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第74話
酒仙堂 湊
投稿日: 2007/01/15 22:40:00
『せっかくだから』
「今夜は旨い魚が喰いたいアル 魚はやはり鮮度が一番! 釣りたてに限るアルな♪」
家の前の池にボートを浮かべて釣り糸を垂れているチューゴ君。今日はなにやら機嫌がいいみたいですねぇ〜
「最近は嫌なことが多いアル。太公望を決め込んでいる時くらいは気楽にやるアルよ」
しかし、水面に浮かんだ 浮き はピクリともしません。
「おかしいアルな・・・ さっきからなんの手応えもないアル・・・」
不思議に思い始めるチューゴ君。今日はボウズですか?
「うっさいアルね! ん? んお? なっ なにアルかっ!」
その時、池に異変が起こりました。それは・・・
「池の水が真っ赤っかアル!!」
いつの間にか、チューゴ君のボートの周りの水が真っ赤に染まっています。そして、チューゴ君が釣るハズだった魚たちがその中でもがいています・・・
「これは・・・ 赤潮アルか!? 朕の魚たちが死んでいくアルーッ!!」
池の水とは正反対に、チューゴ君の顔からは血の気が失せ、真っ青になっていきます。しかし異変はそれだけではありませんでした。
むしろ、本当の恐怖はこれからなのです・・・
『セッカクダカラ・・・』
「な! なにアルか!?」
『セッカクダカラ・・・』
「うわっ! うわわっ!!」
チューゴ君は持っていた釣竿を放り投げて腰を抜かしました。赤い水の中から浮かび上がってきたのは、チューゴ君の体よりもデカいクラゲでした。
『俺ハコノ赤潮ヲ選ブゼッ!』
クラゲはたちまち、弱っている魚を捕らえると食べ始めます。そして気付けば、クラゲがボートのたくさん浮かんでいました。
「うぬぬ・・・ こしゃくな軟体生物めっ こうしてくれるアル!!」
キレたチューゴ君。今度は顔を真っ赤にしながらボートのオールでクラゲを叩き始めます。
『ヤリヤガッタナ!』
しかしぶにょぶにょのぐにゅぐにゅな体は浮き沈みはするものの、さしたるダメージを受けてはいないようです。
「打撃は効かないアルな・・・ しかしこんな奇怪な軟体生物に朕の大事な中華包丁は振るいたくないアル・・・」
と、一匹のクラゲが、赤潮で紅く染まった触手を1本、チューゴ君に向けると・・・ ピュ!と塩水を噴き出しました。
「うぎゃあぁぁっ!! 目に入ったアル! 染みるアルーっ!」
目に海水の直撃を受けてのたうち回るチューゴ君・・・ そうしている間にもクラゲはどんどん増えていきます。まるでマ○ハ○ドのように・・・
「えぇい” お前らなぞどこぞに流れていくヨロシ!」
目を瞑ったまま無茶苦茶にオールを漕ぎまくります。それは波を作り・・・ ゆっくりゆっくりと、クラゲたちを沖へと運んでいきます。
(この先にはニホン池があるアルが・・・ ま、まぁいいアル・・・)
視界が回復した彼は沖合いに流されていくクラゲを見送り・・・
(ち、朕はなにもしてないアル! 見てないアル! 知らんアル!!)
