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第1714話 ab-pro 投稿日: 03/11/24 12:06 ID:ivCkAdY6
 ある休みの日。
 アボジに「社会勉強するニダ」と言いつけられたカンコ君は、アルバイト代
も出るとあって、カンコ君の家が経営する警備会社の訓練場にやって来ました。
 「ウリナラの誇る警備会社の一員として訓練を受けるニダ。
  それにしても、アボジに教えられた場所に着いたハズなのに、あばら屋し
かあたりに見あたらないニダ?」
 カンコ君の言うとおり、そこには60年代に建てられたと思われる、ボロイ
建物しか見あたりません。
 困惑しているカンコ君に、もうすぐ冬だと言うのに、ちょっと寒いんじゃな
いかな?と思われる警備員の服を着た人が近づいてきました。
 「待っていたニダ。ウリナラの警備会社の訓練キャンプによく来たニダ!」
 「ウリがカンコニダ。よろしくお願いするニダ!
 ところで、あの建物は一体何ニダか?」
 と、好奇心に駆られてあばら屋を指さすカンコ君。
 「アレは兵舎ニダ。これからカンコ君が寝泊まりするところニダ。さあ、早
速案内するニダ!」
 呆気にとられるカンコ君をずるずると引っ張った警備員は、よく見れば屋根
に雨漏り防止用のビニールがかけてあるあばら屋=兵舎に連れ込まれました。
 「ここが今日からカンコ君が寝泊まりする部屋ニダ」
 そこは、だだっ広くベッドも何も無いみすぼらしい部屋です。
 「この定員30名の部屋に一個小隊40名が暮らし、集団生活を学ぶニダ。
一人が与えられる空間は0.7平方メートルだから、荷物は整理するニダ」
 「☆△◎◇」
 言葉に出来ない悲鳴を上げようとしたカンコ君を、警備員はさらに引きずっ
て、今度は兵舎の施設を案内し始めます。
 「ここがトイレニダ。水洗なんて無いから臭いが、我慢することで忍耐力が
付くニダ。あと、このキャンプでトイレはここだけだから、朝は素早く用を済
ませないと先輩方の迷惑になるニダ。まあ、ここで時間の大切さも学ぶニダ」
 「風呂はここニダ。定員20名の風呂を一個大隊400人で使うし、温水の
使用も制限されるニダ。戦場では風呂など入れないから、その状況に慣れるこ
とは良いことニダ。
 ただ、休みの日は真っ先に銭湯に行くことを勧めるニダ」
 「このビニールハウスはトレーニングルームニダ。効率的に汗がかけてよい
ニダ」
 そんな身も凍る説明を受けながら、顔面蒼白のカンコ君が何とかこの踏みと
どまっているのは、アルバイト料がでると言う一点だけが理由かもしれません。
 しかし!
 「・・・質問ニダ。ここで訓練を受けて、一体どれくらいアルバイト料が出
るニダか?」
 「カンコ君のようなアルバイトの場合は月給2400円ニダ」
 「☆△◎◇!!!」
 今度こそカンコ君は声にならない絶叫をあげました。何しろカンコ君の一日
のお小遣いは2800円なのですから!
 「アイゴー!!!」 
 やっと声に出していつもの台詞をのたまわったカンコ君。その絶叫に一瞬ひ
るんだ警備員の隙を突いて、脱兎のごとく逃げ出しました。
 「!! 新兵が逃げたぞ!捕まるニダ!!」
 と、ようやくの事で叫んだ警備員ですが、その顔にはなぜか笑みが浮かんで
います。
 「・・でも、本当に捕まえるなよ。適当に逃がすニダ。
 ・・・さて、それで我が警備会社の危機的状況がカンコ君のアボジに伝わっ
てくれれば上出来ニダ」
 そう呟くと、今度はため息。
 「もはや忠誠心だけで忍耐と犠牲を強要することは困難ニダ」

 一方、そんなこととはつゆ知らず、警備会社の捜索隊を昔キッチョム兄から
教えられた隠れんぼの技術でかわしながら、カンコ君は本当に切実に、大きく
なったらサッカーの代表選手になろうと心に誓うのでした。    END

解説 ab-pro 投稿日: 03/11/24 12:08 ID:ivCkAdY6
 ソースは韓国国防部公式ホームページwww.mnd.go.krに掲載された韓国国防費
2003(03.08.25)の翻訳です。
 本作では徴兵された新兵の境遇を書きました。
 カンコ君のお小遣いの元は、公共勤労者の日当2800円に対し、上等兵の
月給が2400円(月給は誤訳にあらず)で、兵士は家族からの仕送りに依存
している、です。
 読んでいると北も南も兵士の境遇にたいした違いはないのかもw

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