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第1248話
黒瓶
投稿日: 02/10/11 11:22 ID:CJvsElkH
でふれすぱいらる
今日もいつもの3人で仲良く下校してます。
ニホンちゃんを真ん中にタイワンちゃんとアーリアちゃん。
話題を最初にふるのはほとんどの場合タイワンちゃんです。
「ニホンちゃん、今度の日曜みんなでカラオケいくんだって。ニホンちゃんもいくよね」
「え、ああ、あの、その日はちょっと・・・ゴメン、今回はエンリョしとくよ・・・」
「なんだ、最近つきあい悪いな。それになんか元気ないんじゃないか?具合でも・・・」
うつむくニホンちゃんの顔をのぞき込むアーリアちゃん。ちょっと近すぎじゃありませんか?
タイワンちゃんすかさずさえぎって、
「そうそう!私も思ってたんだ。なんかあったの?ニホンちゃん」
「え・・・あの、別に・・・わっ」
「正直に話したほうがいいよ、ニホンちゃん」
後ろからアメリー君が割って入ってきました。
「・・・お前はホントに他人の話にクビをつっこむのが好きだな」
あきれ顔のアーリアちゃん。
微妙な表情のタイワンちゃん、気を取り直して
「アメリー君、なんか知ってるの?」
「・・・ニホンちゃん、いいかな?」
「・・・ううん、私ん家の問題だもん。・・・私から話す」
「・・・OK」
ニホンちゃんのお父さんの会社が借金で大変なのはみんな薄々気づいてました。
でも、それが原因でニホンちゃんのお小遣いも減らされていたことは知らなかったのです。
「いままでがもらいすぎなのはわかってるけど、やっぱりお金を使う気にならないの。
・・・お金の大切さ、ていうのかな。そういうモノがわかった気がするの」
ニホンちゃんのこの言葉に、アメリー君は少しどきっとしました。
アメリー君が同じセリフを言ったらクラス中から銭ゲバ扱いされるのは目に見えてます。
(キョウトという子猫をひろってきた時の前科もあります)
でもアメリー君の顔は冷静です。
「ニホンちゃん、気持ちはわかるんだけど、お金を使わなすぎるっていうのもどうかと思う」
タイワンちゃん少し驚いて
「え、どういうこと?」
アーリアちゃんも
「具体的かつ論理的に説明して欲しいな」
「いいとも」
「・・・いいかい、お金を使わないってことはモノを買わないってことだ。ニホンちゃんだけ
じゃなくニホン家の人みんながモノを買わなくなったらどうなる?」
「うーん、そりゃやっぱりニホンちゃんの家にお金がたまるんじゃない?」
とタイワンちゃん。
「それですむならいいけど。モノを買わなくなったらそのモノはどうなる?余るだろ。
ニホン家の会社のモノはどんどん余っていくわけだ。会社だといつまでもモノを
余らして置くわけにいかない。モノを売るために会社はどうすると思・・・」
「安く売ればいい」
アーリアちゃん、アメリー君の話し方に少しいらいらしてるようです。
そんなことお構いなしのアメリー君、ふりむきざまにアーリアちゃんを指さし、
「ご名答。そうだ、安売りすればモノは売れるに決まってる」
アメリーくん、推理小説の事件解決シーンでも頭に浮かんでるみたいです。
「しかし安く売ると利益がでない。利益が下がると給料も下がる。お父さんの給料が
下がるとニホンちゃんのお小遣いもまた減らされる。そうなったら、ニホンちゃん、
どうする?」
「えっ、えーとぉ・・・そうだな・・・やっぱりもっと使わなくなる、かなぁ」
「だろ。そしてふりだしに戻る。これが繰り返されていくと・・・」
「・・・お小遣いがなくっちゃう!」
ニホンちゃん、目がうるうるしてきました。
「大丈夫だ。ニホンちゃん、こいつの話は全て仮定の話だ。気にするな」
ニホンちゃんの手を握るアーリアちゃん。
といつもならここでつっこみがはいるのですが、
タイワンちゃんはほ〜っとした顔でアメリー君を見つめています。
「・・・仮定ならいいがな」
少し暗い顔でつぶやくアメリー君。
「どういうことだ?」
「アーリアちゃん、違うの。・・・今の話、全部、ほんとなの」
「えっ?」
「・・・アメリー君の、言うとおりなの。今の私ん家・・・
ぁ、でもお小遣いはまだゼロじゃないから、だいじょうぶだから・・・」
けなげに涙をこらえて笑顔を見せるニホンちゃん。
こんな笑顔を見せられたら誰であろうと・・・・・・
「ニホンちゃんの家はうちの会社ともたくさん取引してるからね」
(・・・はっ、いかん!)
