戻る <<戻る | 進む>>
第2301話 U−33 ◆JOCEixq6zU 投稿日: 2005/07/13(水) 23:33:18 ID:jBmbpQ4A
『先生のひと言』
 5年地球組のテストの時間、机の間を回っていたフラメンコ先生が、鋭い声をあげました。
「これは何です。見せなさい!」
 先生はタイワンちゃんの手をつかみました。そこから小さく畳んだ紙片が机の上に落ちました。
「ご、ごめんなさい」
 タイワンちゃんは、蒼白になってうつむきました。肩が小さく震え、テスト用紙に涙が落ちました。
「あなたがこんなことをするとはね。今日のテストは0点です。それと罰として放課後トイレ掃除をしなさい」

 放課後、トイレ掃除を始めたタイワンちゃんにニホンちゃんが声をかけました。
「タイワンちゃん、お掃除手伝ってあげる」
「いいよ、私が悪かったんだもの」
「一人じゃ大変だよ。早く終って、次のテストの予習をしなきゃ」
「ありがとう。恩に着るね」
 二人はせっせと掃除をします。
 掃除が終りかけたところに、フラメンコ先生が通りかかりました。
「あら、親切なお友達が一人いるようね。それなら、二人とも職員室へいらっしゃい」

 職員室に入ってきた二人に、フラメンコ先生は出席簿のある箇所を示しました。
「これが何か分かる?」
 ある子の出欠欄にすべて斜線が引かれていました。
「この子はね、あなたがたのクラスメートなの。でも誰もこの子と学校で会ったことはないはず。この子はね、
家が貧しくて学校に行けずに働いてるの。けれど、知識がないから貧しさからぬけ出せない。悪循環なのよ。
 それが地球町の現実なの……」
 フラメンコ先生は目を伏せました。
「あなたがたは、ご両親やご先祖の何代もの人々の努力のつみかさねのおかげで何の心配もなく学校に行ける。
それはどれだけ幸せなことか。だから、ズルしようなんて思わないでしっかり勉強しなさいね」
 二人は、真剣に聞いています。
「分かってくれたようね。じゃ、次のテストはがんばってね」

「いってきまーす。あ、そうだ」
 翌朝、家を出ようとしたニホンちゃんはそう言って玄関から引き返しました。そして、お仏壇の前で手を
あわせて、ご先祖様に「いってきます」と声をかけて出かけていきました。

解説 U−33 ◆JOCEixq6zU 投稿日: 2005/07/13(水) 23:34:59 ID:jBmbpQ4A
(元ネタ)
台湾の大学入試で集団カンニング事件、22人摘発
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050703i312.htm
世界で2億4600万人−児童労働の現状
http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/chouryu/183/

>>236-239
アフリカ関係は重たい話が多いんですが、こういういい話には。・゚・(ノД`)・゚・。ですね。
というか、政府はこのソースを副読本にして全児童に配布しるといいたいです。

ところで、ご先祖様といえば、今日は東京周辺ではお盆の迎え火の日。みなさんのところではいかがですか。
>>248
元ネタリンク切れでした。スマソ。
今見られるのはこちら

台湾の大学入試で集団カンニング事件、22人摘発
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/kokusai/20050703/20050703i312-yol.html

この作品の評価を投票この作品の評価   結果   その他の結果 Petit Poll SE ダウンロード
  コメント: