連続ドラマ小説「ニホンちゃん」第2484話「哀情」　作：不詳

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第2484話 344 投稿日： 2006/01/11(水) 22:56:07 ID:BCF05lgf: 【哀情】

「待ってたアル」
放課後の校舎裏。チューゴ君に折り入って話があるからと言われて、私は今ここにいる。
いつもいつも無理難題を言うからこの頃は無視しているんだけど、今日は来てしまった。
……彼の表情があまりにも真剣だったから。
「それで、何？ヤスクニの話だったら聞かないよ」
「今日は違うアル」
「じゃあ、また尖閣パンツの話？」
「いや、それも違うアル」
「それじゃあ……」
古ぼけた花火の話か、と聞こうとしたら、彼は私の言葉を遮るように、呟いた。
「笑わないと約束して欲しい」
え？
あ、えと。
「うん。約束するよ」
すると彼はほっとしたように話し始めた。
「実は、この頃アサヒが……冷たいアル」
思いもよらなかった言葉に私は思わず息を飲んだ。
「だから……だから従妹のニホンから……アサヒに一言口入れ欲しいアル。一生のお願いアル！」
彼は震えていた。
あの傲慢なほど誇り高い彼が。
いつも高圧的な口調で私に物を言う彼が。
頭を下げている。
でも。
でも。
私は首を横に降る。
「無理だよ。私には出来ない」
「そうアルか……」
ため息をついた彼の表情は、今まで見たこともないものだった。
それは、哀。木枯らしに吹かれてかさかさと音を立てる枯葉のような哀しみ。
だけど、私は同情はしない。
もうそう決めたのだから。

(Fin)
解説 344 投稿日： 2006/01/11(水) 23:00:21 ID:BCF05lgf: ソース
【日経】中国、日本に「報道規制」を要求・マイナス面の報道多い［2006/1/9］
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060109STXKB032609012006.html