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第2614話 U-33 ◆JOCEixq6zU 投稿日: 2006/10/14(土) 13:30:40 ID:Z/vT1Q5x
『勘違いしないでね』

 エリザベスちゃんは、いつもランドセルだけでなく、別にカバンを持って登校しています。
 提出物の多いときなど荷物が多くて大変ですが、それでもカバンはしっかり持ってきます。

 午前中の授業が終わり、お昼休みの時間──。
 給食が配られると、エリザベスちゃんは、おもむろにいつものカバンから魔法瓶を取り出しました。
 食事のとき紅茶なしではいられない彼女は、毎日魔法瓶に紅茶を入れて学校に持ってきているのです。
そして、カバンからご自慢のウェッジウッドのカップを取り出すと、ポットの中身を注ぎました。

「まったくエリザベスちゃんも、こだわりが強いんだから」
 そう思いながらその様子を眺めていたニホンちゃんの目がカップの中身に釘付けなりました。
「え、その中身!」
 ポットから注がれた茶白色の液体、見たところはいつものロイヤルミルクティーのようだったのですが、
そこから漂ってくるのは香ばしいコーヒーの香り。なんと注がれたのはカフェオレだったのです

 ニホンちゃんは、エリザベスちゃんに駆け寄ってたずねました。
「エリザベスちゃん、どうしたの?もしかして、具合でも悪いんじゃないの?」
 聞かれたエリザベスちゃんは、あわてた様子で、取り繕うようにわけの分からないことを言い出しました。
「か、勘違いしないでね。べ、別にカフェオレも嫌いじゃないってだけよ。わ、私はフランソワーズちゃんの
家に生まれたかったなんて思ってなんかいないんだからね」
「そんなこと聞いてないんだけどな」
 そんなやりとりを、フランソワーズちゃんは、遠くからニヤニヤしながら眺めているのでした。

(ソース)
【こぼれ話】英国人もフランス好き=世論調査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061010-00000045-jij-ent

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