戻る
<<戻る
|
進む>>
第5話
北極星
投稿日: 04/06/18 01:22 ID:9/JzeR0H
>>86
ロシアノビッチ君はニホンの玄関口に仁王立ちして、俺にもにがりをくれ、と叫びました。
「ロシアノビッチ君が?」
「そうだ!」
「いいけど、何にするの? 痩せたいんじゃないよね」
この酔いどれ小学生はダイエットに気を配るタイプではありません。
なぜにがりを欲しがるのか、ニホンちゃんは疑問でした。
「なに、そろそろウクライナの誕生日でな。毎年俺様手作りの木彫りの熊をプレゼントして
やってるんだが、さいきんあまり嬉しそうな顔をしなくなってな。ほかのプレゼントを用意
しなきゃいかんなァと思うようになってよ」
「そりゃ……ね」
誕生日にそんなものをもらってもな、とニホンちゃんは思いました。
「そこで魔法の水とやらだ! なんだ、1滴飲むだけで10kg痩せるわ肌が赤ん坊みたいにツル
ツルになるわ全身の皺がとれるわ癌が癒るわ解脱するわで大騒ぎだというじゃねえか!」
(話に尾ひれがついてる!)
と、ニホンちゃんは戦慄しました。
おそらく先に手にいれたフランソワーズちゃんが自慢たらしく触れまわったのでしょう。
彼女にはそういう軽薄なところがあります。
「な、だからニホンよ、俺にも魔法の水とやらをくれ。なあ頼むぜ。マブダチだろうがよ俺ら」
ロシアノビッチ君は両手をあわせてニホンちゃんに拝みこみました。
いつのまに親友になったのかなあ、と結構冷淡にぼやきながら、ニホンちゃんはにがりの
ボトルを冷蔵庫から取り出しました。
「1本でいい? ほかのひとにもあげたからもうストックがないの」
「おお、すまん。1本でいいんだ。金はいいのか?」
「只でいいよ。にがりなんて昔は捨ててたくらいだし…。でもそんなに大したものじゃない
から期待しないでね」
「いやいや、悪いなあニホン! きっとウクライナも喜ぶだろう。この件は貸しにしといて
やるぞ。いつか力仕事が必要になったら俺を呼べ。格安で手伝ってやるからな!」
只じゃないのね…。
ニホンちゃんは脱力しながら、意気揚々と帰っていくロシアノビッチ君に手を振るのでした。
「アイゴーーーーッ!!」
甲高い奇声がお隣から聞こえてきました。
この作品の評価
結果
その他の結果
選択して下さい
(*^ー゜)b Good Job!!
(^_^) 並
( -_-) がんばりましょう
コメント: