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第1945話
シェロ
投稿日: 04/08/04 23:18 ID:KvsGZdPl
〜Granpa's memories 2 〜
ニッテイはカイグンを連れて、真珠園に突然殴り込みを掛けた。
アンクルサムにとっては、たまったものではなかったろう。
「聞けよヒロ。あの時の野郎のツラっつったらなかったぜ。
トロピカルジュース片手に固まってやがんの。センスのねぇ星の着いた海パン一丁で。
やっぱ男はふんどしだろ。俺もカイも頭来てたから徹底的にボコしてやったよ。
まぁ、幕開けにしちゃいい出来だったな」
ニッテイは自慢げに語る。楽しんでいるようにも見えるのは気のせいだろうか。
「喧嘩が熱くなるのはこれからだぜヒロ。俺はこのアジア町から白豚をみんな追っ払って、
アジア町をホントに俺らの町にしてやりたいんだ。イン堂も、フィリピンも、ベトナも、
インドネシアもな。白豚のいいようにこき使われてる俺らの仲間を、助けてやりたいんだよ」
ニッテイは熱い瞳で夢を語り続けた。そう、私たちの夢を叶えるための戦いは今始まったばかりなんだ。
私たちの起こした喧嘩は、いつしかアジア町全体を舞台にしていた。
アメリー家も、エリザベス家も、フランソワーズ家も、その時アジア町に別荘を建てていた家はみんな私たちの敵に回った。
しかし、敵の数と同じくらいの仲間も出来てくれた。イン堂のところのボーズのように。
敵の敵は味方だっただけか、それとも私たちの夢に共鳴してくれたかはわからないけれど。
ただ、何度も言うように、私たちには金も何もなかった。
バイクに入れるガソリンは徐々に底をつきはじめ、確実に私たちの置かれる状況は厳しくなっていく。
そんな中、事件が起こる。それまで敵なしだったカイグンが、ボロボロにされて帰ってきたのだ。
「中央道にアンクルサムの野郎がいるって話を聞いたから、仲間を連れて先手を打ってやろうと思ったんだ。
でも、あいつは俺が来るのを知ってて待ち伏せしていやがった。すまねぇ、ニッテイ、ヒロ・・・」
布団に寝かされたカイグンは顔を覆って身を震わせていた。アメリーの家の人間が家まで来なかったのは、
家に続く道をカイグンが守り続けていたからで、カイグンが怪我をした今、アメリー家の奴らが家まで乗り込んでくることが、
容易に想像できた。無論、家を守りきれなかったカイグンの悔しさも。
と、玄関の方で何かが倒れる大きい音がした。何事かと思って行って見ると、そこには、
泥まみれで憔悴しきったボーズとリクグンが転がっていた。
「リク!」
「わりぃ、イン堂のとこのエリザベスの別荘まで、歩いて行くのはさすがにキツかった・・・・・・」
ズタボロになったリクグンは呟くと、そのまま意識を失った。
ニッテイの両腕となって暴れまわっていたリクグンとカイグン、その二人がどちらもボロボロになっている。
それは、つまり日ノ本家を守れる人間がほとんどいなくなったのと同じであった。
こんな時に、何も出来ない私が歯がゆい。
家の周りが、アメリー家のバイクの騒音で、騒がしくなってきた。 (続)
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