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第1604話 名無しのゴンベ ◆jOwUDH2Y5M 投稿日: 03/07/29 21:51 ID:C9Y6+guz
「講演会」前編

庭の木々が濃い緑の葉に燦々と真夏の日差しを受ける梅雨明けの昼間。
ニホンちゃんは縁側で硝子の風鈴が奏でる一筋の清流にも似た涼しい音を聞きながら、
よく冷やした真っ赤な西瓜の甘みを存分に堪能していました。
さながら一幅の日本画にも似た風情溢れる光景、それを壊したのは息を切らし、
木張りの廊下を大きな足音を立てながら走ってきたウヨ君でした。
「姉さん!大変だ!」
学校からここまで走ってきたのでしょう、真っ赤になったウヨ君の顔には大粒の汗が浮かび、
全力疾走の代償として酸欠になった体に酸素を送り込もうと肩は大きく上下しています。
「どうしたの武士、そんなに慌てて。あ、お水飲む?」
ニホンちゃんは蒼い江戸切り子のコップによく冷えた水を入れてウヨ君に差し出しました。
「ありがと」
ウヨ君は荒い息で姉に言葉を返し、コップを受け取り、干天の慈雨にも似た冷水を一息に飲み干しました。
「落ち着いた?」
ニホンちゃんは間髪言わず差し出されたコップに二杯目をつぎながら聞きました。
「ふぅ〜、助かった。ありがと姉さん・・・・って大変なんだよ。これを見て」
ニホンちゃんに差し出されたのは一枚のパンフレット、そこには
「地球町小学校講演会「いま、なぜ人権か? −性別・国籍・人種を超えて−」」
と、いうタイトルが踊っていました。
これだけなら何処でもよくある講演なのですが、講師の名前を見たニホンちゃんの目は釘付けになってしまいました。
よりによってその講師というのがシンスゴおばさんだったのです。
彼女はザイちゃん&ザイニー君の親戚なのですが、
彼女を知る人は「カンコ家の血統を最もよく受け継ぐ人間」と揶揄しているほどカンコ君そっくりなのです。
支離滅裂な電波発言を早口で捲し立ててその場にいたあまりの電波に人間があっけに取られているのを
勝手に「会場全員が自分の意見に賛同した」と思いこみ、質問に質問で返してはぐらかす事など日常茶飯事という、
おおよそ言論人とは言い難い行動を平然と取る人で、
ザイちゃんが「正直あのおばさんには困っているニダ、あれではニホン家の人に喧嘩を売っているだけニダ」
とこぼすほどの人なのです。
「講演会」前編 part2

実はウヨ君も度々抗議をしているのですが、完全に馬耳東風、
それどころか抗議の声を全て嫌がらせ扱いしているので打つ手がないと、ウヨ君は嘆いています。
「武士、一つ聞いて良い?これ本当?」
ニホンちゃんはあまりのショックで現実逃避しかけています。
「残念ながら本当なんだよ、姉さん。あんなのが学校で講演したら末代までの恥だ」
ウヨ君は既に内に秘める闘志が燃えているようです。
口調はあくまで冷静ですが、眼は獲物を狙う猛禽の如き輝きを放ち、
体からは今まさに獲物に襲いかからんとする獅子の如き殺気が溢れています。
「どうするの、武士?」
「どうも裏で動いているのが馬鹿小父らしいんだ」
「えっ、サヨックおじさん?」
人権と名の付く物でこういう怪しい物は大抵サヨックおじさんが絡んでいるのはいつものことです、
怪しいと思ったウヨ君がさりげなくハプスブルグ先生に聞いてみたら、ドンピシャリ。
やはりサヨックおじさんが何人かの先生を説き伏せて無理矢理開かせた物だったのです。
「だから奴等に気付かれないように水面下で動く、論破のための理論武装が必要だね」
「うーん、確かに。おじさんはそう言うことだけはやたらと勘が鋭いのよね、あくまで内緒にしないと」
「と言うわけでまずは奴の本を読んでくるよ、頭痛くなりそうだけど」
「がんばってね、武士」
「うん。あ、解ってると思うけど」
「もちろん内緒にしておくわ」
「ありがとう、じゃ」
と言ってウヨ君は書庫へ向かいました。
残されたニホンちゃんは風鈴の奏でる音に耳を澄ませながらウヨ君を応援するのでした。

解説 名無しのゴンベ ◆jOwUDH2Y5M 投稿日: 03/07/29 21:55 ID:C9Y6+guz
と言うわけで皆様お久しぶりです。
1000話ぐらいで消えた腐れ作家なんぞ誰も覚えていないでしょうが、一応ご挨拶を。

えー今回のネタ元は
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1051961491/l50

このスレの534は私です。明日はガンガって来ます

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