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第2601話 マンセー名無しさん 投稿日: 2006/09/24(日) 00:25:10 ID:13jx8PL/
 『にちぎんほう』

 ちょっと前、ニホンちゃんのクラスではトランプ遊びが大流行していました。

 「さあ、はやく出しなさい。さあ、さあ、さあ!」
 「まあ、落ち着きなよ。………ここはこれで!」
 「う〜ん、それかあ?………じゃあ、あたしはこれを!?」
 「アイゴー!なじぇそんなのを出すニカ!謝罪と賠償を……」

 その中でも特に熱中していたのは香ちゃん、シンガくん、タイワンちゃん、
カンコくんでした。
 誰が言い出したのかひとよんで「アジアの四竜」。
 
 みんながこんなに熱中していたのにはわけがあります。
 実はみんなこっそりとお小遣いを賭けていたのです。
 最初は他のアジア班のみんなも面白がってやっていたのですが、この四人
だけが勝ち続けるのでは面白いはずがありません。
 しかも香ちゃんたちは他のアジア班のみんなよりもたくさんお小遣いをも
らっていました。香ちゃんたちは負けても大して気にしませんが、他のみんな
にとっては1日分のお小遣いがなくなるのは大問題です。
続き

 「う〜ん、今日はあんまり勝てなかったな〜」
 「まあ、そんなこともあるさ。ジュースでも買って帰ろうよ?」
 「え〜、ジュースよりあんみつがいいな〜」
 「ウリはもっと勝てたはずニダ!これはニホンの陰謀ニダ!謝罪と賠償を……」
 わいわいと上機嫌で帰っていく4人組。
 しかしそんな楽しい日々は長続きしませんでした。
 常に1番でないと気がすまないこの人によって。
 「フン、アジア班の中でいくら強くても俺の敵じゃないぜ!」
 あのーアメリー君?みんな君が1番だって知っているんだからそんなに気に
しなくていいんじゃない?
 「いや!すこし強いからって思い上がらないように、誰が1番なのか思い知
らせる必要がある!」
 ………そうですか
 そう、たくさんお小遣いをもらっているアメリー君はトランプでも負けたこ
とが無いのです。
 少し前にはエリザベスちゃんがアメリー君にコテンパンに叩きのめされたのでした。
 「く、く、く、く〜〜〜や〜〜〜し〜〜〜い〜〜〜!!!」
 「ハ、ハ、ハ、じゃあこいつはもらっていくぜ!」
 「あ、あ、あ、あたくしの1ヶ月分のお小遣いが!!!」
 なんといってもアメリー君のうちは地球町で1番のお金持ち。
 アメリー君だけで地球町のみんなをあいてにトランプで勝ててしまうほどです。
 「ハ、ハ、ハ、ナンバーワンは俺だー!」
続き

 そんなこんなで数日後。
 「………フゥ〜」
 「ブツ、ブツ、ブツ………」
 「あぁ、あぁ、あぁ、………」
 「ニダ〜!!!!………」
 「???」
 見た目にもまったく元気が無い「アジアの四竜」にニホンちゃんは不思議そ
うな顔をします。
 「ねえ、タイワンちゃん?いったいどうしたの?ずいぶん元気が無いけど?」
 「………あぁ、あぁ、あぁ、ニホンちゃん。おはよう………」
 「???ねぇ、タイワンちゃん音楽の授業の準備してどうするの?」
 「………次は音楽の授業じゃなかったけ?………」
 「???次は算数だよ?」
 「………そうだっけ?………」
 「???………ねぇ香ちゃん?いったいどうしたの?」
 ニホンちゃんは香ちゃんに声をかけます。
 「あそこであれを…フゥ〜……。あそこであれ…フゥ〜」
 「???」
 しかし香ちゃんの耳には届いていない様子。
 「ねえシンガ君………」
 ニホンちゃんはシンガ君に声をかけますが………
 「ブツ、ブツ、ブツ………」
 こちらも何も聞こえていない様子です。
 「ニダ〜!!!!………」
 「まあカンコ君はいつもどおりだし………」
 ニホンちゃんカンコ君には声もかけません。
 さすがに学習したようです。
続き

