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第2324話
青風 ◆BlueWmNwYU
投稿日: 2005/08/20(土) 23:40:36 ID:C1gtvxBR
「お買い物は一緒に」
「はい、そこのお嬢ちゃん。毎日お母さんお炊事大変でしょう?
これが包丁の切れ味が悪かったりすると、もう本当に一苦労。でもね、」
と、云うなりそのおじさんは手にした包丁でいきなりすぱすぱ、っと
まな板その物を撫できりにしてしまいます。
「この包丁、勿論切れるのはまな板だけじゃ無いんですよ、ほれ」
ここでおじさん、すっすっとトマトを一瞬で輪切りにしてしまいます。
その見事な売り口上、鮮やかな包丁捌きに廻りの大人達は釘付けです。
もちろん、釘付けになっているのは大人達だけではありません。
「ふーん、見事なものだな」
「うんうん、何だかつい買いたくなっちゃうよね」
アーリアちゃんとタイワンちゃんも感心して見つめています。
ここは駅前の大きな電気店「アキバ屋」の入り口です。今日は電気に詳しい
ニホンちゃんの案内で遊びに来ているのです。
電気屋さん、と聞いて居たのですが、アキバ屋さんに来てみると売っている
のは電化製品ばかりではありませんでした。店の一番目立つところには手品
の道具やオモチャ、自然に優しい洗剤に包丁。なんだか奥の方には漫画や大
きなプラモデル、それに等身大の人形も売って居るみたいです。
「あはは、私が小さい時とは随分売ってるものも変ってきてるから」
目の前に展開する異空間の様な風景に言い訳をしながら、ニホンちゃんは
二人を案内し始めました。
最初に案内したのは家電コーナーです。テレビに冷蔵庫に洗濯機にエアコ
ンと、ありとあらゆる家電が並んでいます。
「うーん、最近チューカアパートで組み立てた冷蔵庫とか多いんだよね」
「ニホン。気持はわかるが、我らの目的を忘れるな」
お父さんのところの牙城を崩されて悔しそうなニホンちゃん。それを
アーリアちゃんが引きずるように次のコーナーへ連れてゆきます。
そう、彼女たちには行かなくてはいけない処が有るのです。
登山用品コーナーの脇を抜け、隣に並ぶのは沢山のコンピューターです。
完成品のコンピューターもさることながら、ここには部品の方が山積みにな
っています。
「見て、タイワンちゃんのお父さんのところで造った物があるよ」
「うん、お父さん達頑張ってるからなぁ」
ちょっと得意そうなタイワンちゃんです。そう、この辺りの物の多くは
タイワンちゃんのところで造っているのです。
「ふん、こんな新しい物がもうここには出回っているのか」
アーリアちゃんも感心しています。そこへ、
「ホルホルホル、ウリのところのパーツ抜きではコンピューターは
作れないニダァ。ウリナラのギジュチュは世界一ニダァ」
振り向いて確認するまでもなく、カンコ君の声です。
「ねぇカンコのところで造ってるパーツって確か、」
「ああ、ニホンのところの機械を廻して造った大量生産の安物だったな?」
あはは、と力無く笑うニホンちゃんです。
「まぁ、其れは良いから、次行こうよ、ね?」
自己陶酔して演説を続けるカンコ君を放っておいて次にやってきたのは
漫画の並んだコーナーです。他のお店ではめったに見かけない種類の本や、
キャラクターの人形、服までが売っています。
「おおう、みろニホン!年に一度のマーケットでしか手に入らない本が!」
「もしもし、アーリアさん、時間が・・・」
「ああ、あの漫画家め、執筆が遅いと思ったらこんな同人誌を!」
「もしもーし!」
いつまでもレアな本にしがみ付こうとするアーリアちゃんを引き離すと、
3人は次のコーナーへ向かいました。
エリザベスちゃんのお家のお手伝いさん見たいな格好をした店員さんの
居る喫茶コーナーの脇を抜け、八百屋さんの後に出来た大きなビルを横目
に通り過ぎ、ラジオや無線機、果ては真空管まで並んでいる屋台を素通りし
て、ゲームソフトのコーナーが見えたら目的地はもうすぐです。
「ねぇニホンちゃん、あの女の子が一杯出てるゲームって、」
「駄目よそっち見ちゃ!お父さんが絶対近づくなって言ってたんだから」
「ニ、ニホン。あの美しいフォルムの戦車模型だが・・」
「その美学、理解できるけど今は堪えて。私達には目的があるのよ!
良い二人とも?怪しい盗聴器も法律無視のダビング機も不当に安い変な
DVDアニメも効果の怪しい護身グッズも私達を誘惑するけど、
目的地までは我慢しなきゃいけないの、判ってちょうだい!」
少女達は涙ぐましい忍耐の末、ようやく目的地にたどり着いたのでした。
「へい、おまちどおさま!」
威勢のいい声と共に、カウンターに座る3人の目の前に並べられた3っつ
のドンブリ。香ばしい香りと湯気、これでもかと盛られた具と太めの麺と
濃いめのスープを目の前にして、誰とは言わず小さな歓声が上がりました。
「いただきまーす」
既に会話は途切れ、ただひたすらにドンブリと格闘する3人。
再び彼女たちが満足げな表情と共に言葉を交わした時には、ラーメン
は既にスープまでほぼ制圧されていました。
「ああ、ニホン一つ聞いて良いか?」
「何でしょうか?」
「何故、電気屋でラーメンなのだ?」
ふう、と満足げな溜息とニホンちゃんが呟きます。
「私も知らない」
解説
青風 ◆BlueWmNwYU
投稿日: 2005/08/21(日) 00:05:04 ID:hBPL/yhR
さて、解説とか言い訳ですが。
秋葉原、という空間にみなさまどんなイメージをお持ちでしょうか?
家電製品の街。無線やラジオの街。パーツショップの街。
そして今はサブカルチャーの街。
そして、そんな一件無節操な変化を遂げながら、更にまだ
活気を持って次世代の形へ成長しようとする街。
お近くにお寄りの際は是非一度足をお運び下さい。
・・・などと書くとまるでタウン誌の宣伝のようですね。
取り敢ずこの話は
>>461
さまの投下ネタに基づき
ニホンちゃんの秋葉原訪問記を書いてみました。
ん、ではまた近いうちに ノシ
解説
マンセー名無しさん
投稿日: 2005/08/18(木) 19:47:59 ID:ffIJ53OK
ttp://www.asahi.com/national/update/0818/TKY200508180156.html
皇太子さま、秋葉原電気街を視察 つくばEXにも試乗
ニホンちゃんの秋葉原訪問記キボンヌ
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