アメリー君の声で現実に戻るアーリアちゃん。慌てて手をひっこめます。
「助けてあげたいんだけど、これは家の中の問題だし・・・」
今度はアメリー君がニホンちゃんの両肩を抱きます。
「ぼくもほんとに心配してるんだ。ニホンちゃんのこと・・・」
と言ってるアメリー君の目は凍りそうなくらい冷静です。
まともに聞けば全く自己中なアメリー君の論理ですが、人が良すぎるニホンちゃんは
「あ、ありがとう・・・」
「でっ、でもさ!」
何かイヤな気持ちを覚えたタイワンちゃんが割って入ります。
「ニホンちゃんのお父さんってさ、昔すごい貧乏だったニホンちゃんの家を
こんなに立派な家に建て直したんでしょ?すごいじゃん。大丈夫だって。
今は大変かもしれないけど、すぐに会社の借金も返して、
絶対前みたく元通りになるって!ねっ!」
「・・・ぅん・・・」
会社の借金という言葉が、ニホンちゃんの胸をぐっと締めつけます。
実はニホンパパの会社は、経理担当の重役さんが交代したりと、
今まさに経営の正念場を迎えているのです。
ニホンちゃんはパパとママの会話を盗み聞きして知っていました。
ニホンパパの会社については、また次の話としましょう。
「ぼくも応援するよ。借金、はやく返せるといいね」
相変わらず冷たい目でニホンちゃんを見つめるアメリー君。
アーリアちゃんが後ろからニホンちゃんの肩をぽんっと叩きます。
「・・・元気だせっ」
「み、みんな・・・うっ」
思わず顔を覆うニホンちゃん。
それを優しく見守る3人。夕焼けが4人の長い影を映し出します。
美しきかな、友情です。(一人微妙に違うのがいますが)
・・・と、
「よおおおしっっ!!元気だすぞおおっっ!!!!」
(ニ、ニホンちゃん??)×3。
「タイワンちゃんっ、私カラオケいくっ!みんなで歌いまくろっ!」
「えっ?ええ?・・・あ、うんっ」
「アーリアちゃん一緒にモー娘歌うからねっ!」
「へ?いやっ、それは・・・」
「そうだ!アメリー君もいこ!ね?氷川きよし歌ってね!」
「what?なっ、なんでやねん!」
ニホンちゃん、さっきまでの涙をこらえた笑顔じゃなくて、ほんとの笑顔です。
(一番つらいのはパパだもん。私が元気ださなきゃパパも元気にならないもん・・・)
「みんな、ありがとう・・・さあ、かえろっ」
あっけにとられてた3人、その笑顔を見て一安心しました。
誰からともなく笑みがこぼれます。
(ニホンちゃん、また少し強くなったみたいだな・・・)
アメリー君も、さっきまでの冷たい目ではなく、いつもの優しい目で
夕焼けにとけるニホンちゃんの後ろ姿を見つめていました。
糸冬
(おまけ)
4人の会話を物陰で聞き耳たてている人物がいました。
チューゴ君です。
彼の家も、最近ニホン家との取引が急激に大きくなってきてることと、
ODAという少し難しいお金のやりとりがあるのでニホン家の台所事情に
大変興味をもっていたのです。
おや、チューゴ君の足下に誰か伸びています。
そうです。我らがカンコ君です。
話の途中で飛び出そうとしたところをチューゴ君に一発やられたみたいです。
カンコ君、君が割り込めるような話じゃないから今日はセリフなしね。
『・・・にっぽんのみらいはっ』とか歌いながら帰るニホンちゃんの後ろ姿を
見ながら
(・・・もう少し静観するアルか・・・)
策士の顔で立ち去るチューゴ君でした。
ちゃんちゃん
解説
黒瓶
投稿日: 02/10/11 11:29 ID:CJvsElkH
初投稿です。
えー、タイトル通りです。どないでっしゃろ?
ガイシュツならすまそです。一応ざっとあるのは読んだのですが・・・
おわかりだと思いますが「会社の借金」=「不良債権」です。
キョウトという子猫の話は第239話です。
次は絶対萌え話かこっと。
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(*^ー゜)b Good Job!!
(^_^) 並
( -_-) がんばりましょう
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