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第2096話 ab-pro 投稿日: 05/01/05 08:13:54 ID:gV4FUttJ
 今日はザイニーちゃんのクラスで作文の発表会です。
 みんなの前に立ったザイニーちゃんが、少しはにかみなが
ら、発表を始めました。

 「ウリの本当の家はカンコ家ニダ。でも、両親の都合で日
の本家にお世話になっているニダ。
 日の本家にお世話になった最初、日の本家は本当に優しい
人の家だと思ったニダ。でも、しばらく経つと、日の本家の
生活が本当に苦痛で仕方なくなったニダ。
 しかし、その苦痛を乗り越えると、やっぱり日の本家は良
い家だということが分かったニダ。
 今日はその理由について話そうと思うニダ。

 ウリたち家族が日の本家についた頃、日の本家の人たちの
優しさには感激したニダ。
 あのころ、オモニにお使いを頼まれて、日の本家のお店に
お米を買いに行ったニダ。でも家に帰ってご飯を食べてみた
らパサパサして全然美味しくなかったことがあったニダ。
 それでお店に行って聞いてみたら、ウリが間違えて玄米を
買っていたニダ。オモニに怒られると思ってオロオロしてい
るウリに、お店の人が残った玄米を、普通のお米に交換して
くれたニダ。
 カンコ家なら絶対に交換してくれないし、よく釣り銭を誤
魔化される事もあったから、ウリはとても感激したことを覚
えているニダ。
 でも、日の本家の電話の受け答えの事だけは理解できなか
ったニダ。
 カンコ家の場合、身内の一番目上の人に対して一番敬意を
払うのが普通ニダ。例えば
 「ウリのアボジ様は今、お出かけになっているニダ」
 と言うニダ。
 だからニホンちゃんが
 「うちの父は今、出かけています」
 と電話口で答えているのを聞いたとき、ニホンちゃんのア
ボジが可哀想で仕方なかったニダ。

 でも、日が経つにつれて、だんだん日の本家の人の事が分
からなくなってきたニダ。
 ある日、大の仲良しになったウヨ君の消しゴムを借りよう
としたら、
 「勝手に取るな!!」
 と、ものすごい剣幕で怒鳴られたニダ。
 それから、仲良しになった八百屋さんにお使いに行って、
 「オモニがキムチを作るニダ。だから良い白菜を出して欲
しいニダ」
 とお願いすると、急に怖い顔になって
 「もうお前なんか来るな」
 と怒られたニダ。
 何で怒られたのか分からなくてウリは泣いたニダ。やっぱり
カンコ君が言っていたように、日の本家の人は鬼だと思ったニダ。
 でも、泣いているウリを見つけて話を聞いてくれたニホンち
ゃんが、答えを教えてくれたニダ。
 カンコ家では、親しくなった親友同士なら、例えばお互いの
持ち物を断りもなく借りるのが親友の証ニダ。それほど二人の
間に垣根がないという考えニダ。
 だから、ウヨ君がウリから何かを借りるとき、いちいち「借
りるね」と尋ねるので、まだ親友と思ってくれないのかなあ、
と思っていたニダ。
 でも、ニホンちゃんの話によると、日の本家では「親しき仲
にも礼儀あり」と言って、どんなに親しくても節度が必要だっ
たニダ。
 それにカンコ家では、八百屋さんなどは儲けるのが第一で、
平気で良くないものを売るニダ。だから
 「良いもの出して欲しいニダ」
 とお願いするのは、親しくなった後ニダ。
 でも、日の本家では八百屋さんも誇りを持って商売をしてい
るニダ。だから良いもの出してとお願いするのは、普段は悪い
物しか置いていないと、暗に貶しているのと同じ事だったニダ。
 
 こうして、カンコ家と日の本家の違いが分かった上で、改め
て日の本家の生活を考えてみると、いい人が多くて住みやすい
ところニダ。
 ウリはこんな誤解が解けて、もっと日の本家とカンコ家が仲
良くなれればいいと思ったニダ」
 小学生らしく作文を締めくくったザイニーちゃんが、ぺこり
とお辞儀をすると、クラスのみんなが一斉に拍手をしました。
 話の途中では、恥ずかしそうに俯いてしまったウヨくんも、
この時ばかりは熱心に拍手に加わっています。
 「はい、ザイニーちゃん、良くできました。本当に仲良くな
るには大変なこともあるけど、その大変さを乗り越えれば本当
に素晴らしいことですよね」
 と、ハプスブルグ先生が締めくくろうとしたときです!

 「待つニダ!
  ザイニーは半チョッパリニダ。カンコ家の本当の素晴らし
さを知らないニダ。
 カンコ家宗家嫡男のウリが、ニホンの家など足下にも及ばな
い、ウリナラの素晴らしさを教えてやるニダ!!」
 どこからともなく乱入してきたカンコ君が、ザイニーちゃん
を引きずりおろすような勢いで教壇に立ち、自信一杯にふんぞ
り返りました。
 あまりの出来事に一瞬、時が止まった教室の中で、一陣の風
がカンコ君に襲いかかります。
 「天誅!!」
 魔法のように竹刀を取り出したウヨ君の鋭い一撃が、見事に
カンコ君の脳天にヒットし、ノックアウト。
 事態の成り行きに、ハプスブルグ先生も苦笑いを噛みつぶし
つつ、竹刀を取り上げてウヨ君に「メッ!!」とした後、気絶
したカンコ君を保健室に運んでいきます。
 そんな中、唖然としているザイニーちゃんの前に、頬をポリ
ポリとかきながら、ウヨ君が進み出ます。
 「まあ、なんだ。・・・・これからも宜しく」
 「・・・・うん!!」
                         end

解説 ab-pro 投稿日: 05/01/05 08:17:43 ID:gV4FUttJ
 というわけで、私も桃太郎のお話を見て、彼の国との価値観
の相違のお話を一つ。
 ソースは、かなり前に雑誌で見た、日本在住女性韓国人コラ
ムニストのコラムです(昔の話なので、雑誌名やコラムニスト
の名前が分かりません)。
 内容は本文の通りです。
 お米屋さんのお話で思い浮かんだのが、私が昔ダイエーでバ
イトをしていたとき、子供が誤ってワイングラス割ってしまい、
母親が店員に詫びていると、上の人が出てきて「グラスなんて
どうせ割れる物ですから」の一言で済ませてしまったことです。
 これは上手いと思いましたね!
 後、後半部分のカンコ君の乱入シーンも同じソースから。
 このコラムニストが日本で講演中、突然韓国留学生が乱入し
てきたそうです。
 その留学生は、まず自分が日本の有名大学の高名な教授の下
で学んでいるエリートであることをとうとうと述べた上で、こ
のコラムニストが、女性のくせに軍隊経験のある「変人」ある
ことを述べて、であるからこのコラムニストの主張は出鱈目で
あると主張したとか。
 もちろん、そんな主張を日本人の聴衆が受け入れるはずもな
く、「帰れ!」コールの中、なぜ自分の主張が受け入れられな
いのか理解できぬまま、退場させられたそうです。

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