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第2159話 シェロ 投稿日: 05/02/16 19:14:39 ID:ysT/iiTR
「本当にあった怖い話」
〜警告:この話には一部残虐な描写が含まれています。

ザリ・・・ザリ・・・ザリ・・・
あたしは大きな荷物が入ったリュックを背負って、砂漠の中を歩いていた。
「重いよぉ・・・・・・」
リュックの中には何が入ってるんだろう。何かどんどん膨れ上がって、どんどん重たくなってくよ。
「やぁ、ニホンちゃん大変だね」
声がしたので顔を上げると、そこにはアメリー君が立っていた。
「ニホンちゃんが重い思いをしてるのは、その身につけてる鎧のせいだよ。それを脱いじゃえば、身軽になると思うよ。
 がんばって!じゃあ!」
そういうとアメリー君は、鷲に変身して飛んで行っちゃった。手伝ってくれてもいいじゃない・・・
とりあえずあたしは身につけてた鉄の鎧を脱ぎ捨てた。大分体が軽くなったかな。頑張ろう。
もう一回リュックを背負って歩き出す。でもあたし、どこに行こうとしてるんだろう。

リュックの中身はまだまだ大きくなっていくみたいだ。だんだん息が切れてくる。
空を見上げると、鳥がくるくると軌跡を描いて、あたしの頭上を飛んでいた。
頭の禿げた、ぎゃあぎゃあと鳴く薄気味悪い鳥。
構わずに歩いていると、ぎゃあぎゃあと鳴く声は聞き覚えのあるような声に変わっていく。

「フフフフフにほんチャン、オイシソウデスワ」
「アタシ、アノカワイイオメメヲタベチャイタイワ、キットアマイワヨ」
「ジャアオレハ、アノヤワラカソウナオナカガイイナ」
「アラあめりいクン、ソンナゴシュミガオアリナノ?」
学校で聞きなれてたみんなの声、寒気がしてくる。なにこれ、あたしをどうするつもりなの?
あたしは小走りに走り出そうとするけど、砂漠の砂はあたしに絡み付いて、ちっとも前に進めない。
リュックの中身は膨らみ続けて、あたしは潰れそう。

「アアモウガマンデキナイヨ。ミンナデモウタベチャワナイカ?」
「ソレモイイワネ。くききききき。デモアバレラレナイカシラ?」
「ダイジョーブサ。ソレニにほんチャンノヨロイハ、オレガサッキヌガシテヤッタカラサひけけけけけ」
「マアあめりい、アナタモワルイヒトネ。フフフヒヒヒホホホヘヘヘ」
みんなの声が近づいて、鳥が高度を下げてくる。あたしは精一杯走ってるのに、どんどん砂が絡み付いてくるだけ。
「あっっ!!」
砂に足を取られて、あたしは転んでしまった。その時、
「イマダ!!」
アメリー君の声がして、気持ち悪い鳥達があたしの上に降りてきた。
そのとんがったくちばしで、あたしの体をついばむ。
あたしの右目をくりぬいて、美味しそうに飲み込む。
左手をその爪で引きちぎって、細かく切り分けて仲間と味わう。
あたしのお腹に顔を突っ込んで、はらわたを貪る。
やめて、やめて、やめて!叫ぼうとするけど、もう喉は食いちぎられていて、声がでない。
あたしの中身を喰らいつくして、「ゴチソウサマ」と血まみれの頭をお腹から出して笑った鳥の顔は、アメリー君だった。

「い、いやあああああああああああああああああああぁぁあぁああっっっっっっっっ!!」
あたしは叫んで布団から跳ね起きた。全身に冷たい汗がふきだしてる。
「姉さん!どうしたの!!」
ウヨ君がびっくりして駆け込んでくる。
「え・・・・・・あ、・・・・・・夢?」
あたりを見渡す。ウヨ君の心配そうな顔。あたしの机。時間割の横のクマのぬいぐるみ。そこは砂漠じゃなくていつものあたしの部屋だった。
「ねえさん、顔色が真っ青だよ、大丈夫?」
「う、・・・うん。ちょっと、怖い夢みただけ・・・・・・」
心臓がさっきからずっとバクバクしてて、治まらない。
「そう・・・ただの夢なら大丈夫だよ。驚いたな。じゃ、オレ部屋戻るよ」
そう言ってウヨ君は部屋から出て行こうとする。
「待って武士!独りにしちゃやだぁ!」
あたしはつい、ウヨ君の腕を掴んでそう泣きついていた。

「もう・・・・・・姉さんも子供だなぁ。怖い夢見たくらいでさ」
「だって、ホントに、ホントに怖かったんだもん」
あたしはウヨ君の体を抱きしめながら言う。ウヨ君の少し高い体温が、少しずつあたしを落ち着かせてくれる。
「んっ・・・大丈夫だよ。姉さんにはオレがついてるんだから。どんな時でもオレが守ってあげるよ」
ウヨ君は子供をあやすように、あたしの背中をぽんぽん叩いてくれてた。
ただの夢だよね。目が覚めてすこししたらすぐ忘れちゃうよね。きっと大丈夫だよね。 
あたしはウヨ君と抱き合って、もう一度目を閉じる。今度はもっと楽しい夢を見たいな、キッチョム君が考え改めてネコ返してくれるとか・・・・・・
夜は静かで、ウヨ君とあたしの息だけが聞こえるみたい。


       ご   と   っ


静寂を打ち破って突然物音がした。あたしの全身の毛が逆立つ。
落ち着いていた心臓が、またバクバクと暴れだしてきた。
薄気味悪い寒気がして、思わず眠っているウヨ君にしがみついた。
大丈夫だよ。どうせ机の上にあった何かが落っこちただけだよ。だから気にしないでいいよあたし。
あれは単なる夢だったんだし、気のせい、気のせい。
だから見ないの。あたしは絶対見ないんだ。絶対ダメ、絶対見ちゃダメ!
自分にそう言い聞かせた。けれど体が言うことを聞いてくれなくて、
目が勝手にそっちに行ってしまう。
抵抗できない力に負けて、あたしが目にしたのは、


ぶ く ぶ く と ふ く れ あ が る リ ュ ッ ク サ ッ ク だ っ た
                                           (了)



解説 シェロ 投稿日: 05/02/16 19:33:53 ID:ysT/iiTR
かいせつのようなもの
ttp://ueno.cool.ne.jp/gakuten/network/fin.html
上記のサイトに日本の負債の現状が記されています。
これだけでも十分怖いですね。

破産した長銀にリップルウッドが食いついて莫大な利益を上げていましたね。
外資系ファンドは日本の資産を今も狙い続けています。

さらに、会社法改正の審議が通ると、株式交換による三角合併が解禁されることで、
外資系企業の日本企業買収が非常に容易になる見通しとのこと。

膨れ上がるリュックサック:負債
薄気味悪い鳥達:外資ファンド
ニホンちゃんが着ていた鎧:改正前の会社法

そんな感じです。ヤバイ、マジヤバイ。とにかくお前ら、日本のヤバさを知っといたほうがいいと思います。

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