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第1785話 転生の翻訳家 ◆XZXZLuCGzk 投稿日: 04/03/16 11:44 ID:zNw+PWhh
「転校生のお嬢さん」(前編)

チュンチュン。チュンチュン。チュ・・・。
「アイゴー!!!遅刻したニダ。これも全部ニホンちゃんのせいニダ、謝罪と賠償と・・・。」
いつもどおり朝寝坊したカンコくん、必死に文句を言いながら、学校に走っていきます。
何やら横の通りから人影が・・・。
「アイゴー!!!ウリの前をニダー!!!!!」ドシン。
転びなれているのかすぐに立ち上がったカンコくん。
相手が自分より小さかったので、ここは謝罪と賠償を求めたいところですが、時間がありません。
外見にどこか見覚えがある気がしますが、そんなのはケンチャナヨです。
「リャンバンであるウリの邪魔をするとこうなるニダ!!!次からは気をつけて、謝罪と・・・。」
キーン、コーン、カーン、コーン・・・。
遠くのほうで学校の鐘の音がします。
たぶん、ぶつからなくても学校には遅れることになったでしょう。
「アイゴーーーー!!!!!!これに懲りて、ウリの邪魔をしようと思わないことニダーーーー・・・。」
砂埃を上げながら、猛烈な勢いでカンコくんは走り去っていきます。

シュタッと黒い影が、倒れている子を起こし、手早く服についたほこりを払います。
「だ、大丈夫ですか、お嬢様!!もし、お嬢様に何かのことがあったら、ウリは、ウリは・・・、アイゴー!!」
「・・・やっぱり。カンコくんは変わってないのね・・・。」
ぽつりとお嬢様と呼ばれた子はつぶやきました。
「アイゴー!!もう2時間目ニダ!!!!これも全部、ニホンちゃんのせいだからウリにノートを渡して・・・。」
「タイワンちゃん?」
「うん、ニホンちゃん。」ゴツン、ゴツン。
「ア、アイゴー・・・・。ウリナラマンセー・・・。」
カンコくんにはつらいのですが、最近はクラスの女の子も手厳しくなってきました。
「はーい、皆さん。席に座ってくださーい。今日は嬉しいお知らせがあります。」
フラメンコ先生が入ってくるなり、クラスに告げました。
ちょっと喧嘩が多くて、沈みがちだったクラスが一気に明るくなります。

「やっぱり僕を敬愛する美女に違いないさ。さあ、ニホンちゃん。僕と一緒に君の笑顔のように美しい桜を見に行こう!」
「それは無いですわ。」
「珍しく意見が一致しましたわね、フランソワーズ。」
「酒(ry」
「知的で論理的な会話ができるといい。」
「俺の正義と自由を(ry」
もちろん復活したカンコくんも負けてはいません。
「ウリを敬愛していて、ウリナラを愛し、ウリを愛している人に・・・。」
「お友達になれたらいいなぁ。」
「ああいうのじゃなかったらいいわね。」
「はーい、皆さん、お静かに。どうぞー。」
ガラッと扉が開き、全員がはっと息を飲みます。
「ア、アイゴー!!!お前は、あの時の!!」
そこにいた子は、パンツルックで黒一色にまとめていて、きりっとした中性的な魅力を持っています。
どよめく(若干一名騒ぎ立てる)クラスを気にもせず、つかつかと進み教壇に立ちます。
「ボクの名は、高英(コ・ヨン)。コおじいさんの都合で半年ほど、このクラスにいることになった。」
凛としていてニホンちゃんのハイパー状態をどことなく思わせる口調です。
「謝罪ニダ、賠償ニダ、責任を取るニダ。絶対に・・・ニカ?」
ふと、カンコくんは思い当たりました。
(コおじいさんって、聞き覚えがあるニダ。今日の朝、何かオモニとオボジが大切な話があるといってたニダ。)
(でも良く聞いてなかったから、何の話だったか覚えてないニダ。)

カンコくんが考えている間にどうやら自己紹介は終わってしまったようです。
「質問は・・・。」
「はーい!コヨンちゃんは、もちろんマイハニーになってくれるよね?」
「浮気をせずに(グサッ)、まじめに勉強をして(グサッ)、ボクに永遠かつ絶対の服従(ぇ?)を誓うのなら、考えてもいい。」
ヒュー・・・。ニコニコとしているコヨンちゃんの前でマカロニーノ君は固まっています。
「フ、フランソワーズ、あなたの良いお友達になれそうですわ。」
「あ、あら・・・。エリザベスこそ、良いお友達になれそうですわ。」
「・・・他に質問はあるのか?」
「アイゴー!!ウ、ウリにも質問させるニダ!!!」
「カンコくん。遅刻と校則違反の常習者。今日も持ってきたかばんの中にゲームボーイを入れている。
クラスの問題児。ボクの幼馴染なのに思慮遠謀に欠け、思いやりに欠ける。典型的なペクチョン。
ボクはお前のことを全て知っている。」
思わず頭を抱えて縮こまるニホンちゃん。こんなことを言われて、カンコくんが黙っているはずは・・・はずは・・・あれ?
「大丈夫。火病のあまり、気を失っているから。」
ふうと頭を下げたまま、ニホンちゃんはため息をつきました。なんだかよくわからないのがきちゃった・・・。
ふと見上げると、ニホンちゃんの前に握手を求める手があります。
「ニホンちゃん、これからもボクと仲良くしようね。」

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