは、元々お前のじゃなくて、お前がザイちゃんから強奪したものだったろう……まったく、実の妹からカツアゲするとは……」
「関係ないニダ! とにかくあれがないからウリは移動もままならないニダ! だからここでオシッコしちゃうニダ!」
「だ、ダメよ、そんなことをすると校庭が汚染されちゃうわ!」
 フランソワーズちゃん、かなり慌てています。
「その点については心配はいらないニダ。ウリは徹底的に安全性が確保された状態でオシッコしちゃうニダ。ちゃんと縦穴を掘るニダよ」
「勝手な屁理屈を言うな! クラスの平和を任されているものとして、そんな勝手な行為を許す訳にはいかん!」
 アメリーくん、拳を振り上げてキッチョムくんを威嚇します。しかし、キッチョムくんは平気な顔で、ズボンのジッパーに手をかけました。
「ふん。何を言うニダ。ウリは知っているニダ。そういうアメリーだって、ちょっと前はプールの中で何遍もオシッコを繰り返していたニダ」
「な、何を……」
「最初にやった時には、ニホンの家から持って来たオモチャのボートをプールに浮かべて、それにひっかけてたニダね」
「う……」
「だからと言って、あなたが校庭で不潔行為をしてもいいという理由にはならないわ」
「黙るニダフランソワーズ。そういうお前が隠れて砂場でオシッコしてたことも、ウリは知っているニダ」
「そ、それは……」
「それだけじゃないニダ。エリザベスはオージーの家の庭でやってるし、ロシアノビッチは妹の部屋で密かに……」
「な……いいがかりはよせ」
 校舎から千鳥足で出てきた瞬間、自分の方にいきなり話を振られたロシアノビッチくんも、真っ赤になって(酒のせいかも)怒ります。
「いいがかりではないニダ。アメリーがその様子を日記に書いていたのを見たニダ。そこには『ジョー1号』『ジョー4号』としっかり書かれていたニダ!」
「言われてみれば、そんなこともあったかも知れん……」
 隠していた事実をすっぱ抜かれて、ロシアノビッチくんは身体を小さくします。
「チューゴニムだって涸れた池のほとりでやってるし、イン堂だって、みんな、みーんな、やってるニダ。ウリはここで敢えてオシッコをすることにより、放尿の悲惨さを皆に思い知らせ、不道徳なオシッコをさせないようにすることを考えているニダ!」
 と、こんな調子でキッチョムくんは大演説をぶち始めましたが、その姿を校舎の陰から冷ややかに見つめる視線が二つありました。紫苑ちゃんとニホンちゃんです。
「……まったく、キッチョムのやつは……」
「オシッコは誰でもするものだ、何て言ってるわよ」
 このニホンちゃんの言葉に、紫苑ちゃんはふふっと意味深げな笑みを返します。
「全然わかってないな」
「そうね」
 ニホンちゃんも、にっこりと笑って答えます。
「わたしたちは、そんなことはしないわよね。だって、美少女だもん」
「ああ……やろうと思ってできないことはないけどな」

解説 おおつやすたか 投稿日: 2006/10/04 14:40:00
『その行為は禁止されている』

言わずと知れた、北朝鮮の核実験宣言ネタです。
ソースはこんなとこかなと。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20061004/mng_____kok_____001.shtml

アメリーくんがひっかけたというニホンちゃんのボートの名前は「長門」です。その時アメリーくんは何故か女性の水着(しかもセパレート)を着ていたという風にもしようと思いましたが、あまりに下品過ぎるのでやめました。

最後にニホンちゃんと紫苑ちゃんが出てくるのは「核実験してないけど大量にプルトニウムを持っている国家」「核実験してないけど核兵器持っているのが周知の事実と化している国家」であるためです。

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