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第2228話 カラクリ 投稿日: 2005/04/30(土) 16:40:05 ID:Iw6Hsb4D
 風景がオレンジ色に染まる中、ニホンちゃんは体育館の裏に向かっていました。
 目的地で彼女を待っていた二つの影。チューゴくんとカンコくんです。
「ごめ〜ん、待った?」
 愛らしい顔に微笑みを浮かべて言うニホンちゃん。その微笑みが普段の彼女のものとはわずかに違って見えるのは夕陽のせいでしょうか?
「ニホン。冗談を言っている場合ではないはずアル」
 爆発しかけたカンコくんを黙らせつつそう言うチューゴくんの表情は真剣そのもの。
「そうね。じゃあ、今月の分を支払ってもらおうかしら」
 その言葉を合図に、二人は自分の財布からお金を取り出し、ニホンちゃんに渡します。二人にしては結構な額です。
 それを受け取ったニホンちゃんは、過不足がないことを確認して財布にしまいました。
「やいニホン! もう……少し安くならないニカ?」
 いつもは威勢の良いカンコくんも、今回ばかりはニホンちゃんの冷たい視線の前に大人しくなってしまいました。
「何言ってるの? これであなたのおうちが平和で暮らせるんだから、安いものじゃない」
「……」
 ニホンちゃんの言うことはカンコくんにも分かっています。
 この大金は、家族が日ノ本家の悪口を言っても(ある程度までは)見過ごしてもらうために払っています。そのおかげで、彼らの家はまとまりを保っているようなものだからです。
(アイゴー! でもいつか、ニホンをウリの奴隷にしてやるニダ!!)
 去っていくニホンちゃんの背中を、カンコくんは顔をキムチのように真っ赤に染めてにらみつけています。
 しかし──。チューゴくんは、この安定がとても脆いものだということを自覚していました。
 とはいえ、今はまだ正面からニホンちゃんに対抗するには不安要素がいっぱいです。
(今のうちに力を蓄えれば、将来ニホンに勝つことも可能アル。それまでは……)


 帰路についたニホンちゃんは思いました。
 最近チューゴくんちは反ニチ的な行動が多いよね。そろそろ使用料値上げしようかな?
 でも、こんなお金払ってるからいつまでもビンボーなのよね、二人とも。
 ま、勝手に騒がせておくだけで力を削ぐことができるんだから、こんなおいしい話もないか。

解説 解説 投稿日: 2005/04/30(土) 16:41:51 ID:Iw6Hsb4D
 大分前に新聞のコラムに載っていた「日本政府は韓国政府に反日の使用料を請求するべきだ」という韓国人のジョークが元ネタです。

 政府が中韓両国に謝罪や賠償を請求しないのも、彼らが未だに日本に追いつけないのも、実はこんなカラクリがあった、というお話で、
今頃は町村外相が水面下で中国政府から賠償金をとっているかも知れません。

 なお、この物語は捏……もとい、フィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係ないはずです。

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