必死に現実と・・・ クラゲから逃げていきました。
その頃、ニホン池では・・・
「姉さん、あと少しだよっ!」
「うん、そっちも頑張って!」
合羽と長靴で武装したウヨ君とニホンちゃん。どうやら地引網を引いているようですね。
「くぅ〜〜 重い! これは大漁かもしれないよ姉さんっ!」
「楽しみだね〜 んしょ! なにが入ってるかな〜 カニかな〜 タラかな〜 フグかな〜」
2人の脳裏には、ぐつぐつと煮える鍋が浮かんでは消え・・・
「あと少しっ もう少しっ!」
「んしょ! よいしょっ! カニ? タラ? フグ? ・・・キャアーッ!!」
「うげっ! なんだよこれっ! キモッ!!」
現実とは非情なものです・・・
『ナァンダコノ海岸ハァー』
「イヤーッ! おばけクラゲーっ!」
そんな姉弟の希望を完膚なきまでに叩き壊しました。
『セッカクダカラ、俺ハコノ赤イ日ノ丸ヲ選ブゼッ!』
「ひぃえぇぇぇっ!! おたすけぇぇぇっ!!」
まさに脱兎の如く、2人は後ろを決して振り返らずに逃げていったのでした。
『オォノォ!』
後日・・・ チューゴ家の場合
「追っ払っても追っ払ってもワイて出てくるアルな・・・」
時折発生する赤潮、そしてデカいクラゲ・・・ さすがのチューゴ君も大弱りです。
「・・・こういう時こそチューゴ家4000年の歴史に縋る時アル・・・ なにかイイ手はないものアルか・・・」
そしてふと、思いつきます。
(昨日食べた中華クラゲの和え物は旨かったアルな・・・ こいつらも同じように喰えないものアルか・・・?)
思い立ったら即行動! 大きな網を持ってきてクラゲを捕獲すると、わき目も振らずに中華包丁を振り下ろします。
『上カラ来ルゾ! 気ヲツケロヨ!』
クラゲがなにか言っていますがもうすでに耳に入りません。いやはや、さすが椅子や飛行機以外はなんでも食べるというチューゴ家の食文化には呆れ・・・ 関心します。
「うるさいアルなっ! っとこんな感じでいいアルかな?」
あっという間に中華クラゲ?の和え物が完成します。そしておっかなびっくり口に運び・・・
「・・・まぁまぁ 喰える味あるな 本物には及ばないアルが、及第点アル。むしろ・・・」
チューゴ君の切れ長の目が怪しい光を帯びます。
「本物として売れば儲かるアルな こんなクラゲ捨てるほどいるアル ふっふっふ・・・」
・・・誰に売るんでしょうね・・・
後日・・・ ニホン家の場合
「ほうちょぉいぃっぽん♪ さらしにまぁいぃてぇ〜♪」
ウヨ君の歌声がニホン家の台所に響きます
「どうしたの? あ、なんだかいい香りがするね〜」
歌と料理のいい香りに釣られたのか、ニホンちゃんが台所を覗き込みます。
「あ、姉さん 見てくれよ〜 顔形の間で流行ってる料理なんだって」
「あ、美味しそう〜」
ニホンちゃんの前にはいろいろな料理とお饅頭、そしてソフトクリームとあんみつが。
「これみんな、あのクラゲ使ってるんだぜ! すごいでしょ!」
「・・・」
ニホンちゃんがそれらを食べたのか それは秘密ということで・・・
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http://
www.ji
ji.com
/jc/c?
g=int_
30&k=2
007011
201007
ネタとしては古いけど、海洋汚染ネタがあったんで・・・
http://
www.ma
inichi
-msn.c
o.jp/s
cience
/env/s
olarbe
ar/arc
hive/n
ews/20
060808
org00m
040030
000c.h
tml
中国沿岸は悲惨ですな どうせろくに処理もしないで工場廃液垂れ流しなんでしょ
日本も通った道とはいえ・・・ それを拡大再生産の真っ最中のようですな
http://
www.ki
tasato
-u.ac.
jp/dai
gaku/n
oui/no
ui_no1
7.html
日本でもこいつを食べる文化があったみたいですが、中国はガチで輸出しているようです
http://
www.sh
onai.n
e.jp/k
amo/sh
op/res
tauran
t.htm
そして顔形の間・・・ 山形県は鶴岡市にある「加茂水族館」一時は潰れかけたが起死回生、綺麗なくらげの展示が評判を呼んでいます
くらげアイスあたりは喰ってみたい気がするが・・・
ということで、久しぶりに書いたら長くなってしまったがケンチャナヨ〜
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