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第1514話 予知夢1 投稿日: 03/05/08 17:53 ID:IFHyAmml
「今日はアメリーん家に遊びに行ってやるニダ」
 休日だというのにカンコ君は大はしゃぎです。
いつもはチューゴ君やロシアノビッチ君の顔色を伺いながらビクビクして過ごすのですが、
町内最強のアメリー家に居れば手出しは出来ないでしょう。
「さらにアメリーの大親友になってウリも町内実力者の仲間入りニダ!」
 カンコ家の家訓にもなっている事大主義丸出しです。
カンコ君は今日のためにわざわざアメリー君の家の壁に
『ウリは町内でも驚異的に優秀ニダ。ウリはアメリーの先祖のリンカーさんと同じくらい立派ニダ。
だからウリを最高級のお客として迎えるニダ。アメリーはウリと仲良くしなければならないニダ』
と書いた紙をベタベタと貼って宣伝までしています。
「さて約束は11時だったニダね。そろそろアメリーが迎えに来る頃ニダ」
 ……し〜ん

 時間を過ぎてもカンコ家の呼び鈴は鳴りません。
「変ニダ。あ、分かったニダ。アメリーは道に迷ったニダ。仕方がないからこちらから行ってやるニダ」
 これでまた恩を売りつけられるとニダニダしながら軽くスキップまでして玄関を出ます。
そろそろアメリー家との中間地点です。それでもまだアメリー君の姿は見えません。
会えないままついにアメリー家の門の間でまで来てしまいました。
「ファッキメ! すれ違いニダか?」
 もう一度振り返ってみましたがやはりアメリー君の姿は見えません。
もう一度戻るのも面倒なのでアメリー家の中で待たせて貰おうと思いつきました。
 ♪Oh, say, can you see, by the dawn's early light,♪
 ボタンを押すとアメリー家の歌が流れます。
「むむっ、これはどういうことニダ? ウリが訪問するのにアリランが流れないのはおかしいニダ!
 ニホンが来た時には軍艦マーチが流れたと聞いたことがあるニダ!」
 以前ニホンちゃんがアメリー君の家にお呼ばれした時には、アメリー君はわざわざ白いタキシードを着て玄関先までお出迎えしました。
しかも一家が楽器を持って演奏までしてくれる歓迎ぶりです。
これは町内でもエリザベスちゃんとヨハネ君しか受けられない最高の待遇でした。
当然受けられると思っていた同じ待遇をアメリー君に要求していたカンコ君は、既にファビョンが出かかりました。
「い、いや、ここで怒ってはだめニダ。先週のこともあるから我慢ニダ」
 さすがは実力者に媚びることに関しては半万年の歴史を誇るカンコ家の一員です。
爆発を寸前で抑えて自ら門をくぐっていきました。
先週の事というのはカンコ家家族会議です。
あまりに大声でアメリー君の悪口を言ったので、近所に聞かれて噂が広まってしまったのです。
次の日のアメリー君の冷ややかな視線を思い出すと、カンコ君は背筋が凍る思いでした。
「だから今日のお呼ばれで友情を深めるニダ!」
 ”デーハミングッ ドドンガドン”と呟いて自分を高揚させながら、カンコ君は玄関へと歩んでいきます。
「アメリー、来てやったニダ!」
 玄関でそう叫びました。
しーん……

