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第1944話 シェロ 投稿日: 04/08/04 01:16 ID:NlQWbS3v
〜 Prologue 〜
蝉時雨の音が強くなる。太陽の日差しが強くなる。
また、地球町に夏が来た。
この暑い季節は、わたしに思い出させるんだ。
小さい時、お祖父ちゃんがしてくれた、私の生まれるちょっと前の昔話を。

〜Granpa's memories 1 〜
「ヒロ!」
聞きなれた声がして、私は読んでいた本を閉じた。
「ニッテイか。アメリー家との話し合いはどうだった?」
私が訪ねると、ニッテイは表情を曇らせた。
「話にならねぇよ奴ら。チューゴやインドネシアの家に間借りしてる工場だのなんだの全部引き払えとか抜かしやがった。
でねぇとウチとは商売しねぇってさ。なめやがって」
「そうか・・・・・・」
彼らが持っているものを私たちも望んだだけだったが、それすらも許されないとはな。
所詮彼らにとって我々は、黄色の猿ということなのか。私は深くため息を漏らした。
「わかっただろ?奴らは自分の儲けが少なくなるのが滅茶苦茶やなんだよ。
それに、最近急にウチが儲かりだしたのも気にくわねぇんじゃないか?
もう、いいだろ?俺はやるぞ。あんな連中と話し合ってなんかいられるか」
ニッテイの眼は覚悟に満ちていた。町のほとんどを敵に回しての大喧嘩。
ここのところの村八分で、資金もなにもない状況の中で喧嘩をしても、まず勝てはしないだろう。
しかしそれでも、やらなければならない時がある。弟の瞳はそう物語っていた。
昔から頑固な弟だ。もう私が何を言っても聞くまい。
この流れはもう、止めることはできないのだろうな。
「ニッテイ!ヒロ!いるんだろ?大ニュースだ!」
カイグンの声が下から聞こえる。
「どうしたよカイ?」
ニッテイが窓から身を乗り出して聞くと、カイグンは大声で言った。
「アンクルサムの野郎の居場所がわかったんだよ!あの野郎真珠園プールでバカンス決め込んでやがる!
こっちは金に困ってるってのにいいご身分だってんだ、ざけやがって。
ニッテイ、行くだろ殴りこみ?バットと爆竹ありったけ持って来いよ!」
「おぉ!ナイスだカイ!今行くからバイク用意しとけ!」
ニッテイはカイに指図すると、私の方に振り返って言った。
「ヒロ、まぁ、そう言うことだから、な」
「・・・・・・しかたない、か・・・・・・」
私はそう言うしかなかった。               
                        (続)

解説 シェロ 投稿日: 04/08/04 01:32 ID:NlQWbS3v
もうすぐ終戦記念日です。15日までには完結できるようにしたいなぁと。
無銘仁さん、「ニッテイさん」とネタが被ってたらゴメンヨ。

作品投稿と一緒に感想です↓
>>感想屋さん
すっげぇシニカル!w まんまホームレスな扱いっすね。
>>無銘仁さん
麻雀の役は良くわからないんですが、中3枚捨てのタイワンちゃんだけわかった(笑)
>>ab-proさん
これは・・・ゴネりゃいいモンじゃねぇだろと言いたくなりますね。アボジ(TT)


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  コメント: