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第2549話 マンセー名無しさん 投稿日: 2006/07/09(日) 12:58:56 ID:wQPJQn6L
ある早朝のことです。

ニホン家の軒先に、大きな爆竹が打ち込まれました。
「パパン パン パン!」
ニホンちゃんはびっくりして飛び起きました。
「やーん、お母さんお母さん!!」
ニホンちゃんはお母さんと一緒にしっかりと抱き合って、カタカタと震えました。
「大丈夫、怪我はないの?ニホン。」
そういうお母さんの顔も青ざめて声が震えています。
「こらあ、誰だッ!」ニホンちゃんのお父さんが表にでましたが、誰も居ません。

爆竹には、ハングルの文字がついていました。
切れ切れですが、「テポドン」と書いているようでした。
植木鉢が割れていましたが、お花は大丈夫でした。

どうやら、北西の方向なので、お隣のカンコ君の裏から、投げ入れられたもののようです。
カンコ君の家は、見た目はニホンちゃんと同じような立派さを保っていましたが、適当に 建てられた家なので
壁に亀裂が走っていました。

「キッチョム君かしら・・。」
「困るわねえ、カンコ君ちは・・。でも、こないだも境界線問題でもめたばっかりだから、黙っておく?」
愛犬の「竹」の犬小屋を、いつの間にか大きく汚い赤いペンキで「独は我が物だ」とハングルで書かれて困っていたのです。
おまけに、柴犬の竹を毒々しい赤い絵の具で染めようとしたのです。

「うちの竹になにをするんですか!」とニホンちゃんのお母さんは言ったのですが、
カンコ君のお母さんは「はあ?うちの境界を犬が勝手に荒らすから、ちゃんとおとなしくしつけないと困るニダ!」と
いきなり逆切れ。しかも泣き女のようにおいおいと泣き出したのです。
事情を知らない人は、ニホンちゃんのお母さんが悪いことをしているように見えます。
ニホンちゃんのお母さんは口ごもって、ウチの中に入りました。

ニホンちゃんは、お母さんがうつむいて、竹の体についた絵の具を綺麗に洗っているのを見ました。
「お母さん、こんなひどいこと・・なんで言い返さないの」
お母さんは言いました
「竹の前の犬は、カンコ君ちで食べられてしまったの・・。竹だけは、うちで守ってあげないとね。」
竹は哀しそうな目で、ニホンちゃんとお母さんを見上げていました。
そこに、アメリー君とアメリー君のママが、車に乗ってやってきました。
オープンカーの中に、大きなゴールデンレトリバーが乗っています。

「オー、ニホンちゃん。この間はおいしいお土産ありがとう。うちから、ビーフもってきたよ!ほかの肉は食べれないよ!」
ドサリと1キロ程度ある肉を、無造作にビニール袋に入れて持ってきたようです。
「オーニホンちゃんママ。どうしたんですか、その犬の様子は・・。オー、クレイジーね。!」
アメリー君のお母さんも、赤い絵の具まみれの柴犬竹の様子に絶句しています。
「やったのか、カンコ。」とアメリー君もびっくりしています。

ニホンちゃんはアメリー君のママは好きなのですが、ニホンちゃんママは強引なところが苦手でした。
「おー、ニホンちゃん。こんなクレイジー、許せないね。世界の警察が黙ってないね!」
「ママー、これはニホンちゃんとカンコ君ちの問題なんだから。」と、アメリー君がとめても、アメリーママの暴走はとまりません。
アメリーママは、アメリーさん宅に暴走してつっこんだ車の持ち主、イラクさんちを徹底的に叩きのめしています。
その伝説は、団地中に知れ渡っていました。

「ああ、アメリー君のママ、うちでとりあえず、カンコ君ちに話すことにしますから」と
ニホンちゃんのママはなだめるように言いました。
「まあ、何かあったらすぐ電話してね。アナタはうちの家族も同然だから」
アメリー君のママの目はキラキラと光っていました。
さて、ニホンちゃんはこれから、どうしたらいいのでしょうか。

カンコ君ちの言いなりになるしかないのか
それともアメリー君ちと組んでカンコ君をつぶすべきなのか

カンコ君ち言いなりでは、もう、この団地での地位が落ちていくばかりです。
アメリーのやり方では反感をかうでしょう。

さてどうしたら、いいのでしょうか

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