 誰も出てきません。
「変ニダね。おーい、アメリー、お前の大親友のウリが来たニダよーっ!」
 何度か叫んでやっとアメリー君が出てきました。なんだかとても面倒くさそうです。
「あーなんだ、カンコか」
「アンニョンハセヨ〜!」
「今行くから適当に座ってろ」
 そういうとアメリー君はカンコ君を残して一度奥に引っ込んでしまいました。
感激の抱擁をしようとグリコのポーズまで取っていたカンコ君は固まっています。
(ど、どうしてニダか? 賓客待遇を要求しておいたはずニダ)
 状況が掴めなくて混乱しています。
たっぷり待たせられた後にアメリー君が怠そうに出てきました。
ポロシャツとジーンズというラフな格好です。
「何してんだカンコ、そっちの別館に入ってろって言っただろう」
「え、本館じゃないニダか?」
 アメリー家には本館の白い家があり、大事なお客様はそこの大広間で会うことになっています。
でもカンコ君が通されたのは、並の客と商談するための場所でした。
 それでもカンコ君は我慢しました。
彼にしてみれば驚異的な忍耐力です。
それはそうでしょう。
アメリー君と言えば気に入らない相手は気楽にねずみ花火を投げつけるほどのやんちゃ者です。
如何にカンコ君といえども我が儘は通じません。
 とにかくカンコ君は、アメリー君と仲良くなろうと話しかけます。
「ウリとアメリー君は兄弟のような仲になるべきニダ! 一緒に町内の平和のために……」
「あー、ミーは忙しいから適当にくつろいでいてくれ」
 クチから泡を飛ばすほど力説しているカンコ君を無視して、アメリー君は懐から携帯電話を取り出して発信ボタンを押しました。
 またカンコ君は固まってしまいます。
「hello! ニホンちゃんかい。ああ、22日のデートのことだけどね。
え? いやだなぁ、もうボクたちはただの友達以上じゃないか。
でさ、ミーの家に来ないか。ボクの部屋で将来について語り合おう。
haha! 変な事なんてしないよ!
出来たら次の日には二人だけで別荘に行きたいとも思っているんだ。
いいだろう? 承知してくれるよね?」
 呆然とするカンコ君を後目に、アメリー君はさも楽しそうに電話しています。
そのうち意識が戻ってくると、カンコ君の中でどんどんと怒りが湧いてきました。
顔がキムチ色に染まってきます。
「ア、アメリー……ウリと話さないニダか? 驚異的に優秀なウリと折角兄弟の仲になれるチャンスニダよ?」
「なんだカンコ、まだ居たのか」
 その一言で堪忍袋は膨張しきった風船のように破裂しました。
「ファビョーーーーーーーーーン!!」
「わっ、なんだよカンコ」
「これも全部ニホンの陰謀ニダな!?」
「What? 何言ってんだおまえ?」
「ニホンがアメリーを買収してウリに恥を掻かせたに違いないニダ!
 ニホンはロビー活動をして最高級待遇をして貰ったに決まっているニダ!
 本当ならウリも賓客待遇だったに違いないニダ!」
 そこまで言って、カンコ君は部屋を飛び出していきました。
「アイグォォォォォォォォォォォーーー!」
 アメリー家の広い玄関には絶叫だけがこだましました。
アメリー君が廊下に出てみると、もうカンコ君の姿はどこにもありません。
「何だったんだあいつ。まぁいいや。キッチョムの奴のことはニホンちゃんと話せば済むし」
 アメリー君は何事もなかったかのように自分の部屋に戻っていきました。

「これも……これも……」
 道をものすごい勢いでカンコ君が疾走しています。
ドップラー効果で後ろから見ると赤く見えるほどです。
いえ、元々真っ赤でしたけど。
「これもすべてニホンのせいニダーーっ!」
 涙目になりながらわめき散らします。
その思考はすべて見当違いの復讐に向けられてしまいました。
「明日学校でまたニホンの奴をいぢめてやるニダ!
 キッチョムと協力して3倍の謝罪と賠償を要求してやるニダ!
 キッチョムの大型花火をニホンの部屋に向けて脅かしてやるニダ!
 8月15日の墓参りは絶対いやがらせの抗議をしてやるニダ!
 見てるがいいニダーっ!!」
「はわ〜っ!」
 びっくりしてニホンちゃんは飛び起きました。
周りを見ると、いつもの自分の部屋です。
カーテンからは朝の光が差し込み、台所の方からはお味噌汁の良い匂いが流れてきています。
「ゆ、夢だったのね」
 とても恐ろしい悪夢を見ていました。思い出すだけでもぞっとします。
体中が未だに震え、汗が額に浮かんでいます。
「正夢にならなきゃ良いけど……」
 不安を抱きつつもニホンちゃんは布団から起きあがりました。
「そういえば、カンコ君は再来週に私の家に遊びに来るんだったわね」
 というか、呼んでもいないのにいつもの「行ってやるニダ」だったのですが。
カンコ君が来る時にはいつも謝罪とお金を請求されるので、ニホンちゃんもちょっぴり憂鬱です。
「しかも今回は「最高級賓客として迎えるニダ」なんて命令するし……」
 毎度の事ながらお隣には悩まされます。
ニホンちゃんは溜息をつきながら、それでも今日一日を頑張ろうと思いました。

 終わり

情報源:
盧武鉉大統領の訪米宣伝 ttp://japanese.joins.com/html/2003/0507/20030507202457200.html
盧武鉉大統領の訪米レベル  ttp://korea.hanmir.com/ktj.cgi?url=news.empas.com/show.tsp/20030508n00566/
ノムヒョン大統領のアメリカ珍道中 ttp://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1052361326/l50
小泉首相の訪米待遇 ttp://www.kyoto-np.co.jp/news/flash/2003may/08/CN2003050801000040A1Z10.html
盧武鉉大統領、訪日の際は国賓待遇を要求  ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030424-00000210-kyodo-pol

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