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第2621話 黄 色 い リ ボ ン  ◆JBaU1YC3sE 投稿日: 2006/11/02(木) 16:03:48 ID:Rc2vngRn
   「 援軍との綱引き 」

 以前、ロシアノビッチ君が元気なマル教のボスだった頃、
 ゲルマッハ君の家は大喧嘩の舞台になるので
 アメリー君達が援軍に来る手筈を整えていました。
 アメリー君が言いました。
「おいゲルマッハ、いざとなったらこっちはどうするんだよ。
 2階への階段は俺だけで守るのか?」
「こちらも手一杯なんだ。一階の大広間で真っ先に突破されるからね」
「いやこっちだって玄関からすぐだし狙われるぞ。」
「だがそこは狭くて守りやすい。ここは広くて敵が来れば囲まれる。
 僕は全力をここに賭けるしかないんだ。済まないがそっちは頼む」
 しょうがないな、という顔をしてアメリー君は戻っていきました。
 すると、ネーデル君がゲルマッハ君に近づいて言いました。
「なあゲルマッハ、いいのか?」
「いいのさ。アメリーは強い。それなりに頑張ってもらわないとな。
 どうせならこっちの仕事をもっと手伝って欲しいね」
「そこまでは無理だろ」
「だったら今の持ち場くらい完全に任せておいていいよ」
「でもゲルマッハ、アメリーだって自分の家の都合があるだろ。
 少し負担を減らしてやってもいいんじゃないか?」
「いや、少しも遠慮しなくていいのさ」
 ゲルマッハ君は不敵な笑みを浮かべました。
「ネーデル、確かにアメリーには世話になっている。他人の僕達のためにね。
 だったら、ある日アメリーが何もしてくれなくなることも有り得るけど、
 その時はどうする?」
「ど、どうって、どうしようもないよ。僕達だけになったらロシアノビッチが・・・」
「だったら手が離せないようなお手伝いをしてもらえばいいのさ。
 何があっても僕達を見捨てられないような分担をね」
「ゲルマッハ、お前味方にそんなことを考えてたのか!」
「おいおい、大声をだすなよ。おかしな事言うと友達が減るぞ」
「な、お前が言うなよ!」
 するとゲルマッハ君は笑顔でネーデル君の両肩に手を置きました。
「言わなくていい事もあるのさ、例え本心でも。僕達のためには、な」

    そして現在。
 ネーデル君とゲルマッハ君がコーヒーを飲んで思い出話をしています。
「ゲルマッハ、あの時はなんて油断のならない奴だと思ったけど、
 言ってること自体は間違っていなかったね。僕も立場は同じだったし。
 全く君は名参謀だよ」
「僕があいつみたいな事していたら君の家も危険に晒されたろうしね」
 するとネーデル君が急に口に人差し指を当てました。
「シッ、アメリーが来たぞ」
 アメリー君、今日は連れが一緒です。
「アメリー、待って欲しいニダ。
 冷たいこと言わずに落ち着いて話し合うニダ。
 ニホンには自分の家と同じように守るって言ってたじゃないニカ!」

   おしまい

解説 解 説 投稿日: 2006/11/02(木) 16:07:37 ID:Rc2vngRn
在韓米軍、非戦闘要員6500人の脱出訓練
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/31/20061031000023.html
冷戦中、アメリカはNATO各国に「軍事費を上げろ」と言い、
ドイツ等加盟国は「やることはやっている」など綱引きがあったそうです。

ドイツ北部の平原地帯と並んで、ドイツ南部のフランクフルトと東独の間にある
フルダ峡谷は激戦地となると考えられていましたが、
ドイツは米軍の要請があっても一定以上の増強はしなかったとの事。
もちろん米軍の強さと地形の有利さを考えた上でしょうが、
その体制でソ連崩壊まで乗り切りました。
脅威が増大しているのに同盟が崩壊する国もありますけどね。

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