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第2685話 黄 色 い リ ボ ン  ◆JBaU1YC3sE 投稿日: 2007/03/13(火) 22:58:42 ID:moSanHtQ
   「 靡かせるわ 」

 夕日に染まる学校の廊下で、ニホンちゃんとウヨ君とラスカちゃんが話しています。
「ニホンお姉ちゃん、またご近所と上手くいってないの?お兄ちゃんが言ってたよ」
 ウヨ君はこの話題でカッカしています。
「カンコはいい加減黙らせないと!いつまでも言われっぱなしでいること無い!」
「私は相手にしたくないんだけど、いい加減に欲しいのよね。
 カンコ君と同じやり方しないとダメなのかしら」
 その時です。美しいオルガンの音色が聞こえてきました。
 みんなが振り向くと、そこには教室でオルガンを弾く
 ハプスブルグ先生の姿がありました。
 子供たちは吸い寄せられるように先生の周りに集まりました。
 おやおや、さっきの雰囲気は何処へやら、
 ニホンちゃん達はオルガンを聞きながら、
 ハプスブルグ先生の横顔を見てうっとりしています。
(先生はいつ見ても綺麗だなあ。演奏も何回聞いても素敵)
 品格と優しさを兼ね備えるハプスブルグ先生は、
 男子生徒はもちろん、女子生徒にも憧れの的です。
 みんなが静かになると、先生は手を休めて言いました。
「先生はいつも願ってるの。
 たとえ嫌なことがあっても後ろを振り向かずに、あるべき自分を大切にしてって。
 自分が正しい時でも節度は大切なの。でないと周りから人がいなくなっちゃうわ。
 先生達がいつも言ってること忘れちゃったの?」
「いいえ、覚えてます」
 先生のすぐ脇にいて答えるニホンちゃん。
 後ろの2人も、見とれたままの目で首を横に振りました。
「本当かしら。明日になったら先生の言ったこと忘れちゃうんじゃないの」
 先生は悪戯っぽく言ったのですが、ニホンちゃんは慌てて答えました。
「忘れませんよ!私いつも先生みたいな女の人になりたいなーって思ってるから」
「まあ、嬉しいわね。
 先生のいうことを忘れるか、覚えてるかはみんな次第なのよ。
 先生はね、みんなが先生の言うことをきっと覚えてくれてると信じて
 いつも教えてるのよ」
 そう言うと、ハプスブルグ先生はまた演奏を始めます。
 すっかり魅せられたニホンちゃん達は、それから何曲も演奏を聞いた後、
 その日は先生と一緒に裏門から下校しました。
 表門でニホンちゃんを待ち伏せる人と出会わずに済んだのは、日ごろの行いでしょうか。
「ニホンの奴、遅いニダ!最近ウリに対し反抗的過ぎるニダ!
 いつになったらウリナラに靡くニダー!!」

   おしまい

解説 解 説 投稿日: 2007/03/13(火) 23:03:20 ID:moSanHtQ
日本でオーストリアとオーストラリアを間違える人が多いため、
駐日オーストリア大使が、
昔よく使われた「オーストリー」という呼び方を広める運動をなさったそうです。
しかし
「公式表記の変更は要請しない。それは専ら日本国の裁量下にあると認識している。」
「日本では観光・文化立国『オーストリア』のイメージが確立している」とのことです。
オーストリア大使館
http://www.austria.or.jp/index-j.html
上記のサイト内では各国大使館と比べても、楽団訪日等のイベントが充実しています。
それだけ多くの日本人を魅きつけて来たと言うことでしょう。

カンコ家への向き合い方としては反撃もいいけど正道を外れず、と思っています。
ま、わたしもCNNの投票には1票入れましたけどね。

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