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第2035話
無銘仁 ◆uXEheIeILY
投稿日: 04/11/01 08:43:25 ID:29+V4pDT
「死」
誰の目にも明らかだった。
それでも、ただ命を失うだけであったなら、
わたしも存分に涙をからしたことだろう。
やせ我慢ではない。平気なわけでは、もちろんない。
命だけでは飽き足らず、友の信頼を踏みにじり、
友の望みを打ち砕いた男が、ただ憎いばかりなのだ。
謝罪を迫られても、賠償をたかられても、
恨む、憎むということを知らなかったわたしが。
この重みに気づくのは、いつも終わってからだ。
わたしは最後まで墓前に座っていた。
他にすることがあっただろうか。
誰より人を愛する従妹は声高に父を糾弾し、
誰より家を愛する弟は、彼を責め続けた。
わたしはひとりで墓前に座っていた。
外へ目を向ければ、決してひとりではない。
友の多くが、同じ体験を経ている。
わたしもいずれ、強くなっていくことだろう。
あの変わり果てた姿を、頭の片隅から、
放逐する日が来てしまうのだろう。
わたしにとっての敵は、外や内だけでなく、
中にもいるのかもしれない。
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