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第1406話 こんにゃく 投稿日: 03/02/09 17:48 ID:eh6BjgAQ
子供にはいつだって好き嫌いはつきもの。
豚肉ニンジンピーマン刺身はもとより、イカやらタコやら鯨とか、この世に嫌いなものは必ず尽きまじ。
その理由だって、おじいちゃんの遺言とか、実は前世はアンドロメダの戦士でこれだけは口にしないと誓ったとか、イラン家家訓も真っ青な言い訳。

ニホンちゃんはこんにゃくを前に正座。
夕食の団欒もあっというまにお通夜に早変わり。
残させません食うまでは、とばかり給食が終わってもぽつんと教室に残される子供のように・・・いやいや場所が食卓だけあって、余計に悲惨。
正直、刺身こんにゃくでご飯三杯は辛い。
「ママ、ニホンに無理強いしなくてもいいじゃないか。僕もこんにゃくはあまり好きじゃないし」
「パパは黙ってらっしゃい!」
あなたが甘やかしすぎるからあーだこーだと言われる始末。とんだやぶ蛇、ニホンパパの助け船は神田の流れにまかされてあっというまに右から左。
「地球町の恵まれない子供達は食べたくてもたべられないんですよ?」
でもニホンちゃんは知っている。
こんにゃくなんか食うのはチューゴ君とカンコ君ぐらいだってことを。
カンコ君だって負けてはいない。
「こんなのはこんにゃくじゃないニダ」
こんにゃく食べると喜んで雑炊つくったオモニに八つ当たりする反抗期。
「もっとコショウが利いててジュージーで、ふかふかのパンに挟まっているメクドゥナッドで売ってるニダ。これはこんにゃくに似て異なるものニダ!」
当たり前田のビスケット団。
絵餅ならぬ妄想に描いたこんにゃく。そんなものこんにゃくですらない。
「トンチャモンだってうまそうに食べるニダのに」
「子供騙しニダ!」
悲しいアイゴーと怒りのアイゴーのキングおぶリベンジ。

結局、煮ても焼いても食べられない。
でも永遠にお座りは針の筵。そこでふたりは考えた。
憎いアイツをやっつけるいい方法。
『こんにゃくなんか無かったことしてしまえ』
子供の浅知恵は結論まで瓜二つ。
こっそりと用意していたお持ち帰り袋をとりだす。

「ごちそうさまー」
「あら、やればできるじゃないの」
えへへと照れ笑いのニホンちゃん。
「・・・とママを騙せるとおもった? ニホンちゃん(ニヤソ」
キラリと光るニホンママの妖しい眼孔。
バサリと取り落とすご禁制品。
「証拠品げっと」
あわわと泡食うニホンちゃん。
BGMは隣屋から聞こえてくる地獄の黙示録。
「カンコ! 食べ物を粗末にするとは謝(略」
「アアアアアイイイッィィィィゴォォォーーーー」

こんにゃくも口に苦し。
でも、好き嫌いは20歳を過ぎてから。子供にはお勧めできない。

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