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第2356話
青風 ◆BlueWmNwYU
投稿日: 2005/10/04(火) 17:10:56 ID:IaZphNB/
「昨日と今日の狭間に」
「きゃあ!私のお弁当が有りませんわ!」
お昼時間に突如響き渡るフランソワーズちゃんの悲鳴。
そう、今日は給食ではなくお弁当を持ってくる日。
みんなお母さんが腕によりを掛けて造ったお料理を自慢仕合ながら
食べる楽しい時間になるはずだったのですが。
「どうせアナタの事ですから、お家に忘れていらっしゃ・・
無い!有りませんわ、私のお昼が何処にも!」
自分のお弁当箱もない事に気が付くエリザベスちゃんです。
それを皮切りに教室のあちこちで「ああ、私のも無い!」「俺のメシ
は何処だYO!」と云う怒号や悲鳴が飛び交い始め、そしてついには
「そういえばカンコがみんなの弁当箱を担いでいくのを見た」
と云う証言まで飛び出しました。
「ぬれぎぬニダァ!人違いニダァ!」
自分のやった事を他人のせいにする事は許せても、その逆は決して
許さないカンコ君、みんなの追求に顔を真っ赤にして怒ります。
そこへ響き渡るオージー君の叫び声。
「居たダス!カンコが廊下を向うへ走っていったダス!」
カンコ君、猛然と教室を飛び出します。
大きな荷物を背負ったいかにも怪しい”偽者”を追いかけて、
廊下を抜けて階段を駆け下り、地下室を下り倉庫の中をくぐり抜け、
気が付けば薄暗い物置の隅へたどり着いていました。
「さあウリの偽者!顔を見せるニダ!」
大荷物を背負った少年の肩に手を掛けこっちを向かせるカンコ君です。
「お、オマエは、ウ、ウリニカ?」
振り向いた少年はカンコ君にそっくりでした。
「そう、ウリはオマエニダ。だから、だから、
オマエにはもう一つの世界がどうなっているか知る義務があるニダ」
言い終わると荷物をカンコ君へ放り投げるもう一人のカンコ君。
「な、何をするニカァアアアァァァ!!!!」
バランスを崩し倒れ込み、果てしなく落下して行くカンコ君です。
「オッパ、オッパ」
チョゴリちゃんの声で目を覚ますカンコ君です。
「ん、ああ、チョゴリニカ」
落下のショックでまだちょっと頭が痛いカンコ君です。
「ねぇオッパ、おなか空いたニダ。ご飯、手に入ったニカ?」
おずおずと言いづらそうに切り出すチョゴリちゃんです。
よく見ると、着ているモノも薄汚れて何だかとっても痩せています。
「一体どうしたニカ、その格好は」
そう言いながらも背中に背負ったみんなのお弁当を思い出し、
チョゴリちゃんに差し出すカンコ君です。
貪るようにお弁当を食べるチョゴリちゃん。
「食い物ぐらいウリナラの家に幾らでもあるはずニダ」
呟くカンコ君にチョゴリちゃんが目を丸くしてまくし立てます。
「家?ウリナラの”家”なんか何処にあるニカ!」
チョゴリちゃんが訴えるところに拠ると、昔、カンコ君のお家は
チューゴ君やロシアノビッチ君のお家の拡張競争に飲み込まれそうに
なったのだそうです。その時、カンコ君のお祖父さんがニホン
ちゃんのお祖父さん”ニッテイさん”からの手助けの申し出を断って
しまい、結局、お家はロシアノビッチ君の家に飲み込まれ、
今ではロシアノ家の住み込み召使いに成り下がったのだそうです。
「そんな馬鹿な。確かニッテイは無理矢理ウリ達を”助ける”と云って
支配した筈ニダ。だったら、だったらそんな事は有り得ないニダ」
呆然とするカンコ君です。
「ああ、ウリもニホンニムのお家に産まれたかったニダ」
チョゴリちゃんの言葉にぎょっとするカンコ君。その時、
「おらぁ奴隷共ォオ!こんなとこでさぼってメシ喰ってんじゃねーぞ!」
ロシアノビッチ君の怒声が物置に響きました。
振り向くカンコ君の目に映るロシアノビッチ君とニホンちゃん。
「ニホン。おめえに奴隷の扱い方、ってのを教えてやるぜ!」
突然カンコ君のみぞおちにロシアノビッチ君の軍靴がめり込みます。
「ちょっと!いくら何でもあんまりでしょ!」
うずくまるカンコ君に駆け寄るニホンちゃん。
カンコ君は遠くなる意識の更に遠くでニホンちゃんの声とロシアノビッチ君
の哄笑を聞いていました。
「ねぇ、カンコ君、カンコ君ったら」
ニホンちゃんの声で目が覚めるカンコ君です。
ウリは、どこからか落ちて、それから。
何だか記憶もはっきりしません。辺りを見回すと、
自分を心配そうに見つめるクラスのみんなの顔がありました
「ほらニホンちゃん、バカンコが死ぬ訳無いじゃん。
で、結局お弁当は何処云っちゃったんだろうね」
タイワンちゃんの声をきっかけにみんないつものように賑やかになります。
一人、珍しく静かなカンコ君がニホンちゃんに声を掛けます。
「ニホン」
「ん?何、どっか痛むの?」
「さっきはありがとうニダ」
解説
青風 ◆BlueWmNwYU
投稿日: 2005/10/04(火) 17:26:41 ID:IaZphNB/
解説のような、そうでもないようなもの。
さて、今回はいわゆる”日韓併合”についての”もしも”話
がネタであります。歴史に”もしも”を云っても本当に意味
が無いのですが、まぁ日韓併合が無ければ多分ロシアに事実上
併合されてお終いだったかなあ、と云う訳です。
ロシアは併合した国に優しくはないだろうなぁ・・・・多分。
本文が長いので、解説は短めに終わらせます。
では、近いうちにお会いしませふ。
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