連続ドラマ小説「ニホンちゃん」第2496話「町内会役員人事戦？」　作：烏丸

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第2496話烏丸投稿日： 2006/02/24(金) 16:34:52 ID:VG3sMdIM: 町内会役員人事戦？

――地球町には、町内会役員という役職があります。
町内会の役員は、地球町のリーダー的存在で、町内の家々に対して色々と指導し
たり、意見を言ったりと強い権力を持つことができるのです。
現在の役員は、アメリー家、エリザベス家、フランソワーズ家、ロシアノビッチ
家、チューゴ家の五つの家です。
しかし、最近になって、「この町内会の役員を増やしたらどうか？」という意見
が地球町全体で出てきました。
そもそも今の役員は、昔に起こった第二次町内大喧嘩で勝った家だけで占められ
ています。
現在の地球町は昔と違って状況も大きく変わり、町内の意見をよりよく反映させ
るために役員を増やそうというのが理由です。
そこで新しい役員候補の筆頭に上がっているのが、ユーロ地区のゲルマッハ家と
アジア地区のニホン家です。
両家とも第二次大喧嘩の後、一生懸命努力して町内屈指のお金持ちになったので
すから当然といえば当然ですね。

……しかし、ニホン家が役員に選ばれるかもしれないという情報を聞いて、不満
を露にしている家が一件ありました。
もう説明する必要はありませんね。
「ニダ！　ニホン家がウリの家を差し置いて役員！？　絶対に許せないニダ！　
断固拒否ニダ！」
早速カンコ君は妨害工作を始めることにしました。
「フランソワーズ～ちょっと話があるニダ～いいニダか～？」
　朝っぱらからキムチ臭い息を吐きながら、カンコ君はフランソワーズちゃんに
猫撫で声で話しかけます。
「な、なんですの？　あまり近寄らないでくださって！」
　露骨に嫌悪感をあらわしながら、フランソワーズちゃんはハンカチを口元に当
てます。
「聞いたニダか？　ニホンのヤツが町内会の役員に立候補してるらしいニダ！　
ニッテイの罪をまだ謝罪も賠償もしてないニホンが宗主国のウリを差し置いて役
員になるなんて許せないニダ！　是非是非フランソワーズにも断固反対して貰い
たいニダ～」
「……あら、そのことですの。ニホンちゃんなら役員になる資格は十分にありま
すわ。なんといってもお金持ちですし、ニホン家は文化も芸術もすばらしいお家
ですから、反対する理由などありませんわ、わたくしは大歓迎しますわよ」
「ニ、ニダ！？　ニホンのニッテイ３６年の罪を忘れたと言うニダか！　ニホン
なんかより半万年の歴史を持つウリの方が……」
「……おいおい、カンコ。ま～だそんな昔のことを根に持ってんのか？　俺もニ
ホンちゃんなら役員にふさわしいと思うぜ」
話に割り込んできたのはアメリー君です。
「だいたいだなあ。お前ん家は町内会費を滞納したまんまだろーが！　役員がど
ーこー言うまえに会費ぐらいちゃんと払えよ！　少しはニホンちゃんを見習え！
　このケチ野郎！」
さすが番長アメリー君、情け容赦ない物言いです。
「ア、アイゴォォォォォ――――！！！」
　たまらずその場から逃げ出すカンコ君。
「……まあ、ニホンちゃんはともかく、カンコの野郎が役員になるなんてことは
未来永劫ありえないんだがな……」
　走り行くカンコ君の後姿を見つめながらアメリー君がつぶやきます。
「おーほほほ！　まったくそのとおりですわ！　珍しく意見が一致しましたわね
、アメリー？」
　そんな二人のやりとりをカンコ君が聞かずに済んだのは、不幸中の幸いでした
ね。
カンコ君はすっかりうなだれて歩いていました。
「……ニダ……どうしたらいいニダ……もしニホンが役員になったら、ウリナラ
半万年の歴史と宗主国としての立場が……」
「おい、カンコ話があるアル」
「ニ、ニダ！？」
驚いて振り向くとチューゴ君が立っています。
「役員の話は聞いてたアル。ちょっとついてくるヨロシ」
「わ、わかったニダ！　喜んでついていきますニダ！　ニダニダ！」
どうやらチューゴ君も今回の役員の話には不満があるようですね。
「……ニホンが役員になるのは都合が悪いアル。アジア地区のリーダーは４千年
の歴史を持つ我が家に決まってるアルよ」
「そ、その通りですニダ！　すっかり忘れてたニダ！」
……カンコ君、それはあまりにも抜けすぎですよ……
「……まあいいアル。ここはひとつ作戦を立てるアル。……役員の有力候補はニ
ホン家とゲルマッハ家アル。ここはニホン家とゲルマッハ家を仲たがいさせるア
ル。そうすれば共倒れ、最悪でもニホン家が役員になるのは防げるはずアル」
……チューゴ君、策士です。
「少々心配アルが、工作はお前に任せるアル。ゲルマッハ家に行って説得するヨ
ロシ。……もし作戦が成功した暁には、カンコ家を町内会の事務係ぐらいになら
推薦してやってもいいアル」
「ほ、ほんとニダか！？　さすがチューゴ君ニダ！　頼りになるニダ！　ウリナ
ラマンセー！　ウリナラチェゴー！！」
「マンセーマンセー言ってないで早く作戦に移るヨロシ！　……いいアルか？　
失敗は許されないアルよ」
「わ、わかったニダ！　必ずゲルマッハを説得してくるニダ！　任せるニダ！」

そしてカンコ君はゲルマッハ家に向かいました。
背中には巨大なキムチ壷を背負っています。
「ふうふう……これだけキムチを土産に持っていけば、うまく説得できるはずニ
ダ……」
もはやこの時点でカンコ君の工作の成否が見えてきたような気がしますが、敢え
ていわないことにしてあげましょう。
ウリナラマンセー回路を内臓したカンコ君の頭の中では、世界はキムチを中心に
回っているのでしょうがないのです。
「もしもーし！　ゲルマッハいるニダかー？」
カンコ君はゲルマッハ家の重々しい扉をどんどんと叩きました。
「……いったい誰だ騒々しい」
扉が開いて顔を覗かせたのはアーリアちゃんでした。
「うっ！？　なんだこの匂いは！？」
思わずアーリアちゃんが眉間に皺を寄せます。
「ウリナラ半万年の歴史を持つ最高級のポッサムキムチニダ！　お土産ニダ！　
アーリア、ありがたく受け取るニダ！」
さすがに土産と言われてしまえば、むげに断ることもできません。
アーリアちゃんは、いやいやながらもキムチ臭ただよう巨大な壷を受け取りまし
た。
「そ、そうか……ところで何の用なんだ？」
「ゲルマッハに話があるニダ！　いるニダか？」
「あ、ああ……ちょっと待ってくれ……兄上！　カンコが来てるぞ！」
「……というわけで、ニホンが役員になるなんてことは許せないニダ！　ゲルマ
ッハにも反対して貰いたいニダ！」
「そんなこといわれても……我が家はニホンちゃんと一緒に役員を目指してるわ
けだからな。それに他にもイン堂君やブラジー君も立候補してるわけだし……」
「硬いこと言わないで欲しいニダ。もしニホンが役員になるのを阻止するのに協
力してくれたら、ウリはゲルマッハの役員就任を全面的に応援するニダよ！　こ
れでどうニダ～？」
その時、傍に立っていたアーリアちゃんのこめかみに青筋がくっきりと浮かび上
がりました。
「大体、ニホンはニッテイの罪をウリに謝罪も賠償もしてないニダ！　相変わら
ず歪曲日記は書き続けてるし、ウリナラ半万年の文化、コムド、ユド、シルム、
カタナ、サウラビ、茶道、華道、武士道なんかみんなパクッておいて自分のもの
にしてるニダ！　それに対馬もまだかえさないニダ！　絶対に許せないニダ！　
ニダニダニダー！！！」
ぶっちーん。
ついにアーリアちゃんの堪忍袋の尾が切れる素敵な音が響きました。
「ニ、ニダ！？」
「お前というヤツは我が家に来てまでニホンの悪口か……他に言うことはないの
か？」
そういうアーリアちゃんの瞳の奥では、青白い怒りの炎が燃えています。
「な、何をするつもりニダ！？　ウリのバックにはチューゴ……はっ！」
「……やはりチューゴの差し金だったようだな……」
とゲルマッハ君。
「ち、ちがうニダ！　誤解ニダ！」
「兄上？」
「うむ、任せたぞ、アーリア」
「ア、ア、アイゴォォォォォォ――――！！！」
そして次の日です。
登校したアーリアちゃんは、ニホンちゃんに話しかけました。
「……なあ、ニホン。わたしとお前は昔から似たもの同士だ。そう思わないか？
」
「ど、どうしたのよ～アーリアちゃん……」
ニホンちゃんはちょっとびっくりしてしまったようです。
「だからこれからもずっと一緒だ。苦しいときも楽しい時も……な？」
「うん、そうだね！　アーリアちゃん、ずっと一緒だよ！」
状況はよくわかってないのですが、そこは天然のニホンちゃん、会心の笑みで答
えます。
「ニ、ニホン……」
天使のような笑みを見て、思わずアーリアちゃんはニホンちゃんの肩にそっと手を回しました。
その時です。
「ア、アーリア……あんたやっぱりそういう趣味が……ニホンちゃんの貞操はわ
たしが守る！」
と、登校してきたタイワンちゃん。
かくして、いつもどおりの賑やかな一日の始まりです。

……その時、教室の隅ではカンコ君がチューゴ君にドゲジャをしてがんがんと頭
を床にぶつけていました。
「アイゴー！　ニッテイの陰謀ニダ！　ウリは悪くないニダ！　だからニホンに
謝罪と賠償を（以下略」
「もういいアル。お前に任せたのが間違いだったアル。おかげで町内中に恥をさ
らしてしまったアル。黙ってついてくるヨロシ。中国四千年のお仕置き術をみせ
てやるアル」
「ア、ア、ア、アイグォォォォォ――――――！！！！」

劇終
解説烏丸投稿日： 2006/02/24(金) 16:56:06 ID:VG3sMdIM: 初めまして、烏丸と申します。

つい最近「ニホンちゃん」の存在を知ってみようみまねで書いてみましたがいかがでしょうか？
こういった超ＳＳに慣れていないので、長レス、連続カキコになってしまいスマソでございます。

ネタは国連常任理事国問題と韓国の大統領がドイツまで行って日本批判をして総スカンを食らったというニュースです。
役員＝常任理事国、事務係＝国連事務総長ってな感じです。

拙文ですので生暖かい目で見てやってくださいませ。