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第1770話 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/02/23 22:54 ID:sEu8GQEu
               「仁義無き告白 〜マエミ襲来〜」
 少し前モンゴル君が学校中にその名を轟かせる大不良だった時代です。
「のう、カンコ」
 モンゴル君は屋上でカンコ君に尋ねます。
「はい、何ニダ」
 カンコ君は当然彼の一の子分(自称)になっていました。
「わしゃあ彼女が欲しいんじゃがのう」
 モンゴル君いきなり告白です。
「けれどモンゴル君にはもうポーラとかマジャールとか彼女がいるニダ。もう
充分ではないニダか?」
「わしゃあ正統な彼女が欲しいんじゃ」
 モンゴル君そう言いながらシガレットチョコを出します。
 サッ
 カンコ君素早くその紙を取り外します。見事な舎弟ぶりです。
「わしの好みののう。髪が黒うて長いサラサラしとって肌が透き通るみたいに
綺麗で小柄でおしとやかでわしみたいなヤクザ者にも優しゅうてそれでいて強い
恋人じゃ。何処ぞにそんな可愛い娘おらんかのお」
「そんなのいてもモンゴル君の怖さ見て皆引くニダ」
「ん?何か言うたか?」
 ジロリ、と睨みます。
「な、何でもないニダ」
 モンゴル君のお仕置きは苛烈そのものです。草原の家の子はハンパではありません。
二人は暫くして教室に戻りました。
 教室に入ると一人の女の子が目に入りました。
「な・・・・・・」
 その娘の姿を見てモンゴル君一目で心を奪われました。
 黒く長い髪、きめ細かな白い肌、あまり大きくない背、それを
包んだ桃の振袖に紺の袴ーーー。可憐で華奢な美少女でした。
「・・・・・・誰じゃあれは」
「ニホンニダ。日之本さくら。前からこのクラスにいるニダよ」
「ニホンっちゅうんか。またえらく別嬪さんやのお」
 あちこちで喧嘩ばかりしているモンゴル君、意外と身近には気が
つきませんでした。
「・・・・・・モンゴル君、どうしたニダ?」
 呆然としているモンゴル君にカンコ君が尋ねます。
「わしゃああの娘を彼女にする」
「ええっ、それは・・・・・・」
 カンコ君その発言にびっくりしています。
「んっ、どうしたんじゃ?何か不満でもあるんか?」
「い、いえ何も・・・・・・」
 モンゴル君の威圧感の前に沈黙してしまいます。かくしてモンゴル君は
ニホンちゃんに告白することになりました。
 そして遂に告白。しかし返事は。
「御免なさい・・・・・・」
 あえなく轟沈です。しかしモンゴル君も諦めません。何度も何度も
告白します。しかしニホンちゃんはその度に御免なさいです。
「フッフッフ、やっぱりいいとこのお嬢さんはガードが固いのお」
 モンゴル君身体をプルプルと震わせ言います。
「しかしのうニホンちゃん、一つ憶えときや」
「ニダ?」
 その場にはカンコ君しかいません。生憎。
「狙われるモンより・・・・・・」
 さあ次の台詞は。
「狙うモンのほうが強いんじゃあ〜〜〜〜〜っ!(声:菅原文太)」
 遂に出たこの台詞、ここでカンコ君お得意の事大主義を発動。
「じゃあニホンに喧嘩を売ればいいニダ」
「しかし女の子に手ェあげるんわ」
 実は何万回でもアタックするつもりでした。
「それで喧嘩に勝ってニホンを彼女にすればいいニダ。そうすれば万事解決ニダ」
「う〜〜む、そうかのう。じゃあそうするか」
「そう、それがいいニダ(そしてウリも分け前で彼女を貰うニダ)」
 それが本心ですか。
「じゃあ御前がニホンちゃんとこ行く船造れや」
「ニダッ!?」
 ここで思いもよらぬ一言。
「ほら、さっさと造れや」
「アイゴオーーーーーッ!」
 モンゴル君にしばかれながら不器用な手で船を作るカンコ君でした。
そう、不器用な手で。暗雲立ち込める中モンゴル君はカンコ君に船を漕がせ
ニホンちゃん家に殴り込みです。
 さあかくしてニホンちゃん家に上陸した二人。しかしそこには
ニホンちゃんがもう待っていました。
「お願いだから帰って」
 白い上着と袴に襷のニホンちゃんが言います。その隣にはウヨ君も
います。
「ニホンちゃんがわしの彼女になったらな」
「何っ、この不埒者俺が成敗してやる」
 ウヨ君が前に出て来ました。
「やあやあ我こそは音に聞こえし日之本の・・・・・・」
 バキッ
 モンゴル君有無を言わせず石で殴り倒してしまいました。
「何訳のわからんことほざいとるんじゃ。喧嘩はもうはじまっとるんじゃ」
 ニホンちゃん家では喧嘩の前はまず名乗りをしたのですがモンゴル君家では
違いました。その差が大きく出ました。
 モンゴル君は強い。流石です。しかしニホンちゃんも合気道で寄せ付けません。
ウヨ君は立ち直りカンコ君を忽ちやっつけてしまいました。日が暮れモンゴル君
は一時船に帰りました。
「明日やっつけたるわ」
 モンゴル君は船の中で言いました。今日実際に拳を交えてみてこれなら勝てる、
と思ったのです。しかし
 ビュウウウウウウウウウウウ
「何じゃ?この音は」
 その頃ここにマエミちゃんがやって来たのです。船の中にいたモンゴル君とカンコ君
は哀れお池の中に沈みました。
「し、しかしまたすぐ沈んだのう」
「き、気のせいニダ・・・・・・」
 しかしモンゴル君も諦めません。再びニホンちゃん家へ殴り込みです。
今度も船はカンコ君に造らせました。
「何か不安定な船じゃのう」
「き、気のせいニダ」
 しかし何かあやしい船。しかしニホンちゃん家には辿り着きました。
 早速喧嘩のはじまりです。しかしニホンちゃん今度は塀を用意して
そこから物を投げてきます。これは適わない。
 しかも手を合わせてみてもかなり強くなっています。さしものモンゴル君
も五分と五分、カンコ君はウヨ君に当然ボロ負けです。
「こりゃまずいな・・・・・・」
 思わぬ苦戦に怯むモンゴル君。しかしカンコ君は強気です。
「これ位ケンチャナヨニダ、明日勝てばいいニダ」
「ううむ・・・・・・」
 しかしそこへマエミたん二度目の来襲。
「ホホホホホホホホ!」
 もろに揺れる船。そして浸水。
「ま、また浸水か、しかもこんな簡単に!おいカンコどうなっているんじゃ!」
「ウ、ウリは知らないニダ!」
「知らないで済むか!大体前も・・・・・・ウワァーーーーーッ!」
 かくしてまたお池の中に沈む二人でした。
 これに懲りたモンゴル君は以後大人しい子になりました。しかしカンコ君は
相変わらずだったのでした。

解説 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/02/23 22:57 ID:sEu8GQEu
 ソース。既出のお話ですが。元寇ネタはこれで三回目かな。
ttp://db.gakken.co.jp/jiten/ka/124400.htm
 モンゴル君を広島弁にしたのは趣向を変えてみて。

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