 そして放課後。
 「ねえタイワンちゃん?」
 「…………、なあにニホンちゃん?」
 ニホンちゃんが放課後になって多少復活したタイワンちゃんに声をかけます。
 「ねえ、何があったか知らないけどさ?あんみつでも食べに行かない?」
 「…………あんみつ………。ごめん、あたし今そんな気分じゃないんだ………。お小遣いが………」
 「???いいから行こうよ!?話も聞いてあげるから!」
 「ちょっと、ニホンちゃん!あたしはそんな気分じゃ………」
 「いいから、いいから」
 ニホンちゃん、ちょっと強引にタイワンちゃんを引っ張っていきます。

 結局、近くの公園でニホンちゃんはタイワンちゃんの話を聞くことになりました。
 「え〜〜〜!?、アメリー君に負けてお小遣いなし!?」
 「…………うん」
 タイワンちゃん小さな声でポツリ、ポツリと話し出します。
 「しかも、香、シンガ、バカンコの4人がかりだったのに…………」
 「う〜ん…………」
 さすがにニホンちゃんも言葉がありません。
 アメリー君のトランプの強さは折り紙つきです。
 そのアメリー君に「四人がかりなら勝てる」と思ったタイワンちゃんたちを
たしなめるべきか、それを跳ね返したアメリー君がすごいと言うべきなのか、
ニホンちゃんは少しの間、悩んでました。
続き

 「ニホンちゃんも気をつけたほうがいいよ。アメリー君、「次はニホンちゃんに
勝ってナバーワンを証明してみせる!」て言ってたし。」
 「えええ〜〜〜???」
 ニホンちゃん、露骨に迷惑そうな顔をしています。
 実は最近ママさんがお小遣いの『据え置き』『引き下げ』を言い出したため
懐具合がかなり厳しいのです。
 まわりに愚痴をこぼしていたのでアメリー君もそれを知っているはずなので
すが………
 とはいっても、自分では自覚はありませんが実はニホンちゃん、トランプは
かなり強いのです。
 アメリー君もそんなニホンちゃんの強さを見ていて対抗心が湧き上がってきた
のかもしれません。
 「ん?そんなモン関係ないさ?とにかくナンバーワンは俺だー!!!」

 ………そうですか

 そんなこんなで数日後。

 「ヘイ!ニホンちゃん!どうだい、俺とちょっと勝負しないか?」
 「へ?勝負?なんの?」
 放課後の教室でアメリー君がニホンちゃんに声をかけます。
 「なにって、トランプだよトランプ」
 「う〜〜〜ん」
 ざわっ
 教室が一気にざわつきます。
続き

 それもそのはず、自他共に認める地球町ナンバーワンのアメリー君と、唯一それに匹敵すると
見られているニホンちゃんのナンバーワン決定戦です。
 あっというまに二人の周りにはまだ教室に残っているみんなが殺到してきました。
 「ニホンちゃん!アメリーのやつなんかコテンパンにしてやって!」
 「ニホンちゃん!君なら勝てる!間違いない!」
 「ハ、ハ、ハ、あたしも今回はニホンちゃんの味方かなあ〜」
 「アイゴー!ニホンなんかがアメリーに勝てるわけないニダ!謝罪と賠償を……」
 「ニホンさん、あなただけが頼りです。あの男の思い上がりを叩きのめしてやってください!」
 特にアメリー君にやられた香ちゃん、シンガ君、タイワンちゃん、カンコ君、エリザベスちゃん
は最初からニホンちゃんがアメリー君と勝負すると決めてかかっています。
 どう見ても断れる雰囲気ではありません。
 「は、は、は………、はあ〜〜〜〜!?」
 ニホンちゃんは深〜くため息をつくのでした。
続き

