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第1564話
名無しさん ◆eDHxrM3k46
投稿日: 03/06/19 12:30 ID:TuBXzRrq
「風邪」
チョゴリちゃんは風邪をひいてしまいました。香ちゃんにうつされたのでは、と
疑われましたがどうやら雨にあたったせいのようです。
「チョゴリ、大丈夫ニダか」
カンコ君がベッドでうんうんと寝込んでるチョゴリちゃんを心配そうに覗き込み
ます。
「兄さん、大丈夫ニダ。たんに熱があるだけだしこうして寝ていれば治るニダ」
赤い顔で兄の心配を打ち消そうとします。
「けれどその熱が危険ニダ。お前は普段から無理をし過ぎるニダ」
「兄さん・・・・・・」
「今日はずっと寝ているニダ。家の手伝いはウリに任せておくニダ」
「うん・・・・・・」
カンコ君はそう言うと何冊か漫画を置いて部屋を出ていきました。
「兄さん、感謝するニダ」
チョゴリちゃんはそのままうとうとと寝入ってしまいました。
どれだけ寝たでしょう。チョゴリちゃんが目覚めると部屋はもう真っ暗でした。
「おトイレに行くニダ」
薄い紅色のパジャマにニホンちゃんからもらったどてらを着てベッドを出ました。
台所から何か物音がします。今日は法事でアボジもオモニもいないのです。
「鼠ニダか?それともキッチョム兄さんまた出てきて・・・・・・」
けれど台所には鼠もキッチョム君もいませんでした。替わりにカンコ君がせっせと
包丁を振るい何か作っています。
「兄さん・・・・・・・・」
いつもは『ウリは両班ニダ』と包丁すら握ろうとしないカンコ君が額に汗を滴らせ
必死につくっています。今つくっている料理が誰の為のものかチョゴリちゃんはすぐ
に理解しました。
チョゴリちゃんはカンコ君に気付かれないようにそっと台所を後にするとおトイレを
済ませまたベッドに入りました。
暫くしてカンコ君が部屋に入ってきました。両手にミトンを付け大きな鍋を持ってい
ます。
「チョゴリ、食べるニダ。ウリの手料理ニダよ」
それは鳥を一匹まるごと煮込んだ料理でした。もち米がたっぷりと入っておりニンニ
クやクリ、高麗人参の香りが鍋から漂ってきます。
「サムゲタン・・・・・・兄さんが初めてウリに作ってくれた料理ニダね」
まだ幼子だった頃の記憶が甦ります。
「久し振りだから何分まずいかもしれないけどケンチャナヨ。かき混ぜてよくかんで
食べるニダ。風邪にはこれが一番ニダ」
チョゴリちゃんはスプーンでかき混ぜると一口一口ゆっくりと口に入れました。
「どうだ、美味いニダか?」
「うん、とても美味しいニダ」
「それは良かったニダ。さあこれで体力をつけて明日は学校に行くニダよ」
「うん」
なんかほんの少しサムゲタンが塩辛くなったような気がしました。チョゴリちゃんの
瞳から涙がぽたり、と落ちていたのです。
翌日元気になったチョゴリちゃんは学校へ行きました。
「このバカンコ!!」
「アイゴッッ!!」
目の前でニホンちゃんの袴をめくろうとしたカンコ君がタイワンちゃんに吹っ飛ばさ
れています。いつもはそんな格好悪い兄に溜息をつくチョゴリちゃんですが今日は笑っ
ていました。
(兄さんは単に自分に素直じゃないだけニダ。本当は優しい人ニダ)
空を見上げます。青い空が雲一つなく晴れ渡っています。
(そして何時かそのことに兄さんも気付いてくれるニダ)
二日振りに見る学校はいつもと変わりありません。けれどそれを見るチョゴリちゃん
の心は前よりも澄んで清々しいものでした。
解説
名無しさん ◆eDHxrM3k46
投稿日: 03/06/19 12:33 ID:TuBXzRrq
料理もの。メニューは韓国の料理サムゲタンです。
http://chagungochu.cool.ne.jp/soup2.htm
今回カンコ君が優しい役ですがたまにはこういったものもどうでしょう。
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