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第2361話 ab-pro 投稿日: 2005/10/15(土) 13:16:59 ID:QEiU2oBh
 その日、カンコ君の行動は非常に奇異なものでした。
 休み時間。カンコ君は珍しい事に、楽しそうになにやら難しそうな本を
読んでいるのです。それも鼻歌を歌いながら!
 そして、ちらりちらりとお隣を盗み見るカンコ君の様子に、「お隣」の
ニホンちゃんも、内心溜息をつきながらカンコ君に声をかけます。

 「ねえ、何の本読んでるの、カンコ君?」
 「な、何だニホン。ウリの読んでいる本に興味があるニカ?」
 「・・うん、そうなんだけど」
 「ウリは読書に忙しいニダ。でも、そこまでニホンが言うなら貴重な時
間を割いて説明してやるニダ」

 そう言ってホルホルと笑いながら、満面の笑みでニホンちゃんに今まで
読んでいた本を、誇らしげに掲げて見せます。

 「・・・コ・ウン?」
 「そうニダ。うちで一番権威がある読み物ニダ。なんと今年のノーベル
が選ぶ一番面白い本賞に、もっとも近い本ニダ!!」
 「・・・そうだったんだ。知らなかった」
 「これだからニホンは駄目ニダ。エリザベスも認めている優れた本ニダ」
 「そうなの?」
 
 と、ちょうど二人の近くを通りかかったエリザベスちゃんに尋ねるニホ
ンちゃん。
 「・・・あら、そうですね。コ・ウンがノーベル君に選ばれる可能性は、
シリアちゃんの家のアドニスに次いで二番目に高い、と、私予想していま
すは」
 分厚いシステム手帳をめくりながら答えるエリザベスちゃん。そう言え
ばエリザベスちゃんの「予想」は筋金入りで、地球町で起こる全ての出来
事について予想を立てているとかいないとか。
 「どうニダ?
 これで間違いなくコ・ウンが地球町で一番面白い本といことになるニダ。
 コ・ウンはウリナラの誇りニダ。これからウリはコ・ウンを毎日読むニ
ダ。ウリナラマンセ!!」

 こうして一人大盛り上がりするカンコ君ですが、しかし・・・・

 翌日。
 休み時間に携帯ゲームを楽しむカンコ君の姿に、ニホンちゃんは不思議
そうに話しかけました。
 「ねえ、カンコ君。もう読書はやめたの?コ・ウンは?」
 「何のことニカ?
 今のトレンドはハンゲームニダ。ハンゲームこそウリナラの誇りニダ。
 ニホンもするニカ?」
 「????」
 どこか元気もなく、ゲーム画面から目も離さずにニホンちゃんに答える
カンコ君。
 そんなカンコ君から、無言の「その事にはもう触れないで欲しいニダ」
オーラを感じ取って、次の質問を言いよどむニホンちゃん。
 ですが、その場にもう一つの足音が近づいてきた瞬間、カンコ君は勢い
よく椅子から立ち上がって、その「人物」に食って掛かったのです。

 「エリザベスのヘボ予想屋!全然予想が当たってなかったニダ!!
 もぉー、×■☆○△!!!」

 もう本当に火病ってしまったカンコ君ですが、エリザベスちゃんは余裕
の笑みを浮かべたまま、
 「あら、ごめんあそばせ。
 私でもたまには間違う事がありましてよ」
 と、優雅に謝罪の言葉をかけるのですが・・・・
 そのエリザベスちゃんの胸元には、ノーベル君の「今年の一番面白い本
で賞」と刻まれたメダルが、誇らしく光り輝いていたのでした。  end

解説 ab-pro 投稿日: 2005/10/15(土) 13:18:20 ID:WGcf9lBf
 ネタ投稿感謝です^^
 ソースは
http://japanese.joins.com/article/article.php?

aid=68343&servcode=700§code=700
http://japanese.joins.com/article/article.php?

aid=68543&servcode=700§code=700
 と、同時期、朝鮮日報日本語版に載っていた同様の記事が、ノーベル賞
受賞者確定後、記事一覧から削除されている件について。
 あと、イギリスの賭博専門業社の上位候補に挙がっていなかった英国の
作家がノーベル賞を受賞した件も^^

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