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第1253話 百葉 投稿日: 02/10/17 23:30 ID:VgPGrwDh
「ODA賃狂騒曲」

〔1/2〕

「ニホン、実はうちの中華マンションを立て替えたいアル。はやくODA賃よこすアル。」
いつもチューゴ君はそう言ってニホンちゃんの財布から根こそぎお金を持って行きます。
しかも、マンションの建て替えのためといいながら実はミグ犬やら、花火の準備やらをしているのです。
今、ニホンちゃんのお家では家計が火の車。それはもうボウボウと火を吹きまくりです。
『うぅ〜・・・。私もお小遣い減らされてて苦しいのに・・・・。持っていかないでよぉ、チューゴくん・・・』
と思うのですが、やはり内気なニホンちゃんは面と向かっては大きなチューゴ君に言う事は出来ないのでした。


今日もニホンちゃんはチューゴ君にたかられていました。
「ニホン、ODA賃をよこすアル。」
「こないだあげたじゃない。またぁ?」
「そうアル。こないだくらいじゃ足りないアル。もっとよこすアル」
「う〜。わかったよぉ。でも、アジア班の他の人にも上げないとならないし、そんなにはあげられないよ・・・・。」
「仕方ないアル。貰える分だけでいいアル。」
などと言っているところにカンコ君がやってきました。
『うわぁっ・・・・。サイアクだ・・・・・。チューゴ君だけでも大変なのに、大変なお隣りさんが来たよぉ・・・・』
ニホンちゃんは内心思いました。
「何してるニダ?ニホン、財布開いてるニダ。ウリに謝罪と賠償するニダか?」
「ち、ちがうよぅ」
「今ニホンからODA賃を貰っていた所アル。でも最近少ないアル。」
そう言いながらも、ニホンちゃんから1番貰っているのはチューゴ君の家です。

「最低ニダ。ニホンはまだ(ニッテイのコトを)反省していないからODA賃も減らしているニダ。」
相変わらず意味のわからない因縁の付け方です。
「じゃ、じゃあカンコ君の所はODA賃いくらあげてるの?」
負けじと反論するニホンちゃん。最近はカンコ君の言われるがままになるのはうんざりしてきたようです。
「ウリんところは―――」
「そうアル。忘れてたアル、カンコも早くウチにODA賃寄越すアル。」
「え?き、昨日渡したニダ、チューゴ君。」
「あれはODA賃じゃないアル。朝貢アル。さっさとODA賃も渡すアル。
「え・・・?ち、ちょっと待つニダ・・・・」
「さあ、うちでじっくりとその事で相談するアルよ。じゃあニホン、バイバイアル。」
そういってニホンちゃんの財布からちゃっかりとODA賃をかすめてチューゴ君は
カンコ君を引きずって中華マンションへと消えていったのでした。
「はぁ〜・・・・。なんか、疲れちゃったなあ・・・・・。もう家に帰ろう。」
とぼとぼと重い足を引きずりながら家に向かっていると、後ろからインドネシアちゃんが思いつめたような顔をしてやってきました。
とりあえずニホンちゃんが振りかえって
「どうしたの?インドネシアちゃん?」
「うん・・・・。ニホンちゃんがODAで立ててくれたダムだけど、あれってうちの家の一部が水に浸かるのよ。」
「え?で・・・でもそれは最初からそう言ってあったはずだよ・・・・・?」
「・・・・・でも、ううん。でももうコクレンおじさんに建設の抗議したからねっ!!」
そう言うなりいきなりインドネシアちゃんは走り去ってしまいました。
「いったいなんなのよ・・・・・。」
ニホンちゃんはやるせない気持ちでいっぱいになり、その場にへたり込んでしまいました。

「2/2」
次の朝、ニホンちゃんは少し早く登校しました。
ODA賃の件でみんなはどうしてるか聞いてみたかったからです。
地球組には既に3人の人影がありました。
なんでも1番が好きで、もちろん1番早く登校してきたアメリー君と、
規則正しい正確さが信条のゲルマッハ・アーリア兄妹です。
ニホンちゃんは3人に昨日の出来事を話し、ODA賃についてみんなはどうしているか聞いてみました。

ちなみにアメリー家、ニホン家、ドイツ家は地球町ではODA賃を出しているベストスリーです。
昔はニホン家が1番ODA賃が多かったのですが、最近家計が苦しくてアメリー家に抜かれてしまいました。
例によって例の如くアサヒちゃんはご丁寧にも大フォントの見出し付き三面記事で
『ニホン、アメリー家に抜かれる!!?』などと大々的に学級新聞に書いてくれたのもニホンちゃんが
ODA賃の使い方について弱気になっている理由の一つでもありました。

「アメリー君はどんな方法でODA賃をあげてるの?」
ニホンちゃんが聞くと、アメリー君は機嫌よく答えました。
「そうだね。うちでは主に敵になりそうなところにお金をあげてるな。うちは敵が沢山いるからね。
なるべく恩を売っておいて敵にならないように説得するんだ。ニホンちゃんも見習えばいいよ。」
得意げにそう言うアメリー君。ニホンちゃんは困惑しながら首を傾げました。
「う〜・・ん。」
でも、ニホンちゃんの所には敵と呼べる人はあまりいません。
(実力不相応で、敵意剥き出しのカンコ君とかヒキコモラーのキッチョム君とかはODA賃あげてもつけ上がるだけですし)
アメリー君が話しているところへ紫苑ちゃんがやってきました。
「あら、アメリー。いいところにいたわね。」
「なんだい?紫苑ちゃん。」

頬に汗を滴らせながら言うアメリー君。どんな無理難題を吹っかけられる事やら・・・。
アメリー家ではテレビや金庫を紫苑ちゃんに押さえられているので頭が上がらないのです。
だから、紫苑ちゃんが要求した事はアメリー君は従わざるを得ないのです。
「ODA賃のことよ。今度またイラクの家で花火を爆発させるでしょ?」
「ああ。」
「だから、エジプトに恩を売っておきなさい。うちはあの家とイラクの家の間にあるんだから、エジプトに動かれると
後々面倒だわ。」
「あ、ああ。わかったよ、紫苑ちゃん。」
「じゃあ、そういいうことでよろしくね。」
先ほどまで意気揚揚としていたアメリー君ですが、実は紫苑ちゃんの言いなりでODA賃も出している事が
知られて気まずくなったのか、じゃあ、僕からはそれだけかな、と言って肩を落して自分の席に行ってしまいました。
「うん・・・ありがとう。」
とニホンちゃんは返事しました。

「ふむ。我らの番だな。」
「う、うん。よろしくね。」
「ニホンも頑張ってはいるのだが、まだ無駄が多いな。」
「うむ。今調べた所ではアジア、アフリカのほとんどにODA賃を渡している。
だが、多くの人に渡す分個人個人に渡るODA賃は少なくなってしまう。」
アーリアちゃん、ゲルマッハ君が次々と指摘します。
「うっ。そ・・・それはみんなにあげないと不公平だから・・・・・」
「だが、その結果としてあまり感謝はされないし、それに何より焼け石に水で、無意味になってしまうぞ?」
とアーリアちゃん。
「う・・う〜ん。」
「アーリア、ニホンちゃんのODA賃を今リストにまとめてみたんだが、これを見ろ。」
「なんだ兄上、仕事が速いな。」
「まあな。問題はコレだな。」
「そのようだな。ニホン、ちょっと来て見ろ。」
アーリアちゃんに呼ばれてニホンちゃんはゲルマッハ君の作ったリストを見せてもらいました。
「ニホンの場合のODA賃はお金を渡す事が多いだろう?」
「う、うん。」
「だがその場合だと渡された側が何に使っていいのかわからなかったり、別の事に使ったり、無駄遣いをする事が多いんだ。」
心当たりありまくりです。チューゴ君・・・・。
「だから、この場合では技術を教えたりとか、なにか作ってやったりとかしてやったほうがいい。
たとえばアフリカなら水の無い所が多いから水道を引くとかな。参考になったか?」
「うん。ありがとう。もうちょっと考えてみるね。」


アメリー君の所もなんだかんだで苦労しているんだなあ・・・・。
アーリアちゃんとゲルマッハ君のところはODA賃は上手くいってるみたいだから
少し真似してみようかな、ニホンちゃんは思いました。

解説 百葉 投稿日: 02/10/17 23:47 ID:VgPGrwDh
ほんとはカンコ君ODA最下位とかも入れたかったんですが・・・・。
今回色々ネタを詰めこみすぎたのでソースが多すぎてリンク収集する時間無かったです。
ドイツのあら探ししてみたが、なにも見つからなかったんでオチがつかなかった…。

ソース
日本ODA問題、アメリカの戦略ODA、中国のODAの軍事利用?
インドネシアのダム訴訟、アメリカの金融、マスメディア、アサヒ新聞のヤナ報道


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