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第1277話 無名戦士 投稿日: 02/11/10 20:52 ID:NAI+N63Q
「宣戦布告」
むっとする湿気。
ウヨ君は多少緊張した面持ちで、まっすぐ前を見つめています。その視線の先にいるのは、最近あだ名がヒッキーから誘拐魔になったキッチョム君。
互いに腰に手をやり、真剣に相手の仕草を見据えています。いや、キッチョム君には若干の不真面目さ、あるいは余裕と言うべきものが感じられるようにも見えます。それとも単にふてぶてしいのでしょうか。ぬけぬけと猫が死んだといったときのように。
雰囲気は、アメリー君の映画に良くある(マカロニーノ君の家でも作っていますが)西部劇の決闘のようです。が、周囲はむしろ乾いた西部とは違う森の中です。
張り詰めた緊張、そして!
一瞬早く、ウヨ君が腰のものに手をかけて、抜こうとしました。が。
(っ!?)
思わず我が目を疑うウヨ君。彼の愛刀は鎖で何重にもぐるぐる巻きにされて抜くことが出来ないのです。
これでは、とても戦えません。
「ニダァ!」
「うあっ!」
その隙に、キッチョム君が飛び掛ってきました。普段愛用の「テポドンラブ」ではなく、「コウサクイン」という細身の鋭いやつです。
「はっはっは、ウヨも大した事無いニダ。戦利品としてニホンは頂いていくニダ!」
ニホンちゃんを脇に抱えると、大笑いしながらちっぽけでぼろっちい潜水艇に乗り込み、去っていくキッチョム君。また、拉致です。
「カンコ、助け、うっ!」
「黙るニダァ!」
潜水艇の中からする、姉の悲鳴とキッチョムの怒号。ウヨ君には、叫ぶことしか出来ませんでした。
「ね、ねぇさぁあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」

がばっ!
あわててウヨ君は跳ね起きました。ニホン家のベッドの上です。
「ゆ、夢かぁ・・・最近、色々あったからなあ。」
暗い中、ため息をつくウヨ君。部屋にはキッチョム家から取り返してきた猫達が寝ています。今では、借金を返すためニホンパパがまだ仕事をしています。
「はぁぁぁぁぁぁ・・・」
深いため息を漏らす、ウヨ君だった。

解説 無名戦士 投稿日: 02/11/10 20:54 ID:NAI+N63Q
前回言っていた、「消えちゃった話」とは、また別の話です。
モトネタは、同名の映画になった小説「宣戦布告」です。
どうでしょうか・・・少し、危なかったかもしれませんね、すいません。あと、もし既に出ている話だったらごめんなさい。


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