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第2622話
U-33 ◆JOCEixq6zU
投稿日: 2006/11/04(土) 14:36:41 ID:ml+BXlEX
『政治的に正しいおとぎ話』
「今日は、創作のお勉強をします」
そう言ってフラメンコ先生は、授業内容の説明を始めました。
「主人公は、ふだん暮らしている世界を出て危険が待っているところに出かけ、そこで最後には勝利して、
そして不思議な冒険から帰ってくる。こういうパターンでお話を作ってみましょう」
創作系の得意なニホンちゃんはすぐにお話を作り上げ、真っ先に手をあげて発表しました。
「……桃太郎は、イヌ、サル、キジをお供に鬼が島に鬼退治に出発しました」
ニホンちゃんのお話は、やがてラストに近づきました。
「鬼を退治した桃太郎は、宝物をたくさん持っておじいさん、おばあさんの待つ村に帰り……」
と、そのとき。突然金切り声がニホンちゃんの話をさえぎりました。
「ぐ、ぐんぐつの響きだわ。敵を滅ぼして宝物を奪い取るなんて、なんて恐ろしい話なの!テイコクシュギよ!
サクシュよ!」
声の主はアサヒちゃんでした。
そういう展開になると例の二人も黙っていません。
「アイゴー、ニホンは反省しる」
「歴史認識がなってないアル」
アサヒちゃんのネタでカンコ君やチューゴ君が大騒ぎ。いつものパターンで教室は騒然となりました。
腰を折られたニホンちゃんは、ムッとして言いました。
「あ、そう。じゃあ、宝物を手に入れる話じゃなければいいのね。分かったわ。作り直すから」
ニホンちゃんはノートを開いて文句のついたところを線で消し、新しい文章を書き加えました。
「直したから今度は文句を言わないでね。じゃ、鬼が島のシーンから」
一旦は気分を害したニホンちゃんですが、落ち着きを取り戻してノートを読み始めました。
「桃太郎は『宝物なんていらない、さらわれた村人を帰せ!』と叫ぶと、村にやって来ては村人をさらっていく
悪い鬼たちをさんざんにやっつけました」
そしてニホンちゃんは、アサヒちゃんやカンコ君たちをチラリと見て話を続けました。
「桃太郎は言いました。『鬼の手助けをする者がいたら、承知しないぞ』」
解説
U-33 ◆JOCEixq6zU
投稿日: 2006/11/04(土) 14:37:51 ID:ml+BXlEX
(元ネタ)
松岡正剛の千夜千冊
ジョセフ・キャンベル 『千の顔をもつ英雄』上下
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0704.html
たしかに、スターウォーズも西遊記も宇宙戦艦ヤマトもこのパターンですね。
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