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第1510話
名無しさん
投稿日: 03/05/06 23:40 ID:2K+E60G/
「鉄の処女」
ある朝の教室、ニホンちゃんが登校してくるとクラスが何やら妙な雰囲気でした。
「なんだろう?」
見ればヨハネ君が来ていました。クラスの人達に何やら聞き回っています。
妙なのは彼に話すクラスメート達です。顔面蒼白で蛇に睨まれた蛙の様に固まりヨハネ君の質問
に答えています。
彼と付き合いの深いアメリカ班やEU班の様子を見てアジア班の皆は最初首を傾げていましたが
フィリピ君がそっと耳打ちすると皆顔を強張らせ質問に答えました。
やがてニホンちゃんのところにも質問に来ました。そのときフィリピ君が耳打ちしました。
「絶対に変なこと言ったりしちゃ駄目だよ」
「?」
それが何を意味するのか解りませんでしたがもともと素直なニホンちゃんのこと、ヨハネ君の質
問に正直に答えました。質問の内容は何故かカンコ君についてのものが多かったのが不思議だと思
いましたが。
「解りました。皆さんは心清き方々です」
皆ほっと息をつきます。あのフランソワーズちゃんやゲルマッハ君が地獄の入り口から帰ってき
たかのような表情を浮かべます。そこへカンコ君が登校してきました。
「アンニョンハセヨーッ!今日もキムチが美味いニダーッ!」
しかしそれに皆答えません。さっと目をそらします。
「!?どうしたニダ?」
そこへヨハネ君が歩み寄ってきます。いつもの澄んだ天使の様な笑みです。
「カンコさん、今日お暇ですか?」
「?暇ニダよ」
「そうですか。ではうちにきませんか?宴にお招きしたいのですが」
「宴会!?行く、行くニダよーーーーッ!!」
宴に呼ばれ大喜びのカンコ君、クラスの何人かが胸で十字を切ったのには気付きませんでした
その日の放課後カンコ君はヨハネ君に案内されバチカン教会に行きました。彼の他に招待
された人はいなかったのでsがそれを不思議に思う彼では有りません。
教会に入ると地下へと案内されました。暗く地の底まで続いているかのような階段を降り
ていきます。
「ヨハネ、こんな薄暗いところで宴会をやるニダか?」
「はい。ところでお聞きしたいことがあるのですが」
こちらを振り向かずヨハネ君は尋ねてきました。
「貴方はイラク君との喧嘩で666匹の犬を送ろうとされましたね?」
「そうニダ。アメリーに反対されて変えたニダが」
「貴方のご先祖はダン君とおっしゃいますね?」
「そのとおりニダ」
「クラスの方が私に告白してくれました。今までの貴方の行いを」
「ニダッハッハッハ、やっぱりウリは人気者ニダな」
話しているうちに扉の前に着きました。地震でもびくともしなさそうな重く厚い鋼鉄の扉
でした。
扉がヨハネ君により開かれます。松明に照らされた部屋の中を見てカンコ君の心臓はその
動きをとめそうになりました。
松明に照らされた血の生臭いにおいのする部屋の中には様々な道具が置かれていました。
鞭、万力、鉄の椅子、水車・・・。それ等が一体何であるか、何に使われるかカンコ君は
本能的に察知しました。とりわけ部屋の真ん中に置かれている鉄の箱、開かれたその中は
針で覆われ頭部にある少女の顔は髪や歯までありました。その顔はカンコ君を見て誘う様
に笑っていました。
「ヨハネ、こ、これは・・・」
「666は主に反する者を表す数字、その者はダン族より現われるとあります」
「ち、違うニダ、ウリは・・・」
「それに加え今までの行い・・・。間違いなく貴方は悪魔に心を支配されています」
風もないのに松明の炎がゆらりとゆれます。カンコ君は逃げようとしました。
しかしその両手を誰かが掴みました。見ると覆面を被った大男が両脇にいました。ゆっ
くりとヨハネ君がこちらへ振り向いてきます。
「安心して下さい。主は貴方を導かれます」
笑っていました。しかしその笑みはいつものものとは違いました。目の前の鉄の処女と
全く同じの、死の天使の如き笑みでした。
扉が閉められます。そこからは音も光も漏れ伝わりませんでした。
「先程お家の方から連絡がありましてカンコ君ははしかで1週間程休むそうです。
なおはしかなので皆見舞いには行かないようにね」
翌日の朝のホームルームでフラメンコ先生が皆に言いました。皆はーい、と答
えますが真相はわかっています。けど誰もそれについては口をつぐんでいます。
1週間後カンコ君は学校にやって来ました。けれどいつものウリナラマンセー
モードではなく視点は定まらずふらふらと歩いています。
「ハレ・・・ル・・・ヤ・・・。ハレ・・・ル・・・ヤ・・・」
「神は常に正しい・・・。神は過ちを犯さない・・・」
虚ろに、幽鬼の様に呟いています。そんな彼を見ても皆何も言いません。ただ
胸で十字を切るだけでした。
解説
名無しさん
投稿日: 03/05/07 00:01 ID:hXOpBcmZ
欧州の歴史にその悪名を轟かす魔女狩りを扱いました。ちなみにフィリピンは
『東洋のバチカン』と言われるほどキリスト教の力が強い国です。フランソワー
ズちゃんやゲルマッハ君が怯えていたのはこれ等の国々で魔女狩りが盛んだった
からです。今回ヨハネ君が怖いのはバチカンの暗黒面が出たからです。ルネサン
ス期の法皇達なんて悪人ばからですしね。
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