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第2543話
黄 色 い リ ボ ン ◆JBaU1YC3sE
投稿日: 2006/07/04(火) 14:36:43 ID:uOj4KuVD
「 ヒーローと共に戦え 」
私の家には、昔から話し合いを重んずる伝統がある。
だが、不幸にして我が隣人達はそうではなかった。
そんな隣人達が露骨に我が家を狙い始めた。
我が家の意見の不一致と反応の鈍さに付け込み、家を乗っ取ろうと画策し始めた。
こんな時は、家族は心を一つにして立ち向かわないといけない。
ところがわがままな奴はいるもので、大事な話し合いでも散々迷惑をかけ、
我儘が通らないと見るや他所者の甘言に乗せられて、
それら他所者が我が家に押し入る手引きをする者が出てきた。
何故そんなことをする!自分さえ良ければいいのか!
結局、私の家は隣人達の支配下になってしまった。
そんな我が家にもチャンスが訪れる。
ヒーローがやってくる。抑圧された人々を解放するために戦っているそうだ。
我が家は誰よりも苦しんできた。でもヒーローが来てくれればもう安心だ。
私はヒーローに忠誠を誓い、必死に戦った。
ヒーローはそんな私を絶賛した。そして我が家の一部を取り戻してくれた。
だが正直、取り戻してくれた土地は私の望みより遥かに小さなものだった。
しかし共に戦えばいつか全てが取り戻せるというのなら、私はいくらでも頑張るぞ。
ヒーローは私に任地を与えた。ウチから遠く離れたところだ。
私はどんな困難でも怯まなかった。困難の向こうに明日の我が家を見ていたからだ。
しかし疑問を拭えない時もある。ヒーローが倒した家の怪我人を見た時だ。
この人たちにとってはヒーローが抑圧者なのか。
ヒーローも縄張り争いをする、ただの人なのか。
私の家族は、今ここにいる私をどう思うだろうか。
いや、気の毒ではあるが、倒された家に問題があったからだ。
その人達は今は分かってくれないかもしれないが。
それに誰だって縄張り争いをしている。力なき正義や、手を汚さぬ平和など無いのだ。
ヒーローによる秩序、それが皆に最高でなくとも、現状では最善の社会をもたらすはずだ。
以前の我が家を思い出せば、そんな迷いは雲散霧消する。
今の我が家が、昔よりもあるべき姿に近づいたことに疑問の余地は無い。
野蛮な隣人達から干渉され、奪われ、傷つけられてばかりいた。
だけどヒーローと共に戦ってからは違った。
踏みつけられていた私の家の旗を、堂々と翻して戦った、
自分らしくいられる輝ける時間。
私はこれでよかった。そして私の家の子孫も、自分らしくいて欲しい。
何よりも、我が家がいつまでも滅びないでいて欲しい!
たとえ私が帰れなかったとしても、魂となって永遠に家族を見守り続ける―――――。
「―――――ありがとう、ポーラちゃん」
そう言って、ニホンちゃんはポーラちゃんに手紙を返しました。
ポーラちゃんのご先祖様が家族に宛てた手紙。
今まで知りませんでした。ポーラちゃんの祖先にこんなことがあったなんて。
誰かが言っていました。『ポーラちゃんの家は強かったんだ。戦士の伝統がある』と。
「ニホンちゃん私ね、ニホンちゃんには知ってほしかったの。
こんな風に命を懸けた人もいるって。離れていても家族のためにね」
ニホンちゃんはポーラちゃんの手をギュッと握りました。
「あたしこそ、今度ポーラちゃんのご先祖様のお墓参りに行かせて!」
「ありがとう。喜んで招待するわ」
そこへアメリー君がやってきました。
「ハーイ、2人とも丁度良かった。今夜うちでパーティーを開くんだけど、どうかな」
2人は顔を見合わせ、笑顔を浮かべました。
「「ええ、喜んで」」
おしまい
解説
解 説
投稿日: 2006/07/04(火) 14:42:03 ID:uOj4KuVD
かつてポーランドには、地主階層による全員一致の議会制度がありました。
http://www.tabiken.com/history/doc/T/T092C100.HTM
しかしそこをロシア、プロイセン、オーストリアに付け込まれて分割されてしまいます。
ナポレオン登場によりにより独立を回復の後、その指揮下でポーランド人部隊は、
ナポレオンから幾度も賞賛されるほど勇戦奮闘します。
その指揮官ポニャトフスキ将軍がフランス軍人以外で唯一の元帥となりました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AF%E5%85%AC%E5%9B%BD
ナポレオン没落により、ポーランドは再び完全に分割されてしまいますが、
今も歌われるポーランド国歌は、ナポレオン指揮下のポーランド軍の軍歌が、
二百年の時を越え国歌に選ばれたものです。
ポニャトフスキ元帥戦死後のポーランド軍の指揮官として戦った、
ドンブロフスキ将軍とナポレオンの名が歌詞に入っています。
http://www.medianetjapan.com/10/travel/vladimir/russian_house/poland.html
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