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第1694話 名無しさん ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 03/10/25 21:04 ID:n78nCByE
 「ああ無情」
 今日のホームルームは準クラス委員の選出、このクラスは五人いるクラス委員の他に十人
の準クラス委員を決めるのです。
 「で、うちのクラスは一体何人いるんだ?」
 さあ、何人でしょう。
 「気のせいか増えてるアル」
 気のせいですね。
 それはともかく選挙です。アジア班とアフリカ班、アメリカ班、EU班からそれぞれ出すこと
になっています。他の班は出る人がもう決まっていますね。ではアジア班は。
 「フィリピ君がいいな」
 普段はあまり目立たないけど陽気で明るい子です。ヨハネ君の親友でもあります。
 「いいわ、フィリピ君頑張ってね」
 「うん」
 ニホンちゃんからのエール。これは心強い。
 「僕も賛成するアル。これからはフィリピもクラスの仕事にどんどん参加するよろし」
 チューゴ君も賛成です。フィリピ君と親しいアメリカ班からアメリー君が親指を立てて賛成の
意思を出しています。
 まあこれでほぼ決まりですね。とはいきません。物事にはトラブルがつきもの。
 時としてトラブルは人が持ってきます。クラス一のトラブルメーカーといえば。
 「フィリピなぞに準クラス委員は任せられないニダ、それはウリがやるべき仕事ニダ!」
 カンコ君、またもやクラスに嵐を巻き起こします。
 「今回の準クラス委員にはウリが立候補するニダ、何故ならウリはいずれクラス委員になるべき
人物ニダ!」
 その無神経な発言にクラスの皆が青筋立てまくっているのに一切構わず話を続けます。
 「皆ウリを支持するニダ、そしてウリに全てを任せるニダ!」
 何人か席を立ちます。カンコ君を張り倒そうとしますがフィリピ君は言いました。
 「いいよ、カンコ君も出たらいいよ」
 「えっ!?」
 この発言には皆びっくりしました。
 「フン、当然ニダ」
 カンコ君ふんぞり返って言います。
 「けれど僕も出るよ。皆が支持してくれているしね」
 「フン、勝手にするニダ。どうせウリが選ばれるに決まっているニダ」
 「うん、それでいいよ」
 フィリピ君の紳士的な対応に皆驚いています。ニホンちゃんがこっそり聞きました。
 「フィリピ君、いいの?」
 とても心配そうです。
 「いいんだよ、僕は皆を信じているから」
 フィリピ君はにこりと笑いました。白い歯がきらりと光ります。
 さあ投票です。カンコ君はもう自分が選ばれるものと確信して大喜びです。それに対して
フィリピ君は冷静に黒板を見つめています。結果は。
 「準クラス委員アジア班からはフィリピ君!」
 先生の声が響きます。フィリピ君は皆の拍手に包まれました。
 「投票数179対1!」
 その一票が誰か・・・・・・・・・。あえて言わないでおきましょう。
 「ど、どういう事ニダ、何でウリがウリの一票だけニダ!」
 カンコ君憤然と抗議します。しかし。
 「・・・・・・・・・」
 それを見る皆のドライアイスの様に冷たい眼。さすがのカンコ君も黙っています。
 「何か言ったか?カンコ。誰が御前に投票すると思ってるんだ?」
 アメリー君の冷たい声。
 「こうなる事は分かっていたアル。最初から出ないほうがましだったアルな」
 チューゴ君も同じです。ここでいつもの責任転嫁。
 「こ、これは全てニホンのせいニダ、ニホンがウリを準クラス委員にしない為に根回し
したニダ!ニホンにしゃ(略」
 「きゃあっ!」
 ニホンちゃんに掴みかかろうとします。
 「そうくると思ったよ」
 そこへフィリピ君が来ました。彼の蹴りを顔にまともに受け吹き飛ぶカンコ君でした。

解説 名無しさん ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 03/10/25 21:10 ID:n78nCByE
 寝かしてないので申し訳ありませんが新作。
 いやあ、久々に爆笑しました、非常任理事国選挙。ソースはこちら。
ttp://www.un.org/News/Press/docs/2003/ga10181.doc.htm
 何も言いません、今までの行いの報いですね。

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