 「さあ、これでどうだ!」
 「う〜ん。まだまだ」
 
 「さあ、こんどはどうだ!」
 「え〜、しょうがないなあ〜」

 「さ、さあ、これでどうだ!」
 「い〜よ〜。受けるよ〜」

 アメリー君と、ニホンちゃんの勝負はどんどん続いていきました。
 そして二人の賭ける金額もどんどん上がっていき、ついにニホンちゃんの
お小遣い1ヶ月分にまでなりました。
 その金額、漱石さんが4人分。
 小学生にとってはかなりの大金です。
 (ぜ〜ぜ〜、これで何とか終わりそうだな……)
 アメリー君、内心を押し隠して安堵のため息を吐きます。
 地球町一番のお金持ちとはいえ、アメリー君はいろいろ無駄遣いも多いため、
ニホンちゃんとの勝負ではクローイ君やパッキン君からお小遣いを借りていたの
です。
 負けると二人にお小遣いを返したら当分お小遣い無しです。
 (だけどニホンちゃんのお小遣いはあれだけのはず。あれ以上はママさんが許
してくれないと言ってたしな………)
 そう、ニホンちゃんのママさんはお金にはとっても厳しくて、お小遣いの前借
りは決して許してくれないのです。
 しかも「どんなことがあっても1ヶ月に使える金額はここまで」と決められて
しまっているのです。
 それを知っていたためアメリー君はクローイ君や、パッキン君からお小遣いを
借りてニホンちゃんよりもたくさんお小遣いを用意したのでした。
続き

 「さあ〜どうするニホンちゃん?降りるなら今のうちだよ?」
 アメリー君勝利を確信して笑っています。
 「う〜ん、う〜ん、う〜ん、しょうがない。これをつかおうっと!」
 ニホンちゃん、そばにおいてあった風呂敷包みの中から「にちぎん」と
書かれた大砲の形をした貯金箱を取り出します。
 「えいっ!!!」
 ニホンちゃんがトンカチで貯金箱を割ると中から100円玉がざらざらと
こぼれていきました。
 「い〜ち〜、に〜、さ〜ん、し〜………」
 ニホンちゃんが積み上げた100円玉は全部で100枚ちかくありました。
 「さ〜、続けようか?」
 「………………」
 これにはアメリー君も目が点です。
 「あ〜、あの〜、………ニホンちゃん、ママさんにお小遣いの前借りは禁止
されているんじゃなかったのかい?」
 アメリー君、冷や汗を流しながらそうたずねます。
 「うん、お小遣いの前借りはしてないよ?そのかわり1ヶ月に使える金額を
増やしてもらったの。いままであたしが貯めたお金だったらOKだって。使える
金額がいっぱいになったらまた増やしてもらえるようお願いするし」
 (………………冗談じゃない。これで終わりじゃないのかよ!!)
 アメリー君、冷や汗ダラダラです。


続き

 (それに、あの風呂敷の中、チラッと見たらまだいくつか貯金箱が入っていた
ような?)
 「………………」
 「???どうしたの!?」
 「………………降りた」
 
 「え〜〜〜???!!!」
 「???!!!」
 「アメリーが負けた???」
 「やっぱりたいしたもんねー!!!」
「さすがニホンさんですわ!!!」
 「え?え?え??」
 まわりは大騒ぎです。
 特に香ちゃんや、シンガ君、タイワンちゃん、そしてエリザベスちゃんまで
口々にニホンちゃんを褒め称えます。
 そのまんなかでニホンちゃんは、よくわかってない様子でにこにこと微笑み
続けました。

 蛇足

 「アイゴー、なじぇウリは勝てないニダー!!!ニホンが勝てたのならウリにも勝てるはずニダー!!!」
 「うるせー、ニホンちゃんならともかく俺がお前に負けるわけねーだろうが!?しかも、なんだその『ワロス曲線』は!?ちょうどいい、ニホンちゃんからふんだくれなかった分お前からふんだくってやる!?」
 「アイゴー!!!」

いとふゆ



解説 マンセー名無しさん 投稿日: 2006/09/24(日) 00:48:12 ID:13jx8PL/
ソースは
ttp://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/47/naruhodo146.htm
ttp://pinoccio.at.webry.info/200601/article_31.html

この話を聞いたとき、思わず
「日本、やるじゃないか!」
と思い、小説という形にしてみました。
初投稿なのでお見苦しい点はご容赦ください。

ヘッジファンドによるマネーゲームをトランプという形にしてみました。
バブルの後遺症で弱体化したといわれていたのに、アジア通貨危機やポンド暴落を引き起こしたハゲタカファンドを正面から粉砕して退けた日本。
この時は2000くらいのハゲタカが壊滅したとの事。
やっぱりまだまだ日本はたいしたものです。
それにひきかえ韓国は………
(ワロス曲線がすべてを物語る)

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