連続ドラマ小説「ニホンちゃん」第2509話「反米を貫いて」　作：黄色いリボン

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第2509話黄　色　い　リ　ボ　ン　 ◆JBaU1YC3sE 投稿日： 2006/04/30(日) 15:03:21 ID:appbmSNR: 　　　「　反米を貫いて　」
　チューゴ君とアサヒちゃんが、公園で何か相談しています。
　そこへ一人の女の子がやってきました。
　おや、数少ないマル教の同志の一人、キューバちゃんではありませんか。
「お邪魔していいかしら？お二人さん」
「もちろん大歓迎アル、同志よ。昔の仲間もだいぶ減ったアルからね」
　アサヒちゃんも喜色を浮かべてキューバちゃんを迎えました。
「私にとってキューバちゃんは永遠のヒーローよ」
　キューバちゃんはくすっと笑いながら答えました。
「最近あんた達の近所がキナ臭いじゃないの。特にキッチョムの花火のこと」
「ち、朕としては、アジア町の安定を願っているアルヨ」
　チューゴ君にとっては、もはや苦手な話題のようです。アサヒちゃんも答えました。
「もちろんあたしもよ。むしろ日之本家の姿勢の方が論議を呼びそうよ。
　最近アジア班的な優しさが欠けているみたいで心配なの。
　アメリー家が喧嘩を仕掛けるのを待っているような雰囲気もあるわ」
　それを聞いて、キューバちゃんは遠くに目をやって言いました。
「なんか思い出しちゃうなあ。あたしの家にも花火を置くって話があったわ。
　アメリー家に向けてね」
「その話、詳しく話すアル！」
　チューゴ君の目配せを受けたアサヒちゃん、急いで筆記用具を取り出します。
「あたしの家って、昔からアメリー家にチョッカイ出されてたけどさ、
　ある時マル教に入っちゃってね。そしたら、その頃元気だったロシアノビッチが
　あたしの家に花火を置けば、アメリーも手を出せなくなるって言ってくれたの。
　ところがいざ置いたら大変よ。アメリーがカンカンに怒って、
　本当の大喧嘩が始まりそうになっちゃたの」
「そ、それで結局どうなったアルカ！ア、アメリーを向こうに回して」
　チューゴ君、眼が尋常ではありません。
「結局、花火を撤去するかわりに、アメリーはうちには手を出さないってことに
　決まったわけ。だから今まで私の家がマル教のまま続いてるんだけどね」
　キューバちゃんは俯いて、しばらく黙り込みました。
「ただ、振り返ってみるとね、こんな生き方をして良かったとは言えない時もあるのよ。
　もっと違う道もあったんじゃないかって、時々・・・」
　しばしの沈黙が続きました。
「あら？」
　おや、気がつくとチューゴ君とアサヒちゃんがいません。
「ちょっと、どこ行っちゃったの？二人とも！大事な話しているのに！」

　翌日、校門の前でアサヒちゃんがビラを振りかざして演説しています。
　それをチューゴ君が離れたところから見ていると、キューバちゃんが駆け寄ってきました。
「ちょっとチューゴ君！」
「おお、キューバアルか。昨日はいい話を聞かせてもらったアル」
「本当にちゃんと聞いてたの？一番肝心なのはあなたなのよ。
　私の時は、ロシアノビッチがわたしのために必ず花火を撃ってくれたはずよ。
　あなたにもその気があるのね？
　キッチョムのためにアメリー家に花火を撃ち込む覚悟が」
「アイヤー！何故それをもっと強く言わないアルか！そこまでするわけ無いアルヨ！」
「それからキッチョムよりもっと大事な人を忘れてない？」
「誰アル？まだ悪い話が続くアルか？」
「アサヒちゃんよ。もしもキッチョムが日之本家に花火を撃ったら、
　あの子、ただでは済まないわよ」
　あれ？チューゴ君、ほっとした様子です。そして面倒くさそうに言いました。
「なんだ、脅かすなアル。アサヒなんぞ下女候補にもなってない女アルヨ」
「ええ！あなたの革命を助ける同志じゃないの？」
「あんな性格も血筋も悪い不孝者、敵の家にいるから使ってるだけアル。
　仮に朕があの家の主におさまったとして、
　あんな裏切り者の罵詈雑言を許しておくと思うアルか？
　女ならもっとましな奴にするアル」
（こ、この男は！）
　キューバちゃんは震えながら、思わず後ずさりしました。
　そんな会話は、アサヒちゃんの大声で誰の耳には入りませんでした。
「最近の日之本家は隣人との関係が悪化しているわ！
　でも、ちょっと待って欲しいの。
　日之本家の方こそ色眼鏡でアジア班を見ているんじゃないの？
　確かに相手を信じていいのか迷う時もあるけど、心配のしすぎではないかしら～」

　　おしまい
解説解　説投稿日： 2006/04/30(日) 15:10:35 ID:appbmSNR: たまには全く違う状況と比べてみて、何が最も違うのかを考えました。
キューバ危機
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%90%E5%8D%B1%E6%